星幽塔、第一階層。
サジタリオ城下町の商店街を散策していた
ユリーカ・ナントカの耳に突然、すっとんきょうな声が飛び込んできた。
「どどどどど、どーしよー……!」
「……? どうしたのかしら?」
声の出どころをたどってみると、それは
フォルカ・ヴィクスンであった。狐の頭を持つ獣人で、星幽塔のあらゆる階層をまたにかけて活躍する盗賊でもある。
見ればフォルカは、いかにも高級そうな仕立て屋にて、何やら頭を抱えている。
と、そこへやってきたユリーカを見つけて、フォルカは彼女へと泣きついた。
「ねえちょっと、お願い! あたしに付き合ってくんない!?」
話を聞いてみると、フォルカはひょんなことから、とある
古城にて執り行われる
『仮面舞踏会』へ招待されることになったのだという。
だが、
「あたし、育ちが悪いからさぁ。ガサツじゃん? 服とか、マナーとか、どうしたらいいか分かんなくてさ……」
フォルカは、ユリーカの楚々として上品な立ち居振る舞いに目を付け、助けを求めたのだ。
「ふむふむ。けれど、どうしてあなたが仮面舞踏会に?」
「ええと……それはその……」
珍しく歯切れの悪いフォルカの話を聞いてみると。
「へへっ、良い家じゃん。噂どおり、よっぽど悪いことして儲けてるんだろーな。おっ、お宝ゲット……」
「……き、君は」
「うわっ、やばい!? 見つかった!」
「君は……なんて美しい人なんだ!」
「へぇっ!? あ、あたしが? うつくしいって?」
「こんなにも美しい女性に出会ったのは初めてだ……あなたは僕の、運命の女性に違いない!
ぼ、僕と結婚してください!!」
「はぁぁーーー!?」
「まあ、素敵ですね! それで、お受けしたのですか?」
「いやいやいや! そ、そういうのあたし、よく分かんないし……ガサツだし、育ちが悪いし……」
フォルカは慌ててその場を去ってしまったのだそうだ。まあ盗みの最中であったし、当然のことではあるが。
後から調べてみると、相手は狼の獣人で、第一階層で物流業によって財を成した豪商のひとり息子だという。
少なくとも表向きは好青年で、父親の仕事を良く助け、評判も良いようだ。
しかし父親についてはいささかに強引なやり口で知られ、裏では汚いこともしているとの噂もある。どうやら敵も多いらしい。
逃げ去るフォルカの背中へ、彼は言ったそうだ。
「『今度、父が開く仮面舞踏会に来てほしい』って。もしあたしが本当に運命の相手なら、顔を隠しててもきっと分かるからって……」
「まあ、ロマンチック。舞踏会へ行くということは、その方と結婚なさるのですか?」
「そそそ、そーじゃなくって……!」
実際、玉の輿であろう。
しかしフォルカには迷いがあるらしく、ユリーカの言葉に顔を赤らめながら、ぽそりぽそりと言うのだった。
「だってあたしは、盗賊の風来坊だしさ……カタギのボンボンと結婚して落ち着くなんて、ありえないじゃん? だから、まずはほら、その、さ。見極めてやろーかなって思って!」
そんなわけで、仮面舞踏会へ潜入するフォルカをサポートし、お相手の素行を見極めるべく、作戦開始と相成った。
舞踏会は最低限のドレスコードを満たし、何らかの仮面を身につけていれば、誰でも参加可能である。
もちろん諸君はフォルカを助けてもいいし、ただ舞踏会で提供される料理をつまんだり、ダンスを楽しんでもいい。
舞踏会は今夜だ。
準備ができたら、古城へと足を運んでほしい。
「おまかせあれ♪」
墨谷幽です、よろしくお願いいたします~。
ユリーカ・ナントカさん、ガイドへご登場いただきありがとうございました!
(ご参加いただける場合は、ガイドのイメージに関わらず、自由なアクションでどうぞ!)
このシナリオの概要
舞台は星幽塔の第一階層。
とある古城にて執り行われる、『仮面舞踏会』が今回の舞台となります。
盗みの最中、うっかり鉢合わせた青年に、突然求婚されてしまったフォルカ・ヴィクスン。
お相手は狼の獣人で、いわゆるセレブリティのひとり息子です。
彼は仮面舞踏会へフォルカを誘い、その場で返事を待つとのこと。
はすっぱながら恋愛事には疎いらしい彼女は大いに取り乱し、皆さんに協力を求めてきました。
仮面舞踏会に潜りこみ、彼がフォルカにふさわしい人物なのか、見極めるのです。
話通りの好青年なら、二人をくっつけるよう動くのも良いですし、
そうでなければ別れさせるよう仕向けるのもアリ。
あるいは「自分こそがフォルカと結婚するんだ!」と名乗りをあげ、
青年へダンス対決を挑む……なんて展開もOKです。自由にアクションしてみてください。
もちろん、フォルカはそっちのけで豪華な料理を食べまくったり、カップルでダンスを楽しんだり、
自由に過ごしていただいても構いません。
どなたでもお気軽にどうぞ!
