気づいたとき――
八神 修は、見知らぬ道を歩いていた。
どこかの田舎だろうか。人気がなく、舗装されていない道を、注意深く歩いていく。
やがて、服装も普段とは違うものに変わってしまっていることに気づく。
さては、また神魂の悪戯で別世界に飛ばされてしまったのか、と修は思う。
修はぶらぶらと、しかし何かに導かれるように歩みを進めた。目的地はないが、直感的に行くべき方向がわかるのだ。
山道を抜けると、小さな集落が見える。明らかに現代のものではなく、粗末な住居がいくつか集まった村だ。
「教科書で見た竪穴住居みたいだ。よほど大昔に来たのか?」
そういえば、自分の着ている服装は、日本史の資料集に載っていた古墳時代の服装に似ている。万一の時は、腰に下がっている太刀が使えそうだ。
修が様子をうかがっていると、人の声が聞こえた。ひどく嘆き悲しんでいるらしい、男女の声。胸騒ぎを感じた修が声の方向に向かうと、年配の夫婦と若い娘の姿が見えた。
「いったいどうしたのですか?」
心配した修が声をかけると、彼らはこちらを向く――
「あおい!? どうしてここに?」
「あおい……? 人違いではありませんか」
顔を挙げた娘は、涙で顔を濡らしてはいたが、
七夜 あおいに生き写しだった。
「この娘はクシナダといって、わしら夫婦の娘でございます」
老人が身の上を話し始める。それは、修がどこかで読んだ話と同じだった。
老夫婦には8人の娘がいた。しかし、毎年やってくる化け物に一人ずつ食われ、ついにクシナダ一人になってしまった。今年もその化け物がやってくるため、クシナダも食われてしまうと思って泣いている……
話を聞き終えた修は、彼らを勇気づけるように言った。
「そんな話を聞いてしまっては、放っておくわけにはいきません。それに、おそらく俺はその化け物を知っています。役に立てるかもしれない。その化け物の名は――」
「――ヤマタノオロチ、でございます」
この度は、プライベートシナリオの御指名をいただき、ありがとうございます。
日常とは違う世界……とのことで、今回は日本神話の世界を用意してみました。楽しんでいただけると幸いです。
本シナリオの目標は、神話の怪物「ヤマタノオロチ」を退治することです。
8つの頭と8つの尾を持ち、谷をうずめるほどの大蛇です。
人を食らう凶暴な性質で、8つの頭をそれぞれ別々に動かすことができます。この日の夜に、クシナダを襲いに村にやってきます。
神魂の影響か、日本神話の筋立てとは少しだけ違います。
まず、神話では酒に酔わせることで眠らせることができましたが、このヤマタノオロチは酔わせることができません。
「一つの頭が急所となっており、これを切り落とすと殺すことができる」ことが村に言い伝えられています。
しかし、どの頭が急所であるかの見分けはできず、これまで退治できずにいました。
以上の情報で、ヤマタノオロチを倒すことはできるのでしょうか。
力の入ったアクションをお待ちしております。