星幽塔の夜。
基本的には静かな夜である。現代の都会の様な喧騒はない。
木々が揺れる風の音、無視の出す音色、そこにあるのは自然が奏でる音のみ。
だがそこに突如悲鳴が混じる。
「うわぁっぁぁぁあ!」
「あっ、動かないで……すぐ、すむからぁ?」
森の一角で若い男性の上に露出の高い衣装を纏った悪魔の角と翼をもった女性が馬乗りになっている。彼女は男性の首筋に軽くかみつき、何かを吸っているようだった。
ピンク色のオーラが男性から女性へと吸い取られるように移動していく。
男性はがくがくと震え、次第に顔から生気がなくなっていった。
「あ、おお、あ……っ」
「そうそう、いい子よ……そのまま吸われて……昇天しちゃえっ、ちゅっ、はむっじゅるるるるっ」
「うわぁっぁ、やめ、し、ぬ……」
男性は抵抗しようと試みるが、何も抵抗する事ができない。
抗えない快楽が彼の体を支配し、身を捩る事すら許さないのだ。
ミイラの様に皮と骨だけの姿となった男からどくと少女は口を拭う。
その表情は実に満足そうであった。
「ふう、まぁこんなものよねぇ……あら、またお客さんなの?」
「……困るんですよォ、近くでこんな事されたらァ」
そこに立っているのは際どい衣装に身を包んだわがままボディの女性。
髪色は黒く、肌は褐色でその目はピンク色に輝いている。
体の所々には赤いラインが走り、彼女が普通ではないことを示している。
男が見たら誰もが目を首付けにされるような際どい衣装の女性……ダストは女性に向かって黒い剣を手の平から顕現させる。
「ふふ……なんのつもり?」
「ダストちゃんのお店の為にィ、邪魔者をお掃除するんですよォ!」
低い姿勢で弾丸が打ち出されたように地面を疾駆するダストはそのまま横薙ぎに一閃。
だが悪魔の少女はそれを難なく躱し、反撃とばかりに数本の氷の矢を精製、放つ。
至近距離からの攻撃にダストは咄嗟に横に飛んでそれを躱した。
「あはははは! 甘い甘い!」
「……っ!? あぁぁぁぁぁッ!」
ダストが着地する瞬間、足元から氷の刃がいくつも現れた。
それらはダストの身を切り裂き、彼女に致命傷を与える。
ダストは肩で息しながらも痛みを無視し剣を回転させることで氷の刃を全て砕いた。
体からは紅い血が流れ、地面をじわりと染めていく。
「はぁ、はぁ……やりますねェ……っ」
「そんな体で余裕だよね、お姉さん? 大丈夫……すぐに……えっ!?」
少女は驚き、目を見開く。なぜならダストの受けた傷は煙を放ちながら次第にふさがっていったのだから。
数秒も経たずに全ての傷は塞がり、彼女のダメージはなかったものとなった。
「反則じゃない!? そういうの!? ティルナちゃん、帰るぅーー!!」
「あっ、逃がすはずがな――――っ!」
「悪い、ここから先はいかせられないんだよなぁ」
「そうそう、邪魔しないでくれるかな?」
「あの子がやられると、あたしも困るんだよねー」
ティルナを追いかけようとしたダストの目の前には3人の人物が立ちはだかる。
一人は短髪で青髪のつるぺたボディを持つ少女。
「このアリーエがあんたなんかからっからにしてやるわ、覚悟なさいよ」
もう一人はどう見ても見た目は金髪の可愛らしい少女にしか見えない少年。俗にいう男の娘である。
「ボクはエルっていうんだ。ま、教える意味もないだろうけど。君じゃ、数分持たないんじゃないかなぁってさ……ふふっ」
最後の一人は長身で赤い髪をした細身の眼鏡をかけた男性。
「俺はヒサギだ。はぁ……早くしてくれないか。こんな事に費やす時間が惜しい」
アリーエ、エル、ヒサギに囲まれ、ダストは後ろに後ずさる。
消耗している現状、無傷の三人とやりあうのは分が悪いからだった。
「あはははは! 逃がすと思ったの! 死になよっお姉さん!!」
「逃げられるんですねぇーあひゃはっ!」
ダスト目掛け振り下ろされたエルの大鎌の刃を赤い鎖が弾く。
それはダストを守る様に展開され、続いたアリーエの魔法すら弾いて見せる。
「なによっこれ!」
ダストを赤い鎖で引っ張り、共にその場を離れようと走るのは彼女と似た姿をした金髪紅眼の女性ツクヨであった。二人は色と衣装以外、その姿が似通っている。
「ははっ、なんのおつもりですかァ? 貴女は……ダストちゃんを助ける理由なんか……」
「あるんですよぉ? これも皆さんの影響かもしれませんねぇ……困っている誰かの力になる、それを教えてもらいましたからぁ……」
二人は走る速度を速めながら、後方から追いかけてくる三人を警戒し森へとその身を隠すのであった。
◆
