何気ない日常。
鳥が空を飛び、犬が散歩し、自販機のボタンを押せばコーラが転がり出る風景がある。
そんな風景が、ある日突然軋みと共に歪んだとしたら。
「これは、なんだ……?」
新田 亮はコーラの缶を手に、周囲の光景に顔をしかめた。
いつもの光景に被さるように、まるでCGが組み上がっていくかのように見慣れない人間が実体化していくのが見えたのだ。
散歩中の老人もその飼い犬もまるで見向きしない。
「自分だけが見えているのか? こりゃあ、明らかにフツウじゃあないな」
だが本当にフツウじゃないのはここからだ。
黒いスーツにフルフェイスヘルメットという姿で実体化した『狩猟者(ハンター)』は、亮めがけて猛烈なスピードで走ってくるではないか。
咄嗟に缶飲料を投げつけるが、ハンターをすり抜けて向こう側へと飛んでいく。
「攻撃は通用しないか。じゃあ……」
他の方法は、既に分かっていた。
なぜなら、彼にはこんな幻影も見えていたのだから。
――PLAY YOUR GAME!
――MISSION:現時刻から5時間、ハンターに捕まるな!
「逃げるしかないってことか!」
亮は全力で走り出した。
目的が決まれば迷う必要なんて無い。
なぜならば。
「これがゲームだっていうんなら、クリアすれば終わるってことだしな!」
ごきげんよう、さあゲームの始まりです!
あなたのキャラクターは休日の行動中、突如としてナニカのゲームプレイヤーに選ばれました。
内容は簡単。
町中に現われた数体の『ハンター』から制限時間中逃げきるという鬼ごっこです。
ハンターは妨害行動の一切が通用しないためとにかく逃げるしかありません。救いがあるとすれば壁をすり抜けたり人混みを無視したりといったことをせず、あくまでその辺の人間と同じような追いかけ方をするところでしょうか。
逆に言えばとにかく入り組んだ場所を逃げ回り、時に隠れ、場合によっては誰かを犠牲にして逃げ延びることができるということなのです。
■基本ルール
シナリオの前提条件とルールをまとめましょう。
このルールはゲーム開始時に通知されているものとして扱われます。
・ゲーム開始時にプレイヤーとハンターは寝子島のどこかにいる
(野外であればどこからスタートしてもOKです)
・ハンターはスタミナ無限の猛ダッシュで追いかけてくる
・自転車やバイク、タクシーといった加速用の乗り物の使用は禁止
・施錠された部屋などにたてこもることは禁止
・ハンターにつかまったらリタイア
・リタイアした人はゲーム終了までぐっすり眠る
・ハンターへの攻撃は(物理精神共に)無効
・5時間逃げ切れば勝利
■ゲーム中のイベント(※メタ情報のため取り扱いにご注意ください)
ゲーム中、一定時間が経過するとあるイベントが発生します。
発生することは事前に知らないので、アクションでは『こんなイベントが知らされたらこういう行動をとるだろう』といった具合で動くことになるでしょう。
・2時間経過『満員電車開放を阻止せよ』
イベント通知から30分後、寝子島シーサイドタウン駅にハンター満載の電車が到着します。
それまでに『寝子島高校の校長室』『寝子島中学校の校長室』『寝子島小学校の校長室』にそれぞれ設置されているハンターパスをゲットし、寝子島シーサイドタウン駅の改札口に投入せよ。
高・中・小の三枚のカードが投入された時点でハンター満載の車両はそのまま通過していき封印されます。
(※パスは一人一セットまで持てます。高校パスを何枚も持ち出して配る的なことはできません)
・3時間経過『危険地区から脱出せよ』
星ヶ丘、シーサイドタウン、旧市街が10分ごとに島外側から次々に危険地区に設定されていきます。
危険地区にいる者は例外なくハンターを呼び寄せるアラームが鳴り響き、そらはもうハンター地獄と化すでしょう。
そうなるまえに九夜山へと逃げ延びなければなりません。
全ての三箇所のエリアが全て危険区域化するのは大体、ゲーム開始から4時間半が経過した頃です。
・五時間経過『???』
ゲームクリア時になにがおこるか、キャラクターは知りません。
ですが、アクションの最後になにか願い事を書いておくとなにかいいことがあるかもしれません。しれませんよ。