「
あいが たりないんだよー」
霊界にある、とあるカフェ。
餅々 きなこがおばけジュースをちゅーちゅー飲みながら嘆いている。
どうやら寝子高で焼きそばパンを巡って争ってる場面を見てしまったようだ。
「そんなことで争うなんて、寝子島の人って面白いね」
ウェイトレスの
ヴィーゼ・ベルンスタインは仕事をほっぽり出して、座り込んでいる。
「で、焼きそばパンってこんな感じかな?」
「そうそう、こんなかんじだよー」
試作品の焼きそばパンをもぐもぐ食べながら首をひねる客は、餅々きなこ。
「でもあやかしだったら、こっちをたべたいよね」
とポケットから出した黒いナニカを見て、ヴィーゼは思わず立ち上がって大きな声をあげた。
「幻の黒焼きトカゲ!?」
人間にはわからないであろう、あやかしなら目がうっとりしちゃう強烈な香り。
人間にはわからないであろう、あやかしなら目が離せなくなるグロテスクなフォルム。
そう、猫がまたたびに夢中になってしまうように、たいていのあやかしが引き寄せられる幻の一品なのだ。
周囲の客がざわざわざわざわ、きなことヴィーゼの周りに集まってくる。
「もう仕事どころじゃないね!」
さっきから仕事どころじゃなかった気もするけど、今はツッコんでる場合ではない。
真っ黒に焼かれてペッタンコになってるトカゲ、つまりぜーったいに死んでるはずのトカゲが、むにょむにょと動き出したのだ。
そして舌をびにょ~んと伸ばしたかと思うと、焼きそばパンをパクりと食べて、またペッタンコになって固まった。
焼きそばを口の先からちょろりとはみ出したまま……。
♡ ♡ ♡
ところかわって、ここは寝子島、旧市街。
人気のない小さなトンネルを抜けて、ぐわんと道が曲がったそのあたり。
セーラー服を着た
鶴見 五十鈴は、ぼーっと立っていた。
と言っても立ってるはずの足は見えないから正確には立ってるかどうかわからない。
つまり五十鈴は幽霊である。
幽霊だから人間には見えないはずだが、たまに見えてしまう者もいる。
彼らが「ええっ!」とか「嘘でしょう?」などと困惑する姿はよく見てきたけれど、なんと今日「ええっ!」とか「嘘でしょう?」などと困惑するのは五十鈴だった。
五十鈴は見えないはずのものを見てしまったのだ。
「あなた、何をしているのですか……?」
トンネルの真ん中、道路からにょきにょきと生えてきたのは、餅々きなこ。
五十鈴の声は聞こえなかったのか、それどころではないというように忙しなく動いている。
何やらこぢんまりとした古めかしい机をひとつ出したかと思うと、パタパタとはためくのぼりをせっせと紐付けていく。
『くろやきやきそばぱんとかげ、はんばいちゅう!』
「よ、読めません。黒焼き焼き、そば、パン、トカゲ……ですか?」
次の瞬間、寝子島の空はどよーんと暗くなった。
壮絶なあやかしレース?の幕開けである。どよよーーーん。
どもども。幽霊マスターのなばた☆りえです。
屋根裏からみんなの様子をニタニタ見てたら、幽霊解禁とかなんとかで落っこちてきました。
らっかみ!で初めてのシナリオです。
どうかお手柔らかに、でも思う存分テキトーなこと書いちゃってください。
基本的にはカオスなあやかしレース?でワイワイするコメディになると思いますが、
その一方で、のんびり日常アクションでもOKです。
意味不明なトカゲには興味ないわいって方は、ご自由にマイペースにどうぞ。
なんらかの形でこの物語の主人公のひとりとなっていただきます。
どんなことになってるの?
不思議なことにあやかしがどうしても食べたくなってしまう『黒焼き焼きそばパントカゲ』。
餅々きなこちゃんが気まぐれに販売することにしました。
お店は寝子島の旧市街のどこかの小さなトンネルの中です。
人間には見えないようですが、見えることもあります。
お店はオープンしたので、よーいドン!
商品は1つしかないと思うので、早い者勝ちですよ~。
お店の存在、トカゲの存在、いろいろなんとなくわかります。
直感でわかることもあれば、餅々ちゃんの声が聞こえることもあれば、噂を聞いて知ることもあります。
寝子高にいる人は寝子高が、星ヶ丘の自宅にいる人は星ヶ丘の自宅がスタート地点ですが、
あなたのいる場所(=スタート地点)は特にこだわりなければ明記しなくて大丈夫です。
霊界にいる人は、望めば寝子島に来られます。寝子島のどこに出たかは自分で決めちゃってください。
お店までは、歩いてきても飛んできてもタクシーできてもなんでもOK。
ライバルの妨害をしてもOKです。
お店に辿り着けば、あとは買うだけ。
お代は『あい、ひとかけら』だそうです。
よくわからないけど、マスターにもわかりません。辿り着けばなんとかなるかな?
そうそう。あやかしでなくても、たまたま波長の合った人は食べたくなるようです。
たまたま餅々ちゃんの声が聞こえたりして、お店を目指すことができちゃいます。
たとえばほら、海原くんと鷹取くんは本気で狙ってます。(他のNPCは出てきません)
トカゲを求めなくても、餅々ちゃんのお手伝いやただの冷やかしでもOKです。
なかなか辿り着けません
トンネルの近くからスタートなら超簡単……と思ったら大間違い。
奪い合いなんてよくない、愛が足りない、と思った餅々ちゃんの気持ちの影響でしょうか、
ちょっとフシギな現象が起こっています。
どこからともなく飛んでくる、シャボン玉のような『慈愛玉』にご用心。
慈愛玉に当たると、どうしようもなく何かを慈しみ、愛し、抱きしめてしまいます。
慈愛の対象は人だったり物だったりいろいろです。
アクションに書いておいてくれてもいいですが、マスターにお任せでも大丈夫です。
他の誰かが対象になったり、自分が対象になったりするかも。
日常フリーアクションも
6月のとある夜。
雲もないのに、何故かどよーんと暗い寝子島です。
トカゲに夢中な誰かと接触しちゃったり、トカゲ騒ぎとまったくの無関係ではいられないと思うけど、
自分自身が積極的に関わる必要はありません。
家で本を読んでてもいいし、酔っ払って路上で寝ててもいいです。ご自由に。
ほしびとも参加歓迎ですが、星幽塔は今回はちょっと遠いので舞台からは外れます。
寝子島(または霊界)からお願いします。
最後に
ヴィーゼ・ベルンスタインさん、鶴見 五十鈴さん、シナリオガイドの登場ありがとうございました。
シナリオガイド本文はあくまでもイメージですので、無視して自由にお楽しみください。
プレゼントに当選したけどシナリオガイドに登場しなかった皆さん、ごめんなさい。
10人みんなに登場してほしかったけど難しかったです。リアクションでは公平にがんばります。
全体的にアドリブ多め、予期せぬ行動や交流が多めとなります。
アレされたくない、コレされたくない、という守るべきものがある方はアクションにご記入ください。
ではでは、イエローシナリオなのでアクションもリアクションも短めですが、
それだけに気軽に気楽にエンジョイしてもらえればと思います。お待ちしております~。