気づけば
渡辺 美里愛は夜の山道に立っていた。何故ここにいるのかまったく思い出せない。
周りの景色を見回してもまったく見覚えが無い。
「あれれ? ここどこだろー?」
また何か、奇妙な現象だろうか?
もしかすると寝子島ではないのかも知れない。帰ろうにも行くべき道が分からなかった。
「うーん、どっちに行ったらいいんだろー? あっ」
と、車道に光が現れた。エンジン音と共に現れたのは一台のタクシー。
美里愛はとっさに手を上げてタクシーを止める。
家までお金が足りるかも分からないが、帰り道くらいは聞けるかもしれない。
タクシーが美里愛の目の前で停車すると同時に、自動で後部座席のドアが開いた。
「あのーっ、すみませーん! ここ、どこですかー?」
「お客さん、どうぞ」
帽子を目深に被ったスーツの運転手が少し低い声で言う。とりあえず乗ってください、話はそれから聞きましょう、とでも言いたいのだろうか。
美里愛は躊躇ったものの、代金は自宅に着いてから払ってもいいだろう。どのみちこの場所にいても仕方がないので、ひとまず乗ることにした。
「さて、どこへ行きましょう?」
「えーっとねー。それじゃ、寝子島のシーサイドタウンまで!」
運転手は何やら考え込んで、
「分かりました。シートベルトをお願いします」
美里愛がシートベルトを閉めると、やがてタクシーは走り出した。
「あのー。ここから寝子島って、結構遠いですか? お金、結構かかるのかなー」
「料金のことはお気になさらず。ところで、お急ぎですか?」
「えっ? ううん、ミリア急いでないよー! どうして?」
それっきり運転手は口を閉じてしまった。
やがて、走り初めて五分もしないうち、美里愛はうとうとと瞼が重くなってきて、ついつい寝入ってしまった。
「……あれれ?」
そして、車体の揺れでぱちりと目を開け、ふと窓の外を見ると。
「ええー!? なにこれ、すごーい!」
そこは様々な魚が泳ぐ、ライトブルーの光が溢れる海の中だった。
思わず運転手を見ると、彼は目深にかぶった帽子に目線を隠したまま言った。
「ほんのサービスですよ」
こんにちは、高城ヒトです。
渡辺美里愛さん、ガイド登場ありがとうございました!
概要
今回は、不思議なタクシーのシナリオです。
終電を逃して、やむなくタクシーに乗ったり。ガイドのような奇妙な状況に放り込まれ、
藁をもつかむつもりでタクシーを呼び止めたり……きっかけはいろいろです。
ただ、あなたの乗ったタクシーはどうやら、普通のタクシーでは無かったようです。
運転手が選択したルートは、通常では考えられない予想外の道だったのでした。
タクシーはあなたの告げた目的地に着くまで、時に空を飛んだり、海へと飛び込んだり、
あるいは異世界へ迷い込んだりします。
運転手いわく、料金はサービスとのこと。
せっかくなので、不思議なタクシーが導く不思議な景色を、思い切り楽しんでしまいましょう!
アクションの書き方
◆走るルートを決める
行き先を告げるとタクシーは走り出しますが、花畑、雪山、海中、空など、
そのルートは普通ではありません。
アクションでは、どんなルートを通るのか指定することができます。
外国の道を走るもよし、異世界を疾走するもよし。
どこを走るかはマスターにおまかせで、リアクションでのお楽しみとすることもできます。
◆そのルートで見たり出会う生き物、人の特徴を決める
不思議なルートだけに、不思議な生き物、不思議な人物と出会うかもしれません。
どんな人に会いたいか、どんな生き物を見たいか、自由にお書きください。
実際にいる生物でも、空想の生き物でも構いません。
人物についても、どんな人種でどんな性格で、どんな喋り方をして……等、自由に設定してOK。
こちらも、全てマスターにおまかせすることも可能です。
<アクションの一例>
・海の中でくじらと並走する
・大空にかかる虹の上にある休憩所で一休み
・氷の大地にある温泉に浸かってほっこり
・不思議なお花畑でユニコーンに乗ってぱかぱか
などなど。
普通ならいけないような場所にも連れて行ってくれますので、自由な発想でお楽しみください。
なお、運転手に頼めば車を停めてくれるので、気になるものがあったら降りてみても良いかもしれません。
NPCについて
登録済みのNPCなら、特定のマスターが扱うキャラクターを除き、基本的に誰でも登場可能です。
NPCたちもたまたまタクシーに乗っていたようで、相乗り大歓迎です。
また、このシナリオでは、Xイラストのキャラクターも描写することができます。
口調などのキャラクター設定は、アクションに記載してください。
Xキャラ図鑑に書き込まれている内容は、そのURLだけ書いてもらえれば大丈夫です。
それでは、ご参加お待ちしてます!