シナリオ「寝子島怪異録（白影黒影編）」

寝子島怪異録（白影黒影編）

　寝子島の郷土資料館の所蔵品に『寝子島怪異録』という作者未詳の古い文献が残されていた。書名が示す通り、寝子島に起きた不思議な現象が項目別に書かれている。
　その項目の一つに『白影、黒影』があった。名は体を表す。白影は白い影の状態で視界に入り込み、黒影は黒い影で収まった。
　目撃者の証言によると、はっきりとは覚えていないらしい。多くの情報を集めてようやく姿形に行き着いた。
　二つの特徴的な影は人の心に強く働き掛ける。白影は善の心、黒影は悪の心を増大させるのだ。

　ある晴れた日曜日、寝子島で『白影、黒影』の発生条件が整った。
　島民はどちらの影に影響されるのだろうか。

　――怪異は密やかに忍び寄る。

ゲームマスターより

担当ゲームマスター

黒羽カラス

マスターコメント

今回は文献に書かれた『白影、黒影』の話になります。
どのような人物にも多少の善悪の心があります。あるはずです。無いと私がとても悲しい思いをします、ＭＳ的に。
それでは小難しいことは素っ飛ばして、以下に詳しい内容を書いておきますね。

白影と黒影

共通の特徴
１：唐突に視界に現れるので拒むことはできない。
２：ＰＣは影の種類に沿った行動を起こす（影響の強弱はアクション次第）。
３：影の影響は日曜日に限定。日を跨ぐことはない。

白影
１：目撃例が明るい日中に集中している。
２：日の当たらない場所では例外的に黒影を見ることもある。

黒影
１：目撃例が暗い夜中に集中している。
２：明かりの点いた場所では例外的に白影を見ることもある。

※どちらの影も見なかった場合（アクションの記入漏れ）はＭＳがＰＣに合わせて一方に決める。

影の説明は以上になります。
あなたは寝子島で、どちらの影に魅入られますか。
ＰＣの人柄を活かした影で一貫するのでしょうか。
または相反する影で新たな魅力を引き出すのでしょうか。

ＧＡを組むと更に話の奥行きが広がります。
対立してバトル展開、共に善行、揃って悪事も可能なのです（程度によりますが）！
得体の知れない怪異があなたを待っています。もちろん、私も心からお待ちしています！

寝子島怪異録、はじまりはじまり～。

サンプルアクション（1）

プレイヤーの目的・意図: 日頃は大人しいＰＣの意外な一面をお願いします。
キャラクターの目的・理由: コートのバーゲンセールに行く途中で、
なぜか口調が荒くなってしまって。
キャラクターの行動・手段: 黒影

「おはよう」
　部屋から新しい一日に声を掛けます。とても気持ちが軽くなり、わたしはプリマのように軽やかな動作で出掛ける用意を始めました。
「行ってきます」
　早めの帰りを両親と約束して、わたしは家を出ました。キャットロードを目指して歩きます。
「……あれは」
　少し先にコンビニがあります。手前の歩道に若者がたむろしていました。わたしはトラブルを嫌って横の路地に入りました。少し薄暗くて、なにか視界の隅で動きました。
「気のせい？」
　辺りを見回しても、おかしなところはありません。そのまま路地を抜けようとした時、急に腹が立ちました。
　どうしてわたしが遠回りしないといけないの？
「間違っているわ！」
　わたしは元の道に戻りました。若者のたむろするところに小走りで向かいます。
「通行の邪魔すんな、ボケ共がっ！」
　わたしの口から信じられない罵声が飛び出しました。若者はきょとんとしています。
「クソガキ、さっさと消えろ！　股間を蹴り上げんぞ！」
　若者は大人しく従いました。怖い人の娘と思われたようです。
　わたしは無事、バーゲンセールに間に合いました。
「ブタにコートは必要ねぇんだよ！」
　コートを巡る争奪戦の始まりです。