寝子島タブロイド、寝子暦1369年6月○○日刊行
『脅威の大鍾乳洞! 鼻岬洞窟の最果てで寝子原人を見た!!』
そんな見出しの
寝子タブには1枚の写真が掲載されている。
体には日焼けのあと、そして足にはスニーカーを履いた半裸の男の後姿。手振れで曖昧ではあるが、明らかに原人といった風貌ではないのは確かだった。
「ええっと……龍目先輩……これは……?」
探検部の部室のテーブルに広げられた寝子タブを見て、ウェービーボブの金髪少女が不安そうに訊ねる。
彼女は
北原 みゆき、探検部の一員である。
6月のある日の放課後。部長である
龍目 豪から急な呼び出しを受けて探検部部員は彼女も含め数名が集まったのだった。
「今度の日曜日に洞窟探検に行こうと思ってな」
みゆきの質問に答える豪。その答えはせっかちな豪らしく結論でもあった。
「え……?」
急すぎて飲み込めていないみゆき。どう答えていいのか分からない彼女は、たれ目がちな瞳が伏せられる。
「部長ちゃんはぁ、鼻岬洞窟に寝子原人ちゃんを探しにいくの~?」
ほんわかした口調で首を傾げるのは
佐伯 芽莉依。大きな瞳と切りそろえられた前髪が可愛らしい。
「ああ、部の長期計画にも洞窟探検は入れてたから、この機会にぜひやりたいと思ってな。佐々。」
豪は頷いて、隣に座っている三つ編みの女子、
佐々 寿美礼に声をかける。
「そんなわけで! 部長君から頼まれて寝子タブに問い合わせた結果がこちらだよ!」
寿美礼が寝子タブの記者から貰ったと思われる資料を面々に配っていく。
『鼻岬洞窟は入り口が海食洞、内部が鍾乳洞である』
『内部のほとんどが未探査地域であり、寝子タブ記者以外の探索資料は少ない』
『第1回寝子原人捜索中に吸血蝙蝠の大群に襲われた』
『道を引き返したら地面が崩落し、その下に広がる地底湖と人食いサメの影』
そこには、有用な情報と胡散臭い情報が入り混じっていた。
「原人ちゃんに会うには様々な困難をクリアしないといけないのかな?」
資料を理解したのかしていないのか分からない雰囲気で芽莉依がマイペースに呟く。
「ま、探検に行くって話をしたら寝子タブの人がボートを用意してくれたからな。このチャンス逃すわけにはいかないってことさ! 急な話で申し訳ないが日曜の午前10時に出発だ!」
話を纏めるように豪が部員を見渡す。急な決定のため戸惑いもあるが反対するものはいなそうだった。
そこへ寿美礼が明るい笑顔でこう続けた。
「ま、いーよね! なんとかなるよ!」
『彷徨える寝子原人』もしくは、『かくて世界は腐心する』。
今回は『気軽に』洞窟探検へと参りましょう、どうも、深城です。
未知なる領域へ進むというのはなかなか勇気がいるもので。それが危険を伴うものであればなおさらです。
でも、それでもワクワクドキドキには変えられない、だからこそ探検家は前へと進むのでしょう。
余談ですが、ボート代は(寝子タブの)経費だそうです。経費で本当に落ちるんでしょうか?
寝子タブの水口記者の(給料やサイフの)運命は如何に!?