とある村の集会所を借り、ある男性に呼び出されたあなた達は目の前に広げられた森の地図を眺めていた。
「よく集まってくれた、俺の名はハガル。知っている奴もいるかもしれないが一応自己紹介を。俺は異世界の崩壊を食い止める為、寝子島を破壊しようと攻撃した、だがそれを間違いだと気づかせてくれた奴らがいたんだ。そう、君達だ。君達のおかげで過ちに気づけた俺は、こうして異世界の困った事件の解決に協力しているわけだが……今回の件、どうにも俺だけでは荷が重い。そこでこうして集まってもらった、というわけだ」
「そうなのですよっ! 非常に大変な……わぷっ!?」
「はいはい、ちーあは黙っていましょう。ハガル、続けていいわよ」
「……うむ」
水色髪の小柄な少女ちーあが余計な口を挟まない様に黒髪ツインテの少女イザナが彼女の口を押さえた。
ハガルは静かになったのを確認し、集まったあなた達にホワイトボードの様なものを出し、説明を始めた。
「いいか、今、この村の付近で男性、女性問わずミイラ化して発見されるという異常事態が発生している。目撃者はいない上に、被害者は全員死亡。手掛かりになるようなものはあまりない。わかっているのは四人組であるという事、夜闇に紛れた犯行、ちーあが事前にサーチしたある程度の戦闘情報という事だけだ。現在、ツクヨが唯一の目撃者であるダストを保護、森の中に身を隠している。なるべく早く、彼女隊と合流し、目的の不届き者達を討伐してもらいたい」
事情を聞き、ある者は奇怪な現象に怯え、ある者は強敵の打倒に闘志を燃やし、またある者は黙したまま立ち上がり村の集会所を後にしたのだった。
お初の人もそうでない人もこんにちわっウケッキです。
今回、割と登場人物が盛りだくさんなのでにぎやかですねー。
まず初めに、このシナリオではろっこんが強力に描写される場合があります。
概要
さて、今回の目標は第一階層の辺境にある森に潜む妖しい4人組を討伐もしくは撃退する事が目的です。
彼らの情報はちーあが纏めてくれたのでそれを参考にしてみてください。
また、今回の件を知らずに遭遇、知っていて助けにきた、村の一員だったなどのアクションもお待ちしておりますので、ご自由に色々と考えてみてくださいっ!
アクション
◆進行ルート
※これ以外のルートも歓迎ですっ
・ティルナを追う
ティルナを追う為、空中バイクをハガルから借り受け、逃げるティルナを追うルート。
基本的に高高度での空中戦になる為、落下に注意。
なお空中バイクには機関砲2門と小型ミサイルが4発搭載されている。
ハガルが小型空中戦闘艦『ディグニ』で随行する。
消耗、損傷した場合、ディグニにて補給・修理が可能。
・森に潜むツクヨとダストを救出する。
エル、アリーエに追われているツクヨとダストを救出する。
ちーあ、イザナが同行。
ちーあのサーチ能力をうまく使って二人を敵よりも早く見つける必要がある。
なお、サーチはちーあを中心に100mほどの距離が有効範囲となる。
・ヒサギを迎撃する
突如、村を襲撃してきたヒサギ。彼を迎撃する。
強力な近接格闘術、瞬間移動などを駆使するので注意されたし。
◆敵対生物
※ちーあのサーチによるものなので知っていても知らなくてもOKです。
なお、今回の敵は情報が少ない為に敵の能力の的中率は84%であり、若干実際の攻撃方法が異なる場合があります。ご注意ください。
ティルナ
:サキュバスの少女。触れた相手、噛みついた相手の生気を奪う。
男性しか狙わない。氷の魔法を使用する。
アリーエ
:二刀流を扱うサキュバスの少女。巨乳。風を武器に纏わせ、速度を向上させることができる。
女性が恋愛対象であり、それは捕食対象が女性であることも意味する。
首筋に触れることで相手の生気を奪える。
エル
:インキュバスでありながらサキュバスの服装や見た目を模倣する少年。
俗にいう男の娘。捕食対象は男性である。大鎌を用い、見た目に合わない近接型の戦闘を用いる。また、相手を魅了させる何らかの能力がある模様。
手を握る事で相手の生気を奪う。
ヒサギ
:眼鏡で長身、整った顔立ちのインキュバス。美形である。
スーツの様な服を纏い、常に必要最低限の動きで戦う模様。戦闘方式は近接格闘術。
相手の耳を噛むことで生気を奪う。
なお、捕食対象は男性であり女性は嫌い。
◆ちーあの支給品
ひとつだけもらうことができます。
・ぶるんティング
身の丈程もある長剣。だが力がなくても扱えるほどに軽い。
さらに剣の心得がなくとも握った瞬間、ある程度剣を扱えるようになるサポート機能付き。
巨乳、貧乳とわず、使用者が自分や他人の胸をみると硬度が増します。
