一日の仕事を終えた
中沢 リッカルドが家に帰ってきた。
固く締めたネクタイを指で緩める。軽く息を吐いて一本の白ワインを手に取った。早速、ワイングラスに黄金の液体を注ぐ。
にこやかな顔でグラスを口元に運ぶ。唇に触れる直前で動きが止まった。
卓上のカレンダーに目が留まる。
「二十六日……風呂の日です!」
語呂合わせを思い付いた途端、即座に動いた。スマートフォンを起動させて
ねこったーに急いで書き込む。
『寝子島では毎月二十六日を風呂の日に決めました!』
リッカルドは満足気にグラスを傾けた。
書き込みを目にした者達には、それなりの反響があった。
「二十六日は風呂の日?」
「寝子島の風呂の日はいいんだけど、それでどうなるの?」
温泉旅館の関係者や銭湯に関わる者達は一様に首を傾げる。町長の意図に迷いながらも値引きをする方向に流れた。
翌日、インターネットを介して、ささやかな宣伝が行われた。手作りのチラシを配る者もいた。半額が多く、無料を謳うところもあった。
街頭でチラシを受け取った男性は考え込むように立ち止まる。
「……今日って二十六日じゃないんだけど」
今日は日曜日。日差しはあるものの風は冷たい。風呂にゆっくり浸かるには良い日に思える。
二十六日とは関係ないが。
寝子島の町長の閃きで、寝子島では毎月二十六日が風呂の日になりました!
具体的にどうなるかはわかりません! 忘却の彼方に素っ飛んでいくかも!
時に勢いって大事ですよね? では、詳しい説明にゴー!
◎◎◎ 今回の舞台 ◎◎◎
日曜日の寝子島。
晴れてはいるが風は冷たい。
◎◎◎ 出来ること ◎◎◎
1:インターネットやチラシで割引を知り、客として風呂を楽しむ(温泉旅館、銭湯など)。
2:温泉旅館や銭湯で働く者として一日を忙しく過ごす(チラシ配り、温泉旅館の接待など)。
3:自宅の風呂を楽しむ(薬局で購入した半額の入浴剤、割り引きされたお風呂グッズなど)。
短いですが説明は以上になります。
寒い季節には温泉ですよね! 名湯を模した入浴剤は私もたまに薬局で買います。
白濁とした湯に肩まで浸かって目を閉じます。あとは想像力が補って、それらしい気分になれます。
あ、これってシナリオに使えるのでは、と閃いたなんてことはありませんよ! まあ、少しは。
良いお湯を用意して皆様のお越しを、お待ちしております。