【
工学部】
同好会として勝手に間借りしているプレハブ部室棟の一室には、手書きで描かれたこの名前の室名札がひっそりと付けられている。
だが、騒がしい周囲の部室とは違い、この中に居る人物は作業に没頭している為か室内は不思議な緊張に包まれていた。
「これで……どうだ……?」
大きめの作業台に設置されたパソコンを前に、
畑生 言嗣はロボットの行動回路とも言えるプログラムを組んでいたのだ。
パソコンとケーブルに繋がれた、およそ30センチ程度のロボットは、キーボードを操作する言嗣と合わせて、腕を上下させていく。
「腕は問題ないか、なら次は足を動かしてみよう」
再度、ロボットの行動を起こさせる為に、言嗣はキーボードへと手を伸ばす。
――だが、その指がキーボードに触れるより早く、室内に充満していた緊張を吹き飛ばすように、勢いよく部室の扉が開けられる。
「NRG(寝高レンジャー部)だ! お邪魔するよ!」
空気を欠片も読まずに、足音を鳴らし、遠慮なく自己紹介と共に
新井 米太郎が工学部室内へと姿を現していた。
「……誰だ、貴様は」
無遠慮に部室内に入ってきた米太郎に対し、不機嫌を前面に出し言嗣が問う。
「
新井 米太郎、同じ部室棟の一員さ! ――って、おぉ、やっぱりあった!」
だが、そんな言嗣の不機嫌さなど意にも介さず、米太郎は作業台の上にあるロボットへと駆け寄る。
「小さいけど……おぉ、動く!」
「おい馬鹿、触るな!」
先ほどまでプログラムにより動かされていたロボットは、米太郎の手により合金人形と同じ用に手動で弄り倒されていく。
当然、試作のロボットである為に、そこまでの耐久度はこのロボットには無い。
「あ、取れた」
――必然とも言うべきか、ロボットの腕はしっかりと米太郎の弄りにより取れてしまっていた。
「取れたじゃない! 出て行け、馬鹿者!」
「まぁまぁ、いいじゃない。こんな小さいのよりも、もっと大きなのを作ればさ!」
楽観的というか、ポジティブというか、米太郎はきらめくばかりの笑顔を言嗣へと向ける。
「なんだと?」
「大きなのを作るんだよ。その名も【レンジャーロボ】! 悪の組織を倒す為には、やっぱりロボットがなきゃね!」
笑顔のまま、米太郎は一枚の紙を取り出し、言嗣へと見せる。
イタズラ書きレベルの、どう考えても実現不可能なロボットが描かれた紙を。
「却下だ。そんな暇は私には無い。それに名前も形も、コンセプトすらも私には理解出来ない」
「えー、かっこいいじゃん! それに、これをもっと大きく作ればいいだけじゃん!」
さも簡単だと、米太郎は言嗣へと口にする。
どれほどそれが大変なのかを知りもしないのだから、当然だといえば当然ではあったが。
「えぇい、とにかく――」
――しかし、言嗣は最後の拒否を行うべき言葉を詰まらせる。
米太郎は関係ないが、言嗣がロボットを作ろうとしていたのは事実であったのだ。
だが、一人で出来る範囲というのは、それほど大きくは無い。
ならば、より多くの人数を集め、より精巧なロボットを作ってみるのもいいのではないか、という考えが頭を過ぎっていてしまっていた為に。
「とにかく? 作るんだよね?」
「……仕方ない。だが、貴様のそのNRGとか言う物と、私達工学部では人数が足りない。その為の人集めは貴様にやってもらう」
過ぎった考えを消す事は出来ず、言嗣は結果として米太郎の意見に賛同する。
米太郎に人集めを頼み、自分は誰にでも設計可能な詳細を含めた設計図を作る事を伝えて。
「オッケー! 正義の為だもんね、任せて!」
「あぁ、それと名前と外見、正義のコンセプトは却下だ。人が集まった後にまた考える」
「えぇぇ~~!」
米太郎の悲痛な叫びが部室棟に響くが、言嗣はそれを一切気にも留めず、設計図を作り出すためにパソコンへと向き直る。
こうして、寝高レンジャー部と工学部合同企画によるロボット開発が開始されていた。
まずはご覧いただきありがとう御座います。
初めに、コミュニティより寝高レンジャー部様、工学部様を。
PCより畑生 言嗣様と新井 米太郎様を登場させていただいた事をこちらにて感謝を述べさせていただきます。
今回のシナリオはレンジャー部が案を出し、工学部を中心にした【レンジャーロボ(仮)】の作成です。
基本的な行動は設計と製作ですが、何を重視するかは各自の自由です。
■設計
◆名称と外見・形
各自で考えた名称や外見・形を好きに書いていただき、各案を元にこちらで採用する形です。
選択基準はありません。皆様の好きなように考えてください。
注意として、名称は実在する人物や物に関しては禁止です。
外見・形に関しては特に禁止事項はありません。
◆設計図
工学部が中心に作成する設計図です。誰でも設計に関わる事が可能です。
【予定基本スペック】
名称 :レンジャーロボ(仮名)
外見・形:未定
操作方法:手動操作(リモコンタイプ)
体長 :1m~1m30cm前後
速度 :オリンピックに出れるくらい(レンジャー部希望)
打撃力 :岩をも壊せる破壊力(レンジャー部希望)
基本武装:アームパンチ(手らしき物があれば。無ければ体当たり)
■製作
部品製作→組み立て→回路チェックの順に行ってください。
部品が無ければ組み立ては不可能ですし、組み立てなければ回路のチェックも出来ません。
【基本の製作手順】
部品製作 :外見・形に合わせ頭・胴体・手・足等の必要な各部品の製作。
組み立て :完成した部品を使い、設計図を元に組み立てる。
回路チェック:リモコン操作で各種部位が指示通り動くかを確認。必要に応じてプログラムを変更。
◆特殊部品の製作
くだらない物から実用的な物まで、好きな部品を作成していただければ問題ありません。
例を挙げれば、スイッチ一つで正義の文字が胴体に浮き出る、と言ったものでも有りです。
但し、極端な能力(一発で寝子島半分を吹き飛ばす兵器等)の部品に関しては、禁止とさせていただきます。
特殊部品はどの部位につけても構いません。
好きな物を好きなだけ作り、ロボをデコレーションしてください。
■舞台設定
部室棟・工学部部室。室内の情報は以下の通りです。
工学部作業台(大):部室中央に大きめの作業台が一台設置。組み立てや部品作成はこちらで。
工学部作業台(小):小さめの作業台が二台設置。内一台にはパソコンが設置されています。
プログラム関連の作業はこちらで。
室内本棚 :様々な資料が収められた本棚を一つ設置。ロボット工学関連の本も有り。
※基本的な材料・工具類は工学部内にて用意されています。
■製作期間
設計図が完成し、工学部がロボ本体の一連の動作プログラムを組み終わった後、一週間で行われます。
【作業時間】
月曜~金曜:昼休みの一時間と、放課後の閉門まで(閉門時間は19:00)
土曜 :休日の為、7:00の開門から閉門の19:00まで
日曜 :午前・最終チェック 午後・試作テスト
アクション作成時、一週間の中でどの程度参加出来るかを記載してください。
授業をサボって作成したい場合は、その旨をアクション作成時に書いていただければ問題ありません。
■日替わりリアクション
ロボ製作中の曜日にあわせて、1日分ずつ分割して公開されます。
(リアクション完成後、皆様の「月曜日」の製作状況が、リアルタイムの「月曜日」に公開されます。)
出来上がりまでの様子をより楽しんでいただきたいという試みとなっておりますので、ご了承ください。
◆スペック状態
一日終了時に、その時点でのスペック状態が以下のように記載されます。
【月曜日結果報告(例)】
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完成率
部品製作 :10%
組み立て :0%
回路チェック:100%
アクシデント率:0%
現スペック状況
名称 :レンジャーロボ(仮)
外見・形 :人型・正義のロボットらしい外見
操作方法 :手動操作(リモコンタイプ)
体長 :0m
速度 :組み立てが行われて居ない為、判断不可
打撃力 :組み立てが行われて居ない為、判断不可
基本武装 :組み立てが行われて居ない為、判断不可
予備スロット :2スロット共空き状態
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完成率(部品製作、組み立て)は、初期値が0%となっており、通常は100%までしか上がりません。
しかし、アクションにより天元突破する可能性を秘めています。
完成率が100%を越えた場合、予期せぬ魔改造が発生する場合もありますので注意してください。
完成率(回路チェック)は、初期値が100%となっております。
チェックを行うたびに100%から下がっていくか100%に戻っていくという形となります。
アクシデント率は、ロボ全体の出来上がりを含め、予期せぬ状況が発生する確率となります。
この値が高ければ高いほど、その確率が上がりますので注意してください。
以上が今回の設定となります。
よろしければ、ご参加をお待ちしております。