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chapter.11 ねがいびと
黒子のギターから始まった軽快なイントロに合わせて、ゆずかたちのダンスが始まった。
センターのポジションには、練習の時からダンスが一番上手だった絵梨菜がいる。彼女はギャラリーに向ける視線や表情、指先の動きひとつにまで気を配り軽やかに舞った。
イントロが終わりかけて歌い出しに入る直前、絵梨菜はハイキックのモーションでミニスカートを翻らせる。タイトルにも含まれている「多難」を、蹴り飛ばすような仕草だ。
絵梨菜がイントロでの激しくも軽妙なダンスを終えると、フォーメーションが変化して円とかなえが入れ替わるように前列へと進み出た。その一歩後ろでは、瑠奈とゆずか、そして絵梨菜がマイクを持っている。
5人は、息の合った動きでマイクに口を近づけ、歌詞を紡ぎ出した。
このミッション クリアするのは簡単じゃない
勢い任せの試行錯誤
揺れる思い 揺らぐ足取り でも逃げたくなんてない
気付いたの? まだそんなレベルじゃ無い
想像力がケツラクしてるね
ゼントタナン だけどガマン
笑われたって笑顔返せるの
ゼントタナン だけどガマン
笑顔だけは崩さない
世界はそんなにアマクナイ
ビターなくらいがちょうどいい
未来なんて見えなくていい 見えない方がきっと楽しい
難しいほうがあなたもときめくでしょう?
今までの私を壊しちゃおう
ゼントタナン ピンチダニャン
前にトラブルばかりでも
ゼントタナン ピンチダニャン
この場所が私のステージ
疲れて足が止まったから空を見上げた そうしたら広がる青空が私たちを見守っていて
ゼントタナン だけどガマン
笑われたって笑顔返せるの
ゼントタナン だけどガマン
笑顔だけは崩さない
私のステージはもう止められない
Cメロをソロで歌った瑠奈の出番が終わり、最後のサビをゆずかが歌おうとした時だった。
「ゼントタナン だけどガ……わあああっ!?」
突如、ゆずかが悲鳴を上げた。何事かとメンバーたちが、観客の視線が集まる。するとなんとそこには、子羊が一匹、広場に乱入していたのだ。
「んべぇえええええ〜」
ゆずかの大声に驚いたのか、子羊は前足を勢いよく蹴ってゆずかにぶつかった。
「ちょっ、わ、きゃあっ!」
どたん、と前のめりに倒れるゆずか。一瞬、メンバーたちはライブの失敗を覚悟した。ここ一番で披露したオリジナル曲の最後のサビで、こんなアクシデントが起こるなど誰が予想できようか。
瑠奈が、絵梨菜が、かなえが、円が。どうしようと互いに顔を見合わせる。が、次の瞬間、ゆずかはガバッと立ち上がってマイクを握り直した。
彼女はそのまま、サビを歌いきる。
ゼントタナン だけどガマン
笑われたって笑顔返せるの
ゼントタナン だけどガマン
笑顔だけは崩さない
私のステージはもう止められない
驚きのあまり黒子のギターも止まり、アカペラ状態になっていたがそれでも終わりまで歌ったゆずかは、ギャラリーたちにおどけて言ってみせた。
「あ、あはは、えーっと、これはアレです! 急遽加わった新メンバーで、羊さんです!」
咄嗟にしても誤魔化し下手なアドリブ。ただ、その一言は大きな歓声を生んだ。
「羊がメンバーにいるアイドルってすごいな!」
「面白い演出だったぞ!」
方々から声が飛んでくる度に、どっと広場が沸く。そんな雰囲気の中、口を真一文字にしていたあやめだったが、とうとう堪えきれなくなったのか、ぷっと小さく吹き出した。
「なっ……何よそれっ。言っとくけど、笑顔になったのはあなたたちじゃなくてそこの羊のせいだからね」
早口でそれだけを言って、あやめは人だかりをかき分けるように去って行く。
「ゼントタナン、笑顔だけは崩さない……」
ゆずかたちの元を離れながら、あやめの口からは今聞いたばかりのメロディーが流れた。虚ろだった瞳には、少しだけ光が戻っていた。
「いやー、すごいね。まさかこんなに上手くいくなんて」
そんな様子を、少し離れたmiao入り口付近で見て呟いたのは気絶から復活した昌也だった。横には、修が立っている。
「俺も驚いている。まさか同じことを考えているのが、他にもいるとは思っていなかったからな」
修が、昌也に言った。
「正直、八城があの時来なかったら俺だけでは羊を外へ連れ出せなかったかもしれない」
「なーに、それは俺も同じだよ!」
ふたりは笑い合った。一体水面下では、何が行われていたというのだろうか。
修の行動を追うことで、その謎は明かされる。
ペットコーナー付近で子羊を保護し、「自分で連れて行く」と言い残し店を出た彼はその後、五階の展示場ではなくmiao出入り口に向かっていた。
他の者たちが羊を外に出すまいと奮闘している中彼が逆の行動を取ったのには、理由があった。
修は、羊の騒動をライブに利用することで、より集客力を高めライブを成功させようとしていたのだ。
しかしその作戦中、トラブルが発生した。miao出入り口にいた警備員に、羊を連れ出そうとしているところを見られてしまったのだ。
警備員はとりつく島もなく修の連れていた羊を保護しようとしたが、そこに昌也が駆けつけた。羊との衝突後、意識を取り戻した彼は本当のプレディアを求め、miao内をさまよっていたのだ。一階まで降りてきた昌也が修と共にいた羊をプレディアだと勝手に思い込み、あまつさえ警備員がプレディアを拉致しようとしているとまで思い込んだのは修にとって幸運だった。
昌也は警備員と修の間に割って入ると「無理矢理は良くない!」と警備員に立ち向かい、その隙に修は子羊を噴水広場まで導くことが出来たというわけだ。
「ゆずかちゃんたちのライブの演出に使えたら、ってのは俺も思ってたからね〜」
昌也が、賑わっている噴水広場を眺めて言う。修も、見つめる先は同じだった。彼は指を二本立てると、ゆずかにