女の子はとても困っていました。
雨の中、段ボール箱の中で震える子犬たちをどう助けたらいいか分からなかったからです。
女の子の家では犬を飼うことはできません。
今彼女に出来ることは、傘をさして、せめて少しでも雨がかからないようにしてあげることぐらい。
子犬の一匹がくしゃみをしました。このままでは病気になってしまうかもしれません。
女の子の目から大粒の涙がこぼれそうになった、その時。
「どうしたの? お嬢さん」
女の人の声がしました。振り向くと、そこにいたのは着物姿の女の人と、スーツの男の人。女の人はハンカチで涙を拭いてくれました。
女の子が事情を話すと、2人はうなずき合い、子犬たちと女の子を動物病院へ連れて行ってくれました。
2人はそのまま病院のお金を出してくれて、飼い主探しは病院の先生と患者さん(の飼い主)が手伝ってくれたのです。
そのおかげで、子犬たちはみんな元気で暮らしています。
夫婦らしい2人は、その後ぷっつりと行方が分からなくなってしまったのですが、女の子はどうしてもお礼が言いたくて、手紙を書くことにしました。
TV番組『あなたのヒーロー教えて下さい! ヒーローインタビュー』宛てに。
数日後、女の子の元には番組のスタッフ達が訪れ、犬連れの男の人に取材を受けることになりました。
「こんにちは! 僕は天川春太郎です。こっちは相棒のユキ。お手紙を送ってくれてありがとう。君のヒーローについて、教えてもらえますか?」
女の子は緊張して言葉を詰まらせながらも、助けてくれてどんなに嬉しかったか、お礼の手紙と子犬の写真を持ってきたことを答えました。
「そうなんだ。子犬たちは幸せに暮らしているんだね。僕とユキも嬉しいよ」
りりしい顔立ちの犬がわん! と一声吠えました。男の人はにっこり笑ってこう続けます。
「じゃあ、提案だ。これから君のヒーローに会いにいかないか?」
「えっ、会えるの? 本当に?」
聞き返す女の子に、もちろんさ、と男の人は胸を叩きました。
「だってこの番組は、『ヒーローインタビュー』なんだからね!」
かくして、番組の計らいでヒーローに会えた女の子は、嬉し泣きをして、再び涙を拭かれることとなりましたとさ。
皆様こんにちは! 陣 杏里です。
今回のシナリオは、日常系のほっこりヒーロー物語をお送りします。
どうぞよろしくお願いします。
シナリオ概要
寝子島にTVの取材がやってくることになりました。番組にお便りをくれた人のヒーローにインタビューをする、『あなたのヒーロー教えて下さい! ヒーローインタビュー』という番組です。
司会進行役NPCとして、【季節はずれのきもだめし! 『日本ぞくぞくツアー』】に出ていた青年、天川 春太郎(あまかわ しゅんたろう)とシベリアンハスキーのユキが登場します。
※このリアクションをお読みになっていなくても、全く問題ありません。
何ができるの?(アクション)
1:ヒーローになりたい!
雨の日、傘がなくて困っている人にそっと傘を差し出したり、素直になれずにすれ違っているカップルの背中を、少しだけ押してみたり。はたまた道に迷っている人を案内したり、券売機のタッチパネルが反応しなくて困っている人を助けたり……そんな日常系ほっこりヒーローになりたい方はこちらをどうぞ!
どんな風に困っている人を助けたのか、TVのインタビューには堂々と答えられるか、それともドキドキに緊張してしまうのか……ノリノリでお書きください。
もちろん「普段は何の変哲もない学生だが、実は影で人助けをしていたのさ! クラスのみんなには内緒だよ★」というアクション(一例)もOKです。
2:ヒーローにお礼を言いたい!
例えば。深夜、帰宅してドアを開けようとしたら……スマートフォンがない! 飲み歩いていたので記憶もない! わらにもすがる思いで交番に行ったら、届けられていた! ピンチを救ってくれた誰か――どうしてもお礼が言いたいけど、どこの誰か分からない。もしくは、恥ずかしくて勇気が出ない。
そんな時でも、TVの力を借りればお礼が言えるかも知れません。
どんなピンチを助けてもらったのか、どんな風にお礼を言いたいのか、熱くお書き下さい。
※番組へのアクセス方法は、お手紙、メール、FAX、公式ねこったーなど、様々な方法で受け付けております。
ご希望の方には街頭での突撃インタビューもございますので、1、2問わず、どのようなルートで番組に関わることになったかを、アクションにご記入下さい。
NPC紹介
・天川 春太郎(あまかわ しゅんたろう)25歳/男性
シンガーソングライターの青年。「ぞくぞくツアー」で度胸がついてきたのを見込まれ、「ヒーローインタビュー」の司会に抜擢される。でも、やっぱりまだインタビューはちょっぴり緊張してしまう。
・ユキ(シベリアンハスキー) メス/1歳
春太郎の飼っている愛犬。「ぞくぞくツアー」の時よりさらに人なつっこさに磨きがかかった。緊張しがちな春太郎を察しているのか、知らない人にもグイグイ行く。しかし、最近はGOサインが出るまで伏せで待つことも覚えた。
マスターコメントは以上です。
では皆様、日常系ほっこりヒーローものを存分にお楽しみ下さい!