深夜に近い時間帯、寝子島シーサイドタウン駅に電車が到着した。開いたドアから疲れた顔の人々がホームに吐き出される。
目立たない色のスーツを着た女性も人の流れに乗って改札を抜けた。やや視線を下げて足早に家路に就く。
街の喧騒が遠のいた。緩やかな歩き方に変わる。街灯に照らされた白っぽい道をぼんやりと眺めた。
「……これで、いいのかな」
女性は呟いた。
悔しいという思いが表情に出た。目が潤み、人差し指で軽く目尻を拭った。
何かを振り払うように軽く頭を振る。視界に『OPEN』という文字が飛び込んできた。
「こんなところに!?」
女性は立ち止まった。
灰色の立方体は剥き出しのコンクリートを思わせる。銀色の扉には『OPEN』の札が掛けられていた。
現代アートのような建物に女性は近づく。ドアの前で足を止めた。耳を澄ましたが何も聞こえて来ない。
ドアノブを握った。顔を上げて中へと入っていった。
歓声の渦に呑み込まれた。
女性はステージの袖で固まる。熱狂する観客に目を丸くした。
観客は女性の名前を叫んだ。アンコールを熱望する声を全身に浴びた。
スーツは華やかなステージ衣装に変わっていた。中央に置かれたマイクスタンドが出番を待ち侘びている。
諦めた夢の舞台で女性は涙を流しながら歌うのだった。
追い掛けていた夢。その輝きに魅入られ、努力を重ねる。
でも、あまりにも遠いのが夢。その輝きは眩し過ぎて、やがて目を逸らしてしまう。
そのような夢をもう一度! という内容のシナリオになります。
早速ですが詳しい説明に入りましょう!
∞о∞ 今回の舞台 ∞о∞
ある日の寝子島。曜日や時間帯は決まっていない。
PLがアクションで自由に選ぶことができる。
∞о∞ 立方体の建物 ∞о∞
外観はサイコロに似た立方体。剥き出しのコンクリートには銀色の扉があり、
営業中を示す『OPEN』の札が掛かっている。
今の生活に不満を持っているPCのところに現れ、銀色の扉を潜ると夢を叶えた状態で物語が始まる。
夢のような時間を過ごしたあと、PCは元の場所に戻ってくる。
時間の経過や姿に変わりはなく、いつの間にか建物は消えている。
※場面に合わせてPCの服装が変わります。能力や見た目の変化はアクション次第となります。
短いですが説明は以上になります。
立方体の建物の内部は不思議な空間になっています。
外観と違ってとても広い場所に出ることもあるでしょう(サッカー競技場、ゴルフ場など)。
夢に向かってがんばっている人が、もっと大きな夢を叶えた姿で活躍している、
なーんてアクションも素敵ですよね(横目でちらり)!
すっぱりと夢を諦めるために参加して、今の生活を充実させる、
という決意も受け付けています(横目でチラチラ)!
幅広い世代の参加を心よりお待ちしています。