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- 種族
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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
ねこじまフラッグファイター
●Ｂブロック
「この勝負、絶対に負けるわけにはいきません」
禁欲的な月が勝利にこだわるなんて珍しい。同じブロックの真優はストレッチをする彼女に近づいた。
「そんなに意気込んで、何か欲しいものでもあるのかい？」
「いいえ違います、日頃お世話になってる方への恩返しなのです」
日頃無口で表情の硬い彼女が滅多に見せない頬の緩み。そしてわずかな視線の動きに真優はどこか優しさを見出す。そんな彼女の水着は誰かを意識してなのか、身体の線がはっきりと浮き出て見える黒いツーピース。対して真優は他と同じく高校指定の水着だ。
「またお人好しか？」
修の声に真優が振り返る。彼はスポーツサンダルを足にしっかりと固定していた。水着の上には白いパーカーをから着込んでいる。
「別に、そうじゃないさ。ただあんな彼女も珍しいなぁってね」
言われるがまま修は月を見た。
確かに勝利へ闘志を燃やす彼女の姿は日頃のストイックとは無縁なものだ。
視線に気づいた月はやや顔をそらす。
「もしかして、見惚れた？」
「今の話でなんでそうなる、まったく」
真優のちゃちゃに修は深く嘆息した。
スタッフの誘導によって３人はスタート位置にうつ伏せとなった。それを確認するとスタッフはスターターピストルを高く構える。
空気が裂けた。その瞬間３人が一気に起き上がり砂を蹴った。
さすが体育を得意とするだけはあった。月と真優が網に潜ったのはほぼ同時だった。やや遅れて修が網を潜り始める。
指が網に引っ掛からないように手の甲で払いのけて真優は進んでいく。その横を月が小柄な体格を活かし低い姿勢のまま這って進む。同じく姿勢を低くして進む修は腕を大きく繰り上げて距離を稼いでいく。
この時点で真優が若干の有利を保つ。それに続いて月が追い上げるように前進する。
思惑とは裏腹に修はどんどん距離を離される。パーカーのゆるみが網目に引っ掛かって動きが遅れていた。調子を狂わせる不協和音となった以上は切り捨てるのも早い。
パーカーを網の中で脱ぎ捨てると修は急いで進んだ。
最初に網を抜けた真優は平均台に足を乗せた。思った以上に砂が接地面の抵抗を減らしてくれる。
滑り落ちないように足先を添わせるように彼は進む。その横の平均台では重心を巧みに制御した月が素早く歩みを進める。
出遅れて修が平均台にたどり着く。彼としても勝つためにもここで距離を開かれるわけにはいかない。
「さすがに砂地じゃ感覚が違ってくるか」
考えとは裏腹に平均台の砂がサンダルと接地面の摩擦抵抗を軽減してくれる。これにはさすがの彼も奥歯を噛みしめた。滑らないように歩くような速さで進んでいく。距離の維持がやっとだった。
真優が有していた距離的有利は月によって瞬く間にひっくり返った。ロングコースに我先にと足を付けた月が周囲を一瞥した。視線の先には瓢だ。何か悪だくみをしているのではと勘ぐってはみたが当の本人にその様子はない。
この間わずか数秒。月は罠がないことを確信して走り出す。歩幅を小さく姿勢は低く、極力砂で足を取られないよう彼女は走る。
やや遅れて真優が追い上げを始める。重心の移動で砂に足を取られることを避ける彼の動きは速い。
最後にようやく修がロングコースに足を付けた。もやは逆転は難しい距離にあるがそれでも諦めない。サンダルのつま先が砂をかき上げて抵抗となる。それでもなお彼は走った。
悠々と追い上げていく真優。そしてフラッグを目前に月を追い越せる範囲まで距離を縮めた。背後の気配に月も足を速める。そして一か八か彼女は手を伸ばして飛んだ。
彼女は確かにフラッグを掴みとっていた。真優はやや後ろで砂にうつ伏せとなっていた。
「負けたー！」
悔しそうに雄叫びをあげながらも彼は笑っていた。
月は立ち上がるとフラッグを見つめて握りしめた感覚を確かめる。軽く思考を巡らせて、強くうなづいた。
「手を抜いたのか」
「んー、何のことかな？」
立ち上がって砂をはらい落とす真優に修が近づいた。
真優はあっけらかんと笑っていた。
「今の状況なら――」
そう言いかけた時、真優は修に人差し指を突き立てた。突然のことに修は口をつぐむ。
「楽しければ俺はそれでいいのさ」
そんな彼が吹かせる風に修の口惜しさは跡形もなく吹き飛んだ。肩をすくませ修は笑う。
「まあヒトトセ（春夏秋冬）が良いというならそれで良いんだろうな」
経験は新たな道を生み出すものだ。予選通過には届かなかったもののこれも１つの結果だ。
改めて負けを実感した修の視界にどことなく嬉しそうな月が入ってくる。自然と彼は真優とともに拍手していた。
Ｂブロックは月の勝利で幕を閉じた。
「この勝負、絶対に負けるわけにはいきません」
禁欲的な月が勝利にこだわるなんて珍しい。同じブロックの真優はストレッチをする彼女に近づいた。
「そんなに意気込んで、何か欲しいものでもあるのかい？」
「いいえ違います、日頃お世話になってる方への恩返しなのです」