なお自身の恋愛対象の性別以外を見ても反応しません。
・たゆんライフル
ライフルの形をした武器で魔法の弾丸を発射する。
銃の心得がなくてもある程度扱えるサポート機能付き。
胸のサイズに弾薬の数が依存しており、巨乳な人ほど多数撃てる。
弾薬が空になった場合一定時間もたらされる『快感』を代償に補充可能。
男性も使用できるが撃つたびに胸部に激痛が走る。
・アヤシイオーブ
アヤシイ色に光るオーブ。
持つと火球を放つ、土礫を盾にする、水柱を放つ、雷を落とす魔法が使用できる。
ただし、使えば使う程にアヤシイゲージなる物が溜まり、最大まで溜まると使用者に『耐えられないレベルの快感』がもたらされ、一定時間使用できなくなる。
・ポインティングセンサー
撃った箇所に味方にのみ判別可能なマーカーをつける事ができるハンドガン。
これ自体に殺傷能力はないが、マーカーには数秒後、ハガルによる遠距離砲撃が降り注ぐ。
マーカー設置から30秒ほどで着弾、範囲は円形に200mを爆砕する。
巻き込まれない様に注意。
登場人物
ダスト
:かつて敵対した生気を糧とする夢魔の少女。幾度となく闘い、割とあくどいこともして
きたが現在は星幽塔第一階層のとある町にて『夜に人々を癒すお店』なるものを経営している。
人々に害を為すよりも良い生気の集め方を見つけたらしい。
その姿はツクヨと似ているが、色が反転している。
彼女は変身、コピー能力を持つのでただ単に気に入って彼女の姿を模しているようである。
戦闘能力は高いが、スタミナに難あり。
ツクヨ
:わがままボディの戦闘狂の女性。特徴的な笑い方をする。
露出の高い服装を好んで身に纏う。
戦闘は遠近両用型でオールマイティに戦える。
ダストとは色々あったが寝子島の皆のおかげで今の所は敵対する気はない。
ちーあ
:皆様を異世界に放り込む張本人。今回は星幽塔という事で移動面ではなく、情報収集の方面で働く。
ちっぱいで小柄であり、周りがたゆんぼいんばかりなのを気にしている。
材料は必要だが、無から物を作り出す能力を有する異世界の管理者見習いである。
ダメな所は笑顔でカバー。
イザナ
:黒髪ツインテの少女。ちっぱい勢。
割と露出の高い衣装を好むがそういうのが好きなのではなく、動きやすさを重視しているらしい。
両腕が異形の腕であり、それを用いたパワー型の戦闘や専用の雷を凝縮した刀剣で近接戦もこなす。
なお、普段は面倒くさがりでありゲームやお菓子を食べて部屋に引きこもっている。
ハガル
:かつて寝子島に進行、あと一歩で地上に到達というところまでいったが寝子島の皆とちーあ達によって撃退される。その時に改心しており、現在は異世界のやっかいごとをちーあ達と共に片づける毎日。
基本的に移動母艦となる小型空中戦闘艦『ディグニ』を指揮している。
今回も後方から支援してくれるようだ。
星の力
星幽塔にいると、星の力 と呼ばれる光が宿ります。
★ 基本的な説明は、こちらの 星の力とは をご確認ください。
星の力やその形状は、変化したりしなかったりいろいろなケースがあるようですが、
このシナリオの中では変化しませんので、このシナリオではひとつだけ選んでください。
ひとともれいびにはひとつだけですが、
ほしびとには、第二の星の力(虹)もあります。
★ 虹についての説明は、こちらの 第二の星の力 をご確認ください。
アクションでは、どの星の光をまとい、その光がどのような形になったかを
キャラクターの行動欄の冒頭に【○○の光/宿っている場所や武器の形状】のように書いてください。
衣装などにこだわりがあれば、それもあわせてご記入ください。
衣装とアイテムの持ち込みについて
塔に召喚されると、衣装もファンタジー風に変わります(まれに変わってないこともあります)
もちものは、そのPCが持っていて自然なものであれば、ある程度持ちこめます。
※【星幽塔】シナリオのアクション投稿時、作物・装備品アイテムを所持し、
【アイテム名】、【URL】を記載することで、
シナリオの中で作物(及びその加工品、料理など)・装備品を使用することができます。
※URLをお忘れなく!!!
※オーダーメイド装備品について
鍛冶工房のトピックを経る(またはシナリオなどで得る)場合のみ
アクション冒頭で指定した星の力とは別に、装備品固有の《特殊効果》が認められます。
アイテム説明欄に、トピックでの完成時の書き込みURL・シナリオ入手時のURLを記載してください。
例:http://rakkami.com/topic/read/2577/2116