旧市街、表参道商店街の一角にある小さな時計店。
木造の暖かな扉をくぐると、店内には数多くの時計が、それぞれの時を刻んでいた。
その店の名は「
仁科時計店」
その店主である
仁科 宝良の手によって、またひとつ「思い出の宝箱」と名付けられた懐中時計が生み出されようとしていた。
「ひとまずこんなもんだろ。さて、茶でも飲むか」
時計作りの工程を中断し、宝良が席を立ったと同時に真っ白な毛玉が足元をすり抜ける。
どこから迷い込んだのか青い目をした白い猫が、はたまたどうしてそうなったのか作りかけの時計を首にかけて、
小さくにゃあと鳴き声をもらした。
「おいおい、そいつはおもちゃじゃねぇぞ?」
小さく苦笑をこぼし、作りかけの時計を取り上げようと猫に触れる。
「っ!?」
カチカチと、時を刻む針がぴたりと止まる。
そしてカチカチ、カチカチと。秒針が回る。明らかに時を刻むよりも早く。
カチカチ、カチカチ。
そして次に秒針が止まった時、宝良の瞳にはもう白猫も時計も映ってはいなかった。
「これ、は」
宝良の目の前には、見慣れた顔が。しかし、記憶にあるそれよりも幾分年齢を刻んだように見える。
「未来の、俺……?」
その風景に気を取られているうちに、白猫は宝良の手をするりとすり抜け、扉の外へと歩いて行く。
首にぶら下がった懐中時計が、正確な時を刻んでいた。
こんにちは、時織です。
未来の自分は、どうなっているのでしょう。
何がTrue Endかはわからない。けれどそんな未来のひとつ。
・白猫に触れると未来の自分を見せてもらえます。
ただしその記憶の中で起こったことは現実に影響を与えません。
・会話は出来たりできなかったりします。
このあたりは皆様のアクションに沿いますので、ご希望のようにお書きください。
・対話がご希望なら対話。未来のワンシーンも見ることができます(例、彼女に刺される)
・自分以外の人間や動物は基本登場しません。未来の自分との1対1です。
(ただし人物が特定できない程度に登場は可能。上記の彼女役など)
・白猫単体、時計単体では見えません。両方同時に触れると強制的に見せてくれます。
・このシナリオで描かれた未来は「必然」ではありません。
今後、このシナリオとは違う結果になる可能性の方が大きいです。
「未来の僕へ、将来の夢は叶いましたか?」
なんて、小さいときに書きませんでしたか?
あの日書いた未来への手紙。その答えを。