「動物園の、無料チケット……?」
チケットの束から数枚を受け取って、
恵御納 夏朝は校長先生を見上げた。
なんでも富山県にある動物園のチケットだそうで。交通費もつくから是非いっておいで、とのことだそうで。
「ねこさんは、いますか?」
「ヤマネコさんならいるねえ」
「そっか……」
チケットをまじまじと眺めると、マスコットキャラクターなのかタヌキの森の助くんが『あそびにおいでよ!』とか言っていた。
寝子島で動物園というとまたたび市動物園だが、こことはまた違った昔ながらの動物園だそうな。
外も暖かくなってきた季節だ。
沢山の動物と、ひろい公園。
青空の下でクマさんやタヌキさんを眺めながら、ちょっとしたお散歩気分を味わってみるのもいいだろう。
さあ、動物園に出かけよう。
富山県は富山市にある動物園、アニマルパークへ皆さんをご招待します。
学生さんは校長先生から、社会人の皆さんは商店街の福引きやサービスで無料チケットを手に入れました。
山が多く空気と水が澄んでいて、普通に熊がその辺を歩いていることがある富山県ですので、それはもう広いフィールドをざっくり切り開いたワイルドな動物園となっております。
地図検索サイトのストリートビューで(ほんとに)中を歩いた気分になれたりするのですが、それだけではちょっと空気感をお伝えしきることはできません。
ということで、初めていらっしゃる方でも安心してお楽しみ頂けるガイドをご用意しました。
もし困ったら、ガイドにそって歩いてみてくださいね。
●困ったときのパークガイド
ご入園の皆様、アニマルパークへようこそ!
ここでは沢山の動物と豊かな自然、そして広い公園や池が皆さんを待っています。
端から端まで、公園や池まで会わせますと軽く一キロ以上の面積がありますが、園内バスが通っているので歩くのが苦手な方でも安心ですよ。
ではまずは定番の正面エリアから見ていきましょうか。
キリンさんやシマウマさん、トラやペンギン、フラミンゴといった日本では珍しい動物が皆さんをお出迎えです。
となりの郷土動物館ではタヌキやノウサギといった富山の森で暮らす身近な動物たちを見ることも出来ますよ。
あっと、この時点でちょっとした動物園並の広さがありますので、歩き回って疲れちゃった時はちゃんと休憩しましょうね。お水は大事ですからね。
けれどこのパークの醍醐味はここからです。
ムササビの村では、ムササビたちがくらす森の状態を残しつつモニターや望遠鏡でありありとした姿を観察することができます。
更に進んでいくとイノシシやクマ、バイソンやオオカミといったエリアに続いているのですが、そこかしこに森の小道ができていることに気づきましたか?
この小道を進んでいくと、大きな木々に囲まれながら花や動物たちの声を楽しむお散歩ができるようになっています。もしお散歩を楽しみたいなら、ここを歩いてみるのもいいかもしれませんね。
さて、富山と言えば立山連峰に住まうライチョウが有名ですね。
この動物園でもライチョウに会うことが出来ますよ。
天然記念物というとても貴重な動物なのでガラス越しになってしまいますが、ふわふわの毛皮に包まれた綺麗な姿を見ることができます。
おっと、山に住む動物といえばサルさんも、でしたね。山で時折見ることが出来るサルさんも、ここではのびのび暮らしています。
その先にはこれまた貴重なヤマネコさんが暮らすエリアがありますよ。
ツリマヤマネコとアムールヤマネコといって、とても数の少ない動物です。皆さんの知るネコさんの先祖にあたると言われています。
さて、バスを使ったとはいっても沢山あるいて疲れましたね。
日もだいぶ傾いてきました。
このあたりでご飯にしませんか?
お勧めは二つ。『カフェムームー』か『きりんさん食堂』です。
特にカフェムームーではタヌキさん型につくったカレーライスや、定番のハンバーグ、ミートソーススパゲッティなんかを扱っています。ちょっとしたカフェレストランになっているんですよ。
一方できりんさん食堂はその名の通り食堂です。そばにうどんにおにぎりと言ったやさしいご飯が食べられますよ。
他にも自然体験センターや池のボート遊びや公園でのバーベキューやアスレチック遊びや小さな遊園地エリアや馬やポニーやヒツジさんなどなど沢山見所はあるのですが、一日では回りきれない大きさです。
もし『こんな体験もしてみたいな!』と思ったらお気軽にスタッフに声をかけてくださいね。きっと素敵な体験ができますから!
それでは、よい一日を!