猫達が沢山住む寝子島を包むように、ふわりと開いた桜の花びら。
今日は風も緩やかに流れ、それはもう良い心地の一日を過ごせるほどだ。
島の人々も、象徴となる猫達も、皆ゆるやかな一日を過ごしている。
そんなゆるやかな日々の中、寝子島シーサイドタウンに新たな喫茶店が出来た。
喫茶店の名は『猫の宮』。男性店主・猫乃宮ヤマトが看板娘である三毛猫のナナと一緒に何か出来ないかと考えた末に、喫茶店をやろうと立ち上げたのだという。
猫の宮は外観は普通の喫茶店と変わりはないが、メニューは少し珍しく手作りの和菓子がメインとなっている。
しかし取り立てて目立つような和菓子は無く、平々凡々な内容。みたらし団子や餡団子、草餅や柏餅と季節によって変わる内容ではあるが、猫の宮特有のお菓子というものはない。
更に猫が一緒にいる喫茶店というのは寝子島では沢山見受けられるため、シーサイドタウンではあまり目立っていなかった。
どうしたら人気になるだろうかと考え、いろんな喫茶店を見て回った末、ヤマトはこの店にしか無い商品を作ることにした。
自分でも簡単に作れて、喫茶店でも食べれて、お持ち帰りも簡単に出来る商品。
それらを踏まえた上でヤマトが作り出したのは……。
「ナナ、見てご覧。キミをモチーフにしたお菓子が出来たよ」
「にゃあ」
「ふふ、そうだねえ。ナナは可愛いからね」
看板娘のナナの姿を白あんで作ったお菓子、『猫生菓子』が出来上がった。
白あんを型に入れて猫の形に作り、その表面に色を塗って表面に薄く寒天を塗るだけのお菓子。
甘さもさっぱりと控えめで、手のひらサイズの大きさに作るため飽きが来ないようにも作られている。
お値段150円。学校の帰りにもお手軽に購入しやすいお値段で、学生の財布にもとても優しい値段だ。
これなら何処も真似をしていないだろうと、ヤマトは自信を持ってメニューに付け加えた。
なお、猫の形さえしていればどんな猫でも作れるため、メニューには『猫の種類、承ります』の文字も付け加えた。
だがヤマトの腕をもってしても、どうしようも出来ない事がある。
それは、店の宣伝。彼がお店で商品を作っている以上手がはなせないため、どうしてもお客さんの口コミでこの猫生菓子を宣伝してもらう必要がある。
何人か入ってきたお客さんには是非ともと伝えているが、それでもまだ島の人々には猫の宮の猫生菓子を知らない人が多い。
「宣伝、してもらえるかなぁ……」
「にゃーん」
「そうだねえ、食べてもらわないことには難しいよねえ……」
新しく出来た喫茶店・猫の宮にしかないお菓子、『猫生菓子』。これを宣伝して欲しいというのがヤマトのお願いのようだ。
大々的でも、細々とでも構わない。とにかく、猫生菓子の宣伝をお願いしたいとのこと。
さて、どのように宣伝しようか……。
はじめまして、御影イズミと申します。
らっかみ!の方でお届けするシナリオ第一弾です。
簡単に島中を歩き回るにはどうしたらいいだろうと思い、浮かんだシナリオがこちら。
初心者の方は、難しく考えずにどういう宣伝方法を取るかを考えるだけでもOK。
慣れてる方は、面白い宣伝方法を探ってみるのも良いかもしれません。
様々な方のご参加があれば良いな~ぐらいのゆるいシナリオです。
よろしければゆるくご参加ください。