あ、今回は水口記者は同行しません、あしからず。
さぁ、解説へと移ります。
鼻岬洞窟
マップB-5(寝子島北西部)に存在する洞窟です。
基本的には海上からボートなどを使わないと入口には行けません。
外縁部は海食洞(波で削られた洞窟)で、入り口は干潮時(前後3時間)には徒歩で出入りすることができます。
満潮時(前後3時間)は小型のゴムボートなどを利用しないと入ることができません。
海食洞(入り口)付近はかの有名な『青の洞窟』には劣りますが、美しい蒼の世界を見ることができます。
内部は鍾乳洞の迷路となっています。
洞窟は主に九夜山方面へと伸びていますが、どこまで伸びているかは不明です。
道はいくつも枝分かれしており、今のところ他の入り口などは見つかっていません。
また、入り口近くはコウモリが飛来しています。
鍾乳石はつららのように天井から垂れ下がっているだけでなく、地面にも石筍と呼ばれるタケノコのような石が存在します。
また、地面は大変滑りやすいです。
足元には十分、お気をつけ下さい。
パンツ指定がありましたら、スカート履いてこられた方は描写するかもしれません(指定がなければ転ぶ描写のみなどで中身は書きません)。
内部環境は基本的には気温15度前後、湿度は高めですがほぼ一定に保たれています。
外部と通じる穴などがない限り、暗闇の世界であり、照明が必須です。
『一部例外の箇所』が存在する可能性はあります。
ボート
寝子タブからの厚意で、洞窟までの30人乗りボートが用意してあります。
星ヶ丘マリーナから午前9時半に出発し、午前10時(ほぼ満潮)に洞窟に到着します。
帰りは午後8時に洞窟から離脱します。
ボートの情報は探検部もしくは寝子タブの公式アカウントがねこったーで拡散していたり、
校内や寝子島内の掲示板に張り紙で書いてあったりします。
マリーナに向かう探検部を見かけたり、ノリと勢いで乗り合わせたなどでも構いません。
もちろん、他のボートで洞窟に向かうことも可能です。
※このボートには、洞窟進入用の小型ゴムボートもいくつかあります。数人ずつ乗ってご利用ください。
探検日程
探索は日曜日の1日だけです。
後述の干潮、満潮時刻にはくれぐれもご注意下さい。
干潮・満潮時刻
日曜日:干潮(午前4時、午後4時30分)、満潮(午前9時45分、午後10時15分)
※便宜的に満ち引きの周期のサイクルを12時間30分にしています。
彷徨える寝子原人
存在するかも不明な都市伝説です。
洞窟そのものの探索が不十分な為、どこかにある竪穴から進入した猿の成れの果てではないかとも言われています。
一方で、洞窟に潜む食人鬼説や古代民族説、見間違い説など諸説入り乱れています。
何をするの?
基本的に洞窟探検がメインです。
気をつけないと『迷子になりやすい』です。
『寝子タブの情報(あてにならない)』を基にいくつかルートをご用意しました。
どれかのルートは原人に遭遇できる率が高い『かもしれません』。もちろん遭遇できるかは皆さんのアクション次第です。
胡散臭い情報も付け加えてあります。
A:虫うじゃうじゃコース
蝙蝠の糞の下や、前の探索者が捨てた食料などを元に集まった虫の床がメインのコースです。
虫がダメな人にはきついかもしれません。
その先には虫を食べる生命体などが存在するかもしれません。
毒蛇がいるかも!?
他のコース比べて縦横狭い箇所が多い(縦横2mほど)です。迂闊に壁に触れると……?
B:コウモリコース
天井にコウモリが巣を作っているコースです。昼間は寝ていますが、夜や危険を感じると襲ってきたりするかもしれません。
もちろん足元は蝙蝠の糞があります。
神魂の影響で巨大化したコウモリなどいるかもしれません。
吸血蝙蝠がいるかも!?
また、このコースはコウモリがいるせいか他のコースに比べ、温度が高いです。
C:沼コース
崩落や土砂崩れの影響などで鍾乳洞に土が入りこんだコースです。
当然のことながら、水分を含んだ土となり、場所によっては50cm~1mほどの沼のようになっている場所もあります。
底なし沼や人食いワニがいるかも!?
他のコースに比べて水分が多いです、汚れやすいことや沼に体力を奪われやすいことに気をつけてください。
D:鍾乳洞迷路コース
他のコースに比べて正統派の鍾乳洞コースです。様々な鍾乳石などを見ることができます。
段差も多く、足元もでこぼこしてますので気をつけてください。特に転びやすいです。
無限ループがあるかも!?
他のコースに比べて分岐が多いですが、鍾乳洞を楽しむことはできるかもしれません。
E:アクロバティックコース
床や天井が崩落した結果、道が途切れ途切れになっています。
下層は池、もしくは大規模な地下水が溜まっています(もしかしたら流れているかもしれませんし、生命体が潜んでいるかもしれません)
人食いザメがいるかも!?
他のコースに比べて移動には工夫が必要です。
Z:その他コース
我が道を行く人へ。
大まかな指針を書いていただけると助かります。
例:竪穴を探す、ひたすら下層へと向かう、他の探検者を驚かせる、など
存在するかもしれない洞窟内の可能性の一部を以下に列挙しておきます。
見つけることができるかは皆さんのアクション次第です。
・洞窟寺院
・他の入り口
・神魂の影響を受けた巨大吸血コウモリ、謎生命体など
・彷徨える寝子原人
・横穴墓
・磁気異常
・どこかと通じているかもしれない
・マグマ溜まり
・?
地底湖や地下水脈を発見した際に泳ぐことも可能ですが(洞窟潜水=ケイブダイビングと言います)、とっても危険ですのでご注意下さい。
それでは、自由なアクション、無茶ぶりなどお待ちしております。
また、深城シナリオはアドリブ度高めを推奨致します。