イラスト:真夜中二時過ぎ
高い木々が立ち並び、緑が生い茂る九夜山。
そんな九夜山の山中、下から見上げても
枝や葉のおかげで人目につかない木の上にその秘密基地はある。
秘密基地と言っても、
丈夫そうな枝や板をロープで固定し、簡易的な屋根がついただけ。
さらに数人が寝ころぶのがやっとといったスペース。
それはツリーハウスと呼ぶにはあまりにも簡易的だ。
せいぜい、屋根つきの鳥の巣と言った所だろう。
もとより人がほとんど来ることのない山中だ。
それに加えこんな高い木に登れる者など本当に限られている。
だから、この場所はとても静かだ。
街中の喧騒から離れて静かに本を読んだり、
音楽を聴いたり、空を眺めながらまどろむにはいい場所だろう。
ほら、今日も誰かがそんな場所でのんびりしている。
―そんな静かなキャラとは真反対の男ではあるが。