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「あのね、ぼく、また寝子島まで遊びに出掛けたんだよ」
「え? ひとりで? 危なくなかった?」
「こっそり夜に、ともだちと行ったんだよ。
そしたらね、街の中で『ものすごく人の想いがこもって輝くもの』が沢山あるお店を見つけたんだよ」
「え!? それってどのくらい『ものすごく』?」
「多分、あのお店にあるの全部持って帰れたら、ぼくらの街中のエネルギー【光のもと】が三ヶ月分無駄遣いできるよ」
「すごい!!」
「それでね。今度、そのお店からこっそり『そのすごいもの』を持ってこようと思うんだ。
成功したら、ぼくら、もっと美味しいニンジンだって、食べ放題になると思うんだよ」
「すごい! ぼくも行きたい! ついていっていい?」
「それじゃあ、みんなで行こう。
寝子島ってすごいんだよ。そんなお店がいくつもあるんだよ。その全部から持って来れたら、きっとぼくたちの生活は、もっともっとすごくなると思うんだ。
これで、みんなで、美味しいニンジンを食べようよ。
それで、みんなで【ぜいたく】するんだ」
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志波 武道は、どこからともなく、そんなやり取りを夢に見た気がした。
朝、窓から眩しい光が差している。
「あれは……」
夢の中の出来事は曖昧で、もう記憶の殆どから消えかけている。
しかし、内容は決して清々しい物ではなかったはずだ──それだけが胸に残り、複雑な思いを抱えながらも、武道は朝食の席についた。
その時、テレビが一報を伝えた。
寝子島のシーサイドタウンにて、チェーン店の質屋が今朝未明、強盗に押し入られて、中の貴金属が手当たり次第に奪われたというニュースだった。
「寝子島にしては、物騒な……」
思わず武道が言葉を漏らす。
事件は、今朝未明に発生したらしい。まだ起きてから殆ど経過していないらしく、朝の特番では殆ど情報らしい情報が得られなかった。
寝子島らしからぬ事件を見たせいか。それとも、今日に見た夢のせいだろうか。どうにも心がすっきりしない。
それは、今日は学校が休みで良かったと思う程。
武道はため息と共に、武道は朝食を終えて自室へと戻ってきた。
何気なく携帯からねこったーを起動する。
すると先程の事件は、やはりこの平和な寝子島では珍しいのか、タイムラインは質屋の襲撃事件についてのリツイートがあちこちに散見されていた。
すると、その中の一つに、武道はその内容は短いながらも、時折事件について呟やかれているツイートの中に目を引く内容を見つけた。
『これらは、全て噂だが。
建物のシャッターはひしゃげ、その中のガラスも何かが爆発したかのように割れていたらしい。
しかも店内の監視カメラの映像は【まるでカメラに写らない存在が運び出したかのように】宝石・貴金属が一人でに浮遊するように外を出ていったらしい。これは、不可思議な現象絡みかも知れない』──と。
「……」
この人物の書き込み自体は稀だが、それについては武道はよく覚えていた。このアカウントは、不可思議な要素があれば、こうしてまだマスコミには流れていない情報を呟く。
恐らく相手は、警察関係者のもれいびだろうと思われた。身分が分かればただではすまないだろうに、この人物は、警察組織では解決出来ない問題をこうして密やかにタイムラインに置いていく。まるで、誰かにこの問題を託すかのように。
「監視カメラでは写らない──」
それは、平和が大きく崩れる事態に置かれた『フツウではない』事態。
気になった武道は、引き続きタイムラインに目を通していく。
すると、本日の深夜から未明に掛けて。
現場近くを【貴金属をたくさん抱えた『二本足で歩くうさぎ』が、無邪気に嬉しそうに列を成して歩いていた】という目撃情報が、少ないながらも複数から上がっているではないか。
「……」
ここで、ようやく武道の中で夢と現実が繋がった。あの夢は──間違いない『うさぎ』達の夢だ。
そこにあった該当呟きの投稿内容については、共に上げられた画像には風景しか写っておらず「酒の飲み過ぎ」「おクスリはやめておいた方が」というコメントで溢れ返っているが。
「……うさぎ、か……」
武道は考え始めた。
この状況を前にして、これから何をするべきか。
少なくとも、事件は既に起こっているのだ。
そして、今朝見た夢の通りならば……このままでは、確実に、第二第三の被害が出る──
こんにちは、冬眠と申します。
今回のシナリオガイドに、志波武道様にご登場いただきました。誠に有難うございます。
もしご参加の程をいただけました際には、どうか是非アクションを掛けていただけましたら幸いでございます。
この度は、ただ今、さらに空間が不安定になった寝子島に、異世界から来た『二本足で歩く外見のうさぎ』達が、悪気なく暴走を始めました。
このままですと、寝子島中の質屋が電子機器では写らないうさぎ達の強盗に遭い、貴金属や宝石を奪い尽くされてしまいます。
以下より、詳しく現在の状況から説明させていただきます。
状況
▼今までの状況
空間の不安定な寝子島へと来た、二本足で歩く異世界の不思議なうさぎ達が、自分達の世界のエネルギー確保を目的に、寝子島の質屋を襲撃し始めました。
○『うさぎ』?