アクションでできること
舞踏会には、仮面を身に着けていれば誰でも参加可能です。
(もちろん着飾る必要はありますが)
会場は、今は使われていない古城を改装したもので、以前は周辺で大きな戦いがあったようです。
そのためなのか、古城には多数のゴーストたちが住み着いています。
彼らは来場者を驚かせたりちょっとしたイタズラをしたり、なぜか給仕をしていたりします。
ビックリさせられることもありますが、料理やお酒を持ってきてもらったり、
ちょっとしたお願いを聞いてもらうこともできるでしょう。
広いメインホールの中央はダンスフロアになっていて、多くのセレブたちが仮面に正体を隠し、
優雅な音楽に身を委ね、社交ダンスを楽しんでいます。
フォルカのお相手、狼の青年もその中に混ざり、主に父親の取引先のご令嬢をダンスでもてなしています。
ホールの両端には豪華な料理やお酒が並んでいて、食べ放題の飲み放題です。
ほとんどは普通の料理ですが、中には星幽塔らしい、不思議な料理もいくつか混ざっているようです。
何を食べるかは自由に指定して構いませんが、決められない場合は、
コメントページにてサイコロを振り、ランダムに決定してしまうのもよいでしょう。
<不思議な料理>
☆左←のサイコロ
1.肉料理
2.魚料理
3.麺料理
4.サラダ
5.スイーツ
6.お酒・ソフトドリンク
☆右→のサイコロ
1.食べると、モンスターの姿に変身する
2.食べると、性転換する
3.食べると、身体がミラーボールのように発光する
4.食べると、ゴーストになる
5.食べると、強烈に異性を惹きつけるフェロモンを発散する
6.食べると、強烈に同性を惹きつけるフェロモンを発散する
※料理の詳細、変身後の詳細などは自由に設定してください。
おまかせもOK。
<お相手について>
表向きは好青年で通っている狼の獣人ですが、本当のところは分かりません。
ただ純粋にフォルカに一目ぼれしたイイヤツくんかもしれませんし、
裏では父親の言いなりで腹黒く悪辣な男かもしれません。
イイヤツならフォルカは告白を受け入れてお付き合いが始まるかもしれませんし、
皆さんが止めたならこれっきりとなるかもしれません。
全ては皆さんのアクション次第です!
(彼の素性や性格など、アクションでご提案いただければ、
こちらで面白そうなものを採用させていただきます)
NPCについて
○フォルカ・ヴィクスン
ナイスバディな狐の盗賊。恋愛についてはからっきし。
引くも進むも、皆さん次第。サポートしてあげてください。
○アイン・マクブライド
フォルカに告白した狼の獣人。いわゆるボンボンです。
仮面舞踏会にて、フォルカを待っています。
○ケイン・マクブライド
アインの父親。物流で財を成した名うての商人。
裏ではあんまりいい噂が無いようですが、果たして真実は?
○ルーク・ポーラスター
星幽塔を旅する剣士。恋愛については良く分からない?
アクションで呼ぶことができます。必要ならなにか手伝ってくれるでしょう。
星の力
星幽塔にいると、星の力 と呼ばれる光が宿ります。
★ 基本的な説明は、こちらの 星の力とは をご確認ください。
星の力やその形状は、変化したりしなかったりいろいろなケースがあるようですが、
このシナリオの中では変化しませんので、このシナリオではひとつだけ選んでください。
ひとともれいびにはひとつだけですが、
ほしびとには、第二の星の力(虹)もあります。
★ 虹についての説明は、こちらの 第二の星の力 をご確認ください。
アクションでは、どの星の光をまとい、その光がどのような形になったかを
キャラクターの行動欄の冒頭に【○○の光/宿っている場所や武器の形状】のように書いてください。
衣装などにこだわりがあれば、それもあわせてご記入ください。
衣装とアイテムの持ち込みについて
塔に召喚されると、衣装もファンタジー風に変わります(まれに変わってないこともあります)
もちものは、そのPCが持っていて自然なものであれば、ある程度持ちこめます。
※【星幽塔】シナリオのアクション投稿時、作物・装備品アイテムを所持し、
【アイテム名】、【URL】を記載することで、
シナリオの中で作物(及びその加工品、料理など)・装備品を使用することができます。
※URLをお忘れなく!!!
※オーダーメイド装備品について
鍛冶工房のトピックを経る(またはシナリオなどで得る)場合のみ
アクション冒頭で指定した星の力とは別に、装備品固有の《特殊効果》が認められます。
アイテム説明欄に、トピックでの完成時の書き込みURL・シナリオ入手時のURLを記載してください。
例:http://rakkami.com/topic/read/2577/2116
以上になります。
それでは、ご参加をお待ちしております~!