「う、うう……お腹すいたのだ……」
秋の穏やかな陽が降り注ぐ旧市街で、
宮祀 智瑜は蹲っている少女に目を丸くした。彼女は自転車を押しながら少女に駆け寄り、その顔を覗き込む。
「だ、大丈夫ですか!?」
「ううー……ん!? 野菜!?」
少女は智瑜の自転車に目を向けると、それに載っている配達用の野菜に飛びついた。智瑜はそれに驚くと、少女を自転車から引き剥がす。
「こ、これは食べちゃダメです!」
「なんだ……残念なのだ……」
がっくりと肩を落とす少女を気の毒に思ったのか、智瑜はポケットからお菓子を取り出すと少女に差し出した。
「代わりにはい、これ……」
「ありがとう!!」
少女は貰ったばかりのそれをバリバリ開けてサクサク食べる。それによって少女は先程までの様子が嘘のように元気を取り戻した。
「助かったのだ! もう少しで飢え死にするところだったのだ!」
「そうなんですか……あの、おうちは」
「イムイムは星幽塔から来たのだ。だからおうちはちょっと遠いのだ」
「そ、そう……ですか」
智瑜はイムイムの勢いに困惑しつつ、イムイムの言葉の続きを待つ。イムイムはポケットを探ると、再びがっくりと肩を落とした。
「お礼したいけど、お金持ってないのだ……」
「そんな、お礼なんて」
「そうだ!」
しかし突然、イムイムは顔を上げる。
「イムイムは占いが出来るのだ! もし占ってほしいことがあったら占うのだ!」
「え、えっと……急にそんなことを言われても……」
「そうか……もし思いついたら来てほしい! イムイムはしばらくここら辺にいるのだ!」
「ええっ!?」
『商店街に占い少女!?』
それから数日後、こんなネット記事が発表された。掲載元がジョークサイトだったため、大凡の生徒はいつもの与太話だと相手していなかったが、智瑜はそこに載った写真を見て動きを止める。
「こ、この子……あの子だよね?」
そして放課後、恐る恐るイムイムがいるという場所に来た智瑜は、彼女に群がる人々を目の当たりにした。
「宝くじの当選番号!」
「それは占えないのだ!」
「俺の寿命何年?」
「それも無理なのだ!」
「彼氏の浮気相手を呪い殺して!」
「それ占いじゃないぞ!? 別れることをおすすめするのだ!」
断られた人々は残念そうに踵を返してその場を去っていく。
「先輩と後輩、どっちを選んだらいいか占って!」
「わかったのだ! んむー……んむむむむー……」
しかし、聞き入れられる相談もあるようでイムイムは菓子パンをもぐもぐしながら腕を組み唸り始めた。智瑜はだんだん悩み始めた。
「どうしようかな……」
お久しぶりです、六原です。
リアクションの遅延が続き、大変申し訳ございませんでした。
今後このようなことがないよう改善に努めます。
ガイドに登場いただいた宮祀 智瑜様、ありがとうございました。
ご参加の際はガイドに関わらず、自由にアクション書いてください!
◆概要
旧市街の裏路地に占い師の少女が住み着きました。
普段は寝子島を観光していて、ご飯をもらうとそのお礼に占いをするそうです。
少女の存在やねこったーや寝子校内で噂になっています。
なくし物の場所・宝くじの当選番号や生死に関わることは占えません。
扱っているのはあくまで占いのため、不思議な力で何かができるわけではなさそうです。
アクションには、「何を占ってほしいか」をお書きください。
必要なら付随する情報、良い結果や悪い結果に対する反応なども、自由に書いて構いません。
◆登場NPC
イムイム:水色の髪と群青色の瞳を持つ少女。スライムのほしびとを名乗ってるが、本当にスライムかは不明。商店街の裏路地のどこかにドンとテントを構えており、ご飯やおやつをくれた人にお礼として占いをする。
占いの判定ですが、六原がアクションに書いていただいた内容をもとに現実でタロット占いをします。リアクションではその結果をイムイムがタロットカードで示し、占い対象のPCさんにとって心当たりがあるようなワード、境遇や過去の出来事などと少しでも絡めた言葉でフンワリと伝えます。(例:塔の逆位置→「最近、環境が大きく変わったとかそういうことがあったんじゃないか?」)
それではご参加お待ちしています。