日頃無口で表情の硬い彼女が滅多に見せない頬の緩み。そしてわずかな視線の動きに真優はどこか優しさを見出す。そんな彼女の水着は誰かを意識してなのか、身体の線がはっきりと浮き出て見える黒いツーピース。対して真優は他と同じく高校指定の水着だ。
「またお人好しか？」
修の声に真優が振り返る。彼はスポーツサンダルを足にしっかりと固定していた。水着の上には白いパーカーをから着込んでいる。
「別に、そうじゃないさ。ただあんな彼女も珍しいなぁってね」
言われるがまま修は月を見た。
確かに勝利へ闘志を燃やす彼女の姿は日頃のストイックとは無縁なものだ。
視線に気づいた月はやや顔をそらす。
「もしかして、見惚れた？」
「今の話でなんでそうなる、まったく」
真優のちゃちゃに修は深く嘆息した。
スタッフの誘導によって３人はスタート位置にうつ伏せとなった。それを確認するとスタッフはスターターピストルを高く構える。
空気が裂けた。その瞬間３人が一気に起き上がり砂を蹴った。
さすが体育を得意とするだけはあった。月と真優が網に潜ったのはほぼ同時だった。やや遅れて修が網を潜り始める。
指が網に引っ掛からないように手の甲で払いのけて真優は進んでいく。その横を月が小柄な体格を活かし低い姿勢のまま這って進む。同じく姿勢を低くして進む修は腕を大きく繰り上げて距離を稼いでいく。
この時点で真優が若干の有利を保つ。それに続いて月が追い上げるように前進する。
思惑とは裏腹に修はどんどん距離を離される。パーカーのゆるみが網目に引っ掛かって動きが遅れていた。調子を狂わせる不協和音となった以上は切り捨てるのも早い。
パーカーを網の中で脱ぎ捨てると修は急いで進んだ。
最初に網を抜けた真優は平均台に足を乗せた。思った以上に砂が接地面の抵抗を減らしてくれる。
滑り落ちないように足先を添わせるように彼は進む。その横の平均台では重心を巧みに制御した月が素早く歩みを進める。
出遅れて修が平均台にたどり着く。彼としても勝つためにもここで距離を開かれるわけにはいかない。
「さすがに砂地じゃ感覚が違ってくるか」
考えとは裏腹に平均台の砂がサンダルと接地面の摩擦抵抗を軽減してくれる。これにはさすがの彼も奥歯を噛みしめた。滑らないように歩くような速さで進んでいく。距離の維持がやっとだった。
真優が有していた距離的有利は月によって瞬く間にひっくり返った。ロングコースに我先にと足を付けた月が周囲を一瞥した。視線の先には瓢だ。何か悪だくみをしているのではと勘ぐってはみたが当の本人にその様子はない。
この間わずか数秒。月は罠がないことを確信して走り出す。歩幅を小さく姿勢は低く、極力砂で足を取られないよう彼女は走る。
やや遅れて真優が追い上げを始める。重心の移動で砂に足を取られることを避ける彼の動きは速い。
最後にようやく修がロングコースに足を付けた。もやは逆転は難しい距離にあるがそれでも諦めない。サンダルのつま先が砂をかき上げて抵抗となる。それでもなお彼は走った。
悠々と追い上げていく真優。そしてフラッグを目前に月を追い越せる範囲まで距離を縮めた。背後の気配に月も足を速める。そして一か八か彼女は手を伸ばして飛んだ。
彼女は確かにフラッグを掴みとっていた。真優はやや後ろで砂にうつ伏せとなっていた。
「負けたー！」
悔しそうに雄叫びをあげながらも彼は笑っていた。
月は立ち上がるとフラッグを見つめて握りしめた感覚を確かめる。軽く思考を巡らせて、強くうなづいた。
「手を抜いたのか」
「んー、何のことかな？」
立ち上がって砂をはらい落とす真優に修が近づいた。
真優はあっけらかんと笑っていた。
「今の状況なら――」
そう言いかけた時、真優は修に人差し指を突き立てた。突然のことに修は口をつぐむ。
「楽しければ俺はそれでいいのさ」
そんな彼が吹かせる風に修の口惜しさは跡形もなく吹き飛んだ。肩をすくませ修は笑う。
「まあヒトトセ（春夏秋冬）が良いというならそれで良いんだろうな」
経験は新たな道を生み出すものだ。予選通過には届かなかったもののこれも１つの結果だ。
改めて負けを実感した修の視界にどことなく嬉しそうな月が入ってくる。自然と彼は真優とともに拍手していた。
Ｂブロックは月の勝利で幕を閉じた。
シナリオ
シナリオデータ
- 担当ゲームマスター
- シナリオタイプ（らっポ）
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- ブロンズシナリオ（100）
- グループ参加
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- 2人まで
- シナリオジャンル
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- スポーツ
- 定員
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- 20人
- 参加キャラクター数
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2014年08月24日
- 参加申し込みの期限
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- 2014年08月31日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2014年08月31日 11時00分
