その日、寝子島にある全てのテレビでは近年稀にみる異常気象を訴えていた。
濃霧である。
しかも1メートル先がほとんど見えないレベルの濃霧となると、ここ数十年の記録にはなかった。
当然、車やバイクは危険でとても運転できない。交通機関は規制され学校も臨時休校となった。企業ですら一部は出社を見合わせるように連絡しているほどだ。
あなたは自宅の扉の前に佇んで、いつもの見慣れた風景が濃く白い霧のカーテンに覆われている様子に唖然としていた。
空も白く霞み太陽の光も弱い。本当ならいい天気のはずなのに。
その時、視界の片隅で何かが動いた。
人影だ。霧の中をまるで滑るように横切っていく。
あなたは反射的に追いかけ、声をかけた。
おぼろげに浮かび上がる姿は髪の長い女性。ネグリジェみたいな薄いワンピースを着ていて、髪は水浴びをしてきたばかりのようにしっとりと濡れている。
呼びかけに振り向いた女性を見て、あなたははっきり理解した。
これは人ではない! と。
その目や口からまるでミルクのように濃い霧をたなびかせていたから。
あなたが駆け寄ろうとすると、猛烈な勢いで霧を吹きつけてきた。
風の勢いが激しすぎて進めない。しかもあっという間に全身が濡れて、風によってどんどん体温が奪われていく。
凍えそうになり跪くと、女性はそのまま霧の中に消えていった。
あなたは紫色になった唇を震わせる。
これはフツウではない。
その瞬間、もう聞きなれてしまった声が脳内に響いた。
「やれやれ、この島に変な奴らがたむろってやがるな」
テオドロス・バルツァが面白くもなさそうな説明を続ける。
「手間取るようなら世界を分けるが……なんとかやってくれ」
相変わらず、言いたいことだけ告げて気配は消えた。
あなたはため息をつきながら立ち上がる。
他のもれいびたちはどう動くだろうか、と考えながらも決心した。
あの『霧の妖精』を探し出して、止めなくてはいけない! と。
フツウを守るために。
今回のシナリオガイドを担当する阿都(あと)と申します。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
いきなりですが、今回はバトルシナリオです。
ある日、寝子島は異常ともいえる濃霧に覆われてしまいました。
普通なら12月に珍しいとはいえただの霧です。明日には回復するでしょう。
しかし、もれいびにはテオから説明がありました。(非常に簡潔にではありますが)
神魂の影響か定かではありませんが、霧を発生させている怪異がいます。
今回の目的はこの霧の妖精(仮名)を見つけ出し、撃退することです。
アクションを作成する場合は、以下の2点を記入してください。
・どのように探索するか。
・遭遇した際にどのように撃退するか。
以上の2点が書かれていない場合は、撃退が難しくなります。
シナリオガイドのように1回遭遇している場合もありますが見失ってしまいますので、探索から始めてください。
以下はプレイヤー情報です。
1)何体かは不明ですが、霧の妖精は複数います。
少なくても寝子島の4エリア(旧市街、シーサイドタウン、星ヶ丘、九夜山周辺)に一体ずつはいます。
妖精を撃退すれば、そのエリアは霧から解放されます。
コメントページで分担を決めたり、GAを使うなど、うまくキャラクター同士で連絡を取り合って撃退してください。
2)濃霧のおかげで人目を気にすることなく「ろっこん」を使えます。
ただし、現在のところテオはこの濃霧を自然現象の範囲と考えていて、まだ世界を切り分けてはいません。
建物やものを壊したりすると跡が残ります。破壊系の「ろっこん」はうまく使ってください。
3)相手は『霧の妖精』です。肉体に見えるのも霧の集合でできています。
攻撃方法はシナリオガイドにもあったように、猛烈な勢いで霧を吹きつけてきます。
12月の寒空です。あっという間に体温を奪われることでしょう。
風力だけでも真正面から行くとほとんど前に進めない威力があります。
弱点は推理していただきたく思います。
ヒントは『霧』です。(ヒントというより答えのような気が……)
4)道具は普通に考えてそのキャラが自宅に持っているもので、持ち運びができるなら使用可能です。
部室などにあるものを取りに行ってもオッケーです。
ただし車やバイク、自転車など、霧の中で使うと大惨事を起こしそうなものは使えません。
5)期限は朝から日が暮れるまでです。
それまでに『霧の妖精』を倒しきれず解放できないエリアが残ると
・いつまでたっても霧が晴れない点
・一部エリアだけ霧が残り続ける点
がフツウではないので、テオが世界を切り分けます。
平行世界(?)では夜のせいでさらに視界が悪くなり妖精の撃退に手間取って、徹夜で駆け回ることになります。
朝には帰ってこられますが、その日は疲れ果てて何も手につかないでしょう。(いわゆるバッドエンドです)
あなたは皆とともに『霧の妖精』を倒しきって、寝子島に青空を取り戻せるでしょうか!?
それでは、ご参加お待ちしております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。