・異世界から来た、二本足で立ち歩く兎の外見をした生き物達です。
・大きさは、耳の長さを含めて人の膝丈程度から胸程度までと、個体によってまちまちです。
・うさぎ達の世界のエネルギーは【光のもと】と呼ばれており、それをニンジンに振りかけて食べることで食料の一部としています。
話によると、それを利用した『いんたーねっと』や『ぱそこん』と呼ばれるものもあり、文明自体はかなりハイテクなもののようです。
・【光のもと】の源は、人間の思い──【希望や夢、感情や願い】です。
今回の質屋襲撃は『質屋に売られた宝石・貴金属に沢山込められた人間の感情』を見た、一匹のうさぎによって計画されました。
・異世界の生き物の為、人の目には映りますが、写真・映像などには映りません。
・シナリオ
○『 コロシアイ 』
○星の降る夜<夜の散歩>
と一部衣装と大きさ、個体は全て違いますものの、完全に同種族のうさぎとなります。
今回、寝子島に訪れたうさぎ達には、全く悪気はありません。
基本的に、どのうさぎも『一攫千金! 少し遠出の二泊三日な遠足気分』です。
ですが、質屋への被害は甚大であり、警察は間に合わず、放置すれば他に数軒ある質屋も営業停止になってしまいます。
▼現状
うさぎ達の手により、最初の一軒目としてシーサイドタウンにあるチェーン店の質屋『マルチュウ』が襲撃されました。
質屋襲撃に成功したうさぎ達は、大量の戦利品を、襲撃箇所から大して離れていない、人気の来ない空き地に隠して、夜までにまた質屋を見付け、深夜に連続質屋襲撃作戦を決行しようとしています。
うさぎ達が目を付ける質屋の中には、シーサイドタウンの片隅にひそやかに佇んでいる、地元でも愛されてきたご老人が経営する質屋『ねこじ』も含まれます。
うさぎ達は基本『たーのしー!!』状態であり何も考えていませんが、ここが襲撃されたら一人のご老人が本当に路頭に迷うことになるなど、今回の爆破襲撃において、巻き込まれた人の未来への悪影響は計り知れません。
・うさぎの数は、8匹。
7匹はズボンだけを履いており、残りの一匹はこの計画を立てたうさぎで、上下に服を着ています。大きさは皆、耳を含めて膝丈から太腿までの間でまちまちです。
・基本的に、うさぎ達は土管が積み置かれたその広場を拠点として活動しており、昼間は次のターゲットを探すうさぎの他に、そこには常に何匹かのうさぎが待機しているようです。
・夜前に全てのうさぎが集合し、相談会議を開いた後、深夜から未明に掛けて質屋に襲撃を仕掛けます。
・うさぎ達が手に入れた貴金属、宝石などの戦利品は、持てる限りを手に持ったり袋に入れたりしていますが、時々持ちきれずにちらほら転がり落ちることがあるようです。
▼うさぎの武器
危険物として『シャッターやガラスなどの硬い物を壊す』用の【うさきんぐα(あるふぁ)】という爆弾を複数所持しています。
しかし、あくまでも障害物排除用ならびに、爆発時にまぶしい目眩まし用であり、人に向ける事は全く考えていないようです。
情報について
▼【PL情報(PC様が知る為には情報収集が必要となります)】
○うさぎ達の拠点
場所は(地図:G-8付近)、大きな石製の土管が横に積み置かれた茂みの多い広場です。
昼間は『冒険』(次のターゲットの目星付け)に出ていないうさぎ達が数匹遊んでいます。
○次に狙われる質屋
夕方までの間、シーサイドタウンに隠れもせず、うさぎが歩いて好奇心旺盛に街を探索しています。
一匹ずつの行動ですが、場所の目星はそのうさぎ達の目に留まった場所が狙われます。
夜前には拠点に帰り、その場所を共有するようです。
○うさぎの質屋連続襲撃
『せっかくだから、目星付けた所から全部持って帰ろう』と、最初にこの計画を立てたうさぎによって、一日目の夕方に他のうさぎへと知らされます。
行動について
▼具体的には、何が出来るの?
今回のシナリオに触れる範囲でしたら、ご自由に行動して頂けます。
事件につきましても、ねこったーで知った等、過去シナリオで『うさぎ』を知らなくとも、どなた様もご自由にご参加いただけます。
▼行動開始の時間は? いつまで行動できるの?
・うさぎ達が一軒目の質屋を襲撃した後の、そのニュースが流れた一日目の朝から行動できます。
・一日目の深夜から二日目の未明で、狙える限りの質屋が立て続けに狙われます。
放置していると、うさぎ達は二日目早朝に、拠点に戻って荷物整理をしたのち、そのまま全て持って帰っていってしまいます。
注意事項
▼アクションについて
○今回はPC様の行動によりシナリオの結末が変動致します。状況によりましては、後味の悪いシナリオとなる可能性もございます。ご注意ください。
○今回、公式NPCの登場は致しかねます。
○アクションにて『うさぎとの対話』もしくは『うさぎ撲滅』等の、完全に競合するアクションが発生しました場合には、内容の吟味と併せまして、ダイスによるマスタリングを行う可能性が御座います。
※そのマスタリング結果によりましては、競合した方どちらかの行動が反映されますが、
成功失敗問わず、その結果がエンディングにて良い方向へ向かうとは限りません。
今回はそれらの回避を兼ねての、軽い相談等を推奨しております。
それでは、久し振りの形式のシナリオの為、緊張しきりでございますが、
皆様の素敵なアクションを、心よりお待ち申し上げております。