かってに応援ちゃんねる！｜リアクション

かってに応援ちゃんねる！

　再び、特設スタジオ。
　壇上には、うっすら頬を赤らめて立つ、パーカー姿の響タルト。
　猫耳が、まるで初めからついていたかのように自然で愛らしい。。

「こんにちは、響タルトです。
　今日は……ブドー先輩の応援のため……一肌脱いじゃうよ！」

「ちょ、ちょっと！」慌てて飛びだすゴールド。
　一寸笑い、タルトは思い切りよくパーカーのファスナーを引き下げる。
　ばっ！　宙をまうパーカー。

　下から現れたのは、オリジナルＴシャツ姿のタルト。
　
「えへへー、早脱ぎはブドー先輩だけだよ♪」
　唖然とするゴールドを「エッチ」と笑って突っつく。

　Ｔシャツの真ん中には、彼女デザインのＳＤキャラ。
　愛嬌があり、それでいて特徴をとらえている。

　黒子の合図とともに、壇上に製図版が現れる。

「ということで、今日はブドー先輩のＳＤキャラの作画風景を実況しま～す！」

　ペン、筆などを取り出し、ちょこんと座るタルト。
　黒子が手にするカメラが、タルトの作業の様子を映し出す。

　ペンをインクで浸し、ためらいなく線が引かれる。
　ダイナミックで迷いのないペン捌き。絵が浮き上がるように、眼鏡を掛けた男性の姿が生まれてくる。
　デジタルではなく、あえて手書きにしたのは、躍動感を伝えるためだ。

「ポイントはやっぱり眼鏡かなー」しゃべりながらも、タルトの筆は止まらない。「ブドー先輩らしさを出すには、笑顔が似せやすいんだよね！」
　しゃっと引かれるラインが笑顔を作る。こちらが微笑みそうになる、思いのこもった絵だ。

「ブドー先輩の魅力は……優しくて頼りになるところかな」
　赤、黄、白。さまざまな色がパレットに乗せられ、溶かれて色合いを生み出す。
　丁寧に、ていねいに塗り分けられていく。
　彼女自身の思いと、応援相手の魅力が存分に伝わる、彼女にしか不可能なパフォーマンスだった。
「面白いし、お兄ちゃん、って感じかな」

　はいっと差し出すと、完成したＳＤキャラが笑顔を作る。
　瞬く間に完成していた。
　彼女なりの、創意工夫あふれる応援に、思わず巻き起こる拍手。
「応援だから、ＢＬは封印ね」
「え？」タルトの言葉を、聞き逃すゴールド。「なんだ……でもアツイね！　いいよ！」
「このイラスト入りうちわを、バザーでも販売します！」