場所は、旧市街の参道商店街。
少しひなびた風情のベンチに腰を下ろして、
宇佐見 望月はひとりごちた。
「うーん。これ、どうするかなぁ」
望月の手元で、黒にゃんこのぬいぐるみキーホルダーがぶらりとする。
商店街で買い物をした時に、おまけだと押しつけられたものだ。
赤い目の黒猫は、お三夜さまをモチーフにしているそうだがちょっぴり不細工。
そのせいか『寝子島で大人気!』とはならず、商店街に大量に辿り着いたらしい。
今、参道商店街の多くの店では、買い物のおまけにこのにゃんこを配っているようだ。
「こう、もうちょっと可愛げがあればなぁ」
望月が苦笑した、その時。
『可愛くないとは失礼だにゃ!』
いきなり、手元のにゃんこがぷんすか怒り出した。
頭の中に直接響く、にゃんこの怒りの声。
「なっ、ぬ、ぬいぐるみが喋っ……いや、テレパシー!? しかも動いてる!?」
思わず手を離せば、にゃんこは地面に落ち――ることはなく、ふわり、望月の目の前に浮かび上がる。
そうして、ふわふわぴょこぴょこしながら望月へと語りかけた。
この島からたくさんの助けを求める声がする、と。
『青少年、君は選ばれし勇者だにゃ! 正義の味方に変身して、人々を救うのにゃ!』
「お、おおう、なんかよくわかんねぇけど困ってる人がいるんなら……」
『まじかる! りりかる! めたもるふぉーっぜ!』
望月の返事を待たずに、にゃんこは謎の呪文を唱えた。
途端、まばゆい光が辺りを包み――気がつくと、望月は正義の味方に大変身!
ただし、そのコスチュームはカッコいいヒーローのそれではなく。
「な、何だこれ!? ひらひらのふりふり!? もしかしなくても、これって……」
『そう、魔法少女だにゃ』
「なんで!?」
混乱する望月を余所に、にゃんこは瞳をきらりと輝かせる。
『さあ、行くのにゃ魔法少女! 困った人を助けたら元の格好に戻れるから!』
「っつーことは拒否権ナシ!? ま、まあでも、魔法少女っていうからにはこう、魔法でぱぱっと……」
『あ、魔法は使えんにゃ。変わったのはコスチュームだけだから、地道に頑張るにゃ!』
「え、ええええええっ!?」
『それじゃあ、ボクの役目はここまでにゃ。青少年、ファイト!』
望月の悲痛な叫びには応えることなく、にゃんこはぽふん! とただのぬいぐるみに戻ってしまった。
さあ、魔法少女(※コスチュームのみ)よ、元の姿を取り戻すために走るのにゃ!
お世話になっております、巴めろと申します。
このページを開いてくださってありがとうございます!
宇佐見 望月さん、ガイドへの登場誠にありがとうございました!
なお、もしこのシナリオにご参加いただける場合ですが、
ガイドは一例ですのでご自由にアクションをかけてくださいませ。
神魂の影響でお三夜さまをモチーフにしたぬいぐるみが一時的に動き出し、
手にした人をコスチュームのみ魔法少女に変えてしまっています。
『人助け』をすれば元の姿に戻れるようですが……。
というわけで、『人助け』をして脱・魔法少女を目指しましょう!
勿論、(服装だけですが)魔法少女になってしまった状況を楽しむアクションも歓迎です!
『人助け』は、例えば『誰もいない海岸のごみ掃除』など、
直接お礼を言われないような、間接的に誰かのためになることでもOKです。
GAで仲良しさんと一緒に事態に巻き込まれ、『人助け』をクリアするなどもアリ。
ちなみに、『人助け』をしなくても(もしくはチャレンジしたものの達成できなくても)、
日暮れと共にちゃんと元の姿に戻れますのでご安心を(ただし、PC様はこのことを知りません)。
お三夜さまモチーフのにゃんこのぬいぐるみキーホルダーについては、
旧市街の参道商店街の色んなお店で買い物のおまけに配られているようです。
落ちていたのを運悪く(?)拾ってしまったなど、その他の手に入れ方もOK。
また、『人助け』をするのは、旧市街に限らず寝子島内ならどこででも大丈夫です。
にゃんこは手にした人を魔法少女にすると、ただのぬいぐるみキーホルダーに戻ってしまいます。
なお、にゃんこはお三夜さまをモチーフに作られていますが、その言動はお三夜さまとは恐らく関係ありません。
また、魔法少女のコスチュームにこだわりがある場合は、
アクションにて熱い想いの丈をぜひお伝え願えればと思います。
それでは、どうぞ楽しい(?)魔法少女な時間を!
ご縁がありましたらよろしくお願いいたします!