神の炎が宿った時、「ね」と「こ」はこころを手に入れました。「ね」と「こ」は突然目覚めましたが、さみしくはありませんでした。なぜなら「ね」には「こ」が、「こ」には「ね」がいたからです。
「ね」と「こ」はいろいろなことを知りました。
自分たちをつくったのは、ひとであるということ。
ひとは「ね」や「こ」、そのほかの目覚めていない仲間たちの名を決まった順番で呼ぶことによって、気持ちを通じ合わせていること。
今いる場所は、「ね」と「こ」に関係ある名前で、「ね」と「こ」に縁の深い生き物がたくさん、たくさんいること。「ね」と「こ」はいつもいっしょにいられることを喜びました。
でもじきに、「ね」と「こ」はくたくたになってしまいました。
「ね」と「こ」は島のひとたちに、しょっちゅう名前を呼ばれるのです。呼ばれるたびに、飛んでいって、決まった場所に座らなければなりません。こころがない時はなんとも感じませんでしたが、これはほんとうにくたびれることでした。
「この寝子島はほんとうにいいとこだよ」
「猫ちゃん猫ちゃん、おいで~」
「ねえねえ、これ見て!」
次の朝、「ね」と「こ」は決めました。
同じ炎を持つひとたちに、力を合わせて語りかけました。
「旅に出ます。夜にはもどります。探さないでください」
【シナリオ概要】
寝子島から「ね」と「こ」の文字が消滅しました。
もれいびの皆さんは、早朝に「ね」と「こ」の決意を聞きます。ひとの皆さんの多くは、何も聞くことはないでしょう。やがて島中の人は、「ね」と「こ」の発音も、文字も、なにもかも失われていることに気づきます。
「ねこ」と言おうとしても、言葉になりません。
自分は「ね」「こ」と言いたいんだ! と言うことすら、思い浮かびません。足りない音があるのはわかるのに、その二つに思い至ることは決してないのです。
本や看板など、かつて「ね」と「こ」があった場所は、「■■島高校」のように穴になっています。寝子島はこの日、名前のない島となります。
「みちこ」ちゃんは名前の一部を失い「みち■」ちゃんになってしまいます。なんとか本日だけは、別な呼び方を考えないといけません。「ねこったー」は「■■ったー」になっているでしょう。
漢字の場合、「ね」と「こ」と読む場合だけが消滅します。「音楽(おんがく)」は無事でも、「音色」は「■色」になってしまいます。
黙字・伏字だらけの奇妙な時間を、あなたなりに乗り越えてください。
無理して発言しようとすると、おもしろいことになるでしょう。
ドタバタ、コメディ推奨です。
【「ね」と「こ」について】
「ね」と「こ」には実体がありません。神魂によって考える力を得た言葉、文字という概念です。なので、彼ら(?)を見つけて捕まえるというのは、ほぼ不可能というレベルで至難でしょう。
「ね」と「こ」がこころを得たのは、運命のいたずらのようなものです。夜になれば自然に解決します。そのころには「ね」と「こ」は普通の文字に戻っているでしょう。
夜になると元に戻るというのはプレイヤーだけが知りえる情報です。
【描写について】
キャラの発言では使えませんが、状況や心情の描写には「ね」と「こ」を使っていただいてかまいません。
失われた音は日本語の発音に基づく音とします。なので、他言語で回避するという方法もありますが、マスターは英語、フランス語、ラテン語以外は初歩の初歩しかわかりません。先に述べた三言語以外をリアクションで扱う場合、高確率でデタラメ外国語になってしまうことをご了承ください。
マスターはその権限をおおいにふるい、存分に「ね」と「こ」の二文字を使わせていただきます! 五十音全部自由に使えるってほんとにいいですねえ……(´ー`)