「……また神魂の影響ってやつカナー」
この春から木天蓼大学へ進学した
志波 武道。
高校生活を通じて、寝子島に起こる不思議なあれこれを幾度となく経験してきたが、巻き込まれるたび味わう新鮮な体験には未だに慣れるということがない。
今日もまた、島へ吹く桜の花びらを纏う風が、非日常へと武道を誘ったようだ。
「
猫又川花筏下りへようこそ。わたくし、桜の精です」
「ははあ。桜の精ですか」
「ええ、寝子島では良くお見かけになるでしょう? そんな中のひとりですわ」
見事な桜柄の振袖を着こなし、たすき掛けをして櫂を持つ妙齢の美しい女性は、自らを桜の精と名乗った。
武道は思わずうなずいてしまった。不思議現象にある程度の心構えがあったためでもあるが、それよりなにより、武道が今、桜の花びらの上に立っているからだ。
目に入る全ての物のスケール感が狂っている。まるでネズミか昆虫にでもなってしまったかのように、何もかもが大きく見えた。
つまり武道の身長は小指サイズに小さくなり、桜の精が船頭を務める
『花筏』に乗っているのだった。
いつにもまして寝子島の時の流れがゆっくりに思える。
ゆっくりと視界を流れてゆく川の土手には桜が見事に咲き誇り、はらはらと花びらを舞い散らしていた。
「上流は九夜山の中腹に散った桜へ乗り、猫又川を下ってまいります。時おり流れが急なところがございますから、どうぞ皆さま支え合って、落ちないようにお気を付けて。ふふ、わたくしはどちらでもいいのですけどね」
「はは……どちらでもいいって」
冗談のように言われると、かえって真実みがある。
妙に不穏な空気も漂い始めた中で、どことなく頼りなげに桜の花びらはゆらゆらと川を流れてゆく。
船頭さんは皆さまと言ったが、見回せば桜の花びらには幾人も同乗者があった。
そして小さくなった人々が乗り込む花筏は、あたりにいくつも浮いているのだった。
「おー、すごいじゃん! こりゃあ配信するしかないよね」
見ると隣に座っているのは、武道と同年代くらいの少年……いや青年か。名前を
笹川 帆太と言った。
「何だかよく分かんないけど、せっかくだし楽しむとしますか!」
「うん。そーだNE☆」
人懐っこく笑う帆太に武道の頬も思わず緩んだが、はたして楽しむだけで済むのかどうか……。
こんにちは、山中にいなです。
志波 武道さん、ガイドに登場してくださりありがとうございました。
ご参加いただける場合は、ガイドに関わらず自由にアクションをかけてください。
概要
神魂の影響で、あなたの身体は小さくなり、気がつけば桜の花びらに乗って猫又川を下っています。
猫又川花筏下りは、桜の精が船頭を務める『花筏』に乗り込み、
猫又川を下流まで下るというアクティビティです。
爽やかで穏やかな春を感じながら、時に清涼な流れを見て楽しみ、時に冷たい飛沫を浴びて、
急な流れを正確かつダイナミックに乗り越えてゆく船頭さんの櫂さばきを堪能します。
一つの花筏には数人の乗客が乗っています。
GAを組んでアクションで指定してもらえれば、友だち同士やカップルなど、
少人数で乗り込むことも可能です。お気軽にどうぞ。
基本的には緩やかな川下りとなりますが、神魂の影響で出現したのか、たま~に、
気性の荒い『花見鯉』が花筏をひっくり返そうとすることがあるようです。
船頭さんはひっくり返ることをあまり気にしていないようで、
桜を堪能したり、皆さんを見てふふっと笑ったり、いたってマイペースです。
自分たちで工夫して『花見鯉』を撃退したり、桜の花びらがひっくり返らないようにしてみてください。
下手すると落っこちたり鯉に食べられたりしますが、桜の精はやさしく見守っててくれることでしょう。え?
そうそう。びしょ濡れになってお色気アクションをしたい方は、こちらもお気軽にご指定くださいませ。
NPCについて
登録済みのNPCなら、特定のマスターが扱うキャラクターを除き、基本的に誰でも登場可能です。
NPCたちもたまたまあなたと同じ花筏に乗っているかもしれません。
Xイラストのキャラクターを描写する場合、口調などのキャラクター設定をアクションに記載してください。
Xキャラ図鑑に書き込まれている内容は、そのURLだけ書いてもらえれば大丈夫です。
以上です。
どなたでもお気軽にご参加ください!