そのお店『somnium(ソムニウム)』は、シーサイドタウン駅から少し離れた、ちょっと裏路地のような、けれどもどこか洒落た雰囲気を持つ通りの一角にある。
取り扱っているのは色んな雑貨や、アクセサリー。それから店主夫婦が毎日心を込めて焼いている、焼き菓子やケーキの類。
雑貨類は店主夫婦が気に入ったものだけを取り寄せたり、時には手作りをして売っているとかで、素朴だけれども優しい雰囲気のものが多い。それはともすれば、売り物ではなくそれ自体が店を彩る装飾にも感じられる。
ガラスケースに並んだケーキや焼き菓子も、それは同じ印象で。並んでいる種類は多くないけれども、1つ1つ丁寧に作られたお菓子はとても優しげな趣きで、お店の雰囲気にしっくりと馴染んでいる。
4月も半ばを過ぎてしまうと、日中は汗ばむ陽気も増えてきた。夜はまだちょっと冷えるとはいえ、ついこの間に春の訪れを感じたと思ったのに、初夏の訪れを意識するまではあっという間だ。
『somnium』に並ぶスイーツが最近は抹茶色に染まりがちなのも、春の名残と初夏の訪れを感じて欲しいから――というだけではなくて、
「いつもいつもいつもいつも、本当にすみません……」
「良いんだよ。こういうことは、お互い様だから」
ガラスケースの前で平身低頭する青年・皆川 一和(みながわ・いちかず)が、一抱えもある段ボール箱一杯に詰まった抹茶を『助けてください……』と持ち込んだせいでもあった。しかもその言葉通り、初めてのことではなかったりする。
時には中国茶、時にはマンゴー、はたまた時にはココナッツ。海外赴任と海外出張を繰り返しているという皆川家の両親は、その行った先々で気に入ったものを『日本で待っている愛する我が子たちに!』『10人兄妹だからたっくさんないとダメよね♪』と、おびただしい量を後先考えず送り付ける悪癖の持ち主なのだという。
おかげで毎回処分に困り、最終的に常連の『somnium』に泣きついてスイーツに使ってもらう事、数回。今回もまた――というか今回は逆に、赴任先の海外で配ろうと思って現地に先に送ったはずの抹茶が間違えて自宅宛てに配送、しかし本人達はすでに空の上だったため『こっちで手配しなおすから皆で飲んでね♪』と処理を押し付けられて、泣く泣く木原夫妻に頭を下げたのだった。
そんなこんなで責任を感じまくり、毎日のように抹茶スイーツを買いに来ては平身低頭の一和に、ご主人の
木原 高明(きはら・たかあき)さんがいつものように、にこにこと微笑んだ。高明さんとしては、ちょうど抹茶のスイーツを作ろうかな……と思っていた所に一和から譲り受けて、良いタイミングだったぐらいなのだ。
とはいえ、おびただしい量なのも事実は事実。当面、抹茶には困らなさそうだ。
そんなわけで最近は、『somnium』では抹茶スイーツと抹茶ドリンクがお手頃価格でご提供中。
お立ち寄りの際には是非、パティシエ自慢のスイーツをご堪能あれ……♪
「……って、ねこったーにも流しておきましたから! 少しでもお役に立てれば!」
「……一和くん、その気持ちだけで十分だよ……」
いつもお世話になっております、または初めまして、蓮華・水無月と申します。
季節はすっかり夏に突入してしまったような気がする今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、こちらはちょっとお久しぶりな、『somnium』というカフェ兼ケーキ屋さん兼雑貨屋さんでのんびり過ごしませんか、なシナリオです。
おひとりで、またはどなたかとご一緒に過ごすひと時。
のんびり、と言いつつもちろんおしゃべりに花が咲いても、あるいは物思いにふけっても、はたまたひたすらスイーツを堪能しても、どのような過ごし方でも大歓迎です。
『somnium』のケーキや焼き菓子は、カフェスペースで食べていくことも、そのままお持ち帰りすることも可能です。
カフェスペースをご利用の場合は、先にお席を確保してからガラスケースの所で頼んで頂く事も、お席までご注文をお伺いに行くことも出来ます。
飲み物もセットで頼んだり、もしくは飲み物だけのご注文でも問題ありません。
ご注文いただくお品は、抹茶に限らずなんでも結構です。
ケーキや焼き菓子、飲み物のメニューは、一般的なカフェにあるものはたいていあるとお考え下さい。
一般的ではない場合でも、店主夫妻にご相談いただければお出し出来る場合もあります。
その辺りはどうぞお気軽にお声がけください。
アクション頂く際は、お手数ですがご来店の曜日(平日か休日かだけでも……!)と時間帯をご指定頂きますと、水無月が大変助かります。
また、個別描写(ご参加のPCまたはGA参加の方のみでの描写)をご希望の場合は、アクション内に【S】とご記載下さい。
※ご記載のない場合でもご来店の日時によっては個別描写となってしまう場合があります。ご了承ください。
【登場NPCについて】
木原 高明(きはら・たかあき)さん&木原 伊都子(いつこ)さん
『somnium』の店主夫婦。
ご主人が定年を迎えた後に夫婦揃って寝子島に移り住み、趣味を一杯に詰め込んだお店を開いたという。
歳を重ねた今も、海外や国内各地に旅行に赴いては、あちらこちらで仕入れてきた雑貨なんかをお店に並べていたりします。
髪に混じった白いものも目立つお年頃ですが、どこか可愛らしいような、優しい雰囲気が親しみやすい、とご近所では評判だとか。
皆様との関係は無理のない範囲で、常連客など、ご自由に設定して頂いて構いません。
木原 理子(きはら・りこ)
寝子島高校普通科2年3組。
出身は西の方なのだけれど、祖父母が大好きなあまり、一緒に暮らすために寝子校に通っている。
学校生活は順調な様子。
休みの日は『somnium』でお店のお手伝いをしている事が多い。
皆様との関係は無理のない範囲で、クラスメイト、常連客など、ご自由に設定して頂いて構いません。
皆川 一和(みながわ・いちかず)
寝子島内のとあるコンビニで働くアルバイター。
間が抜けているように見えてしっかり者だが、しっかり者のように見えて間が抜けている。
去年大学を卒業して一度は就職したものの、色々あって今は学生時代にバイトしていたコンビニに再就職。
下に四弟五妹を持つ大家族の長男で、基本的に苦労人属性。
皆様との関係は無理のない範囲で、元同級生、知人、顔見知りなどご自由に設定して頂いて構いません。
【過去の『somnium』シナリオについて】
過去の『somnium』シナリオも知りたい、という方はこちらをご覧ください。
もちろん、ご覧にならなくても問題なくお楽しみ頂けます。
『somnium』へようこそ!
『somnium』で紙ねんどスイーツを。
『somnium』のチャイナな一日。
『somnium』に灯すエッグキャンドル。
『somnium』でのクリスマス。(準備編)
Good Day!!~『somnium』~
冬と、蜜柑と、『somnium』。
『somnium』に揺れるキーホルダー。
甘いお菓子を貴方のために。~『somnium』
春の声聞く、『somnium』ストロベリーフェア。
それではお気が向かれましたら、どなた様もお気軽に、どうぞよろしくお願い致します(深々と