シナリオ「朝と夜の交換日記」

朝と夜の交換日記

イラスト：たちあ

　この地球という世界では、夜と朝は交互にやってくる。
　そんな自然の営みと同じように、恵御納夏朝ともう一つの人格・夏夜は、交互に意識に現れる。
　夏朝の意識が眠りにつくと、夏夜の意識が目覚めるのだ。
　夏夜は夏朝であるときのことも知っている。
　けれど不思議なことに、夏朝は夏夜であるときのことを共有することができない。
　だから二人は交換日記を始めた。
　互いのことが、互いにわかるように。

　不思議なお店で手に入れたこの交換日記には、裏と表に眠る猫の装飾があしらわれ、金の南京錠が付いている。この日記を読むことが出来るのは、この世で夏朝と夏夜のふたりだけ。

　夏朝は桜花寮の一室で、レンズキャットのおはぎを膝に抱きながら、眠る前のひとときを日記を書いて過ごす。夏朝が眠りについたあと目覚める夏夜は、日記を開いてそれに返信する。朝、夏朝はまた日記を開く。自分が書いた日記のあとに夏夜の言葉が綴られているのを見つけるのが、いつしか彼女の朝の日課になっていた。

　今宵もまた、夏朝は交換日記のページを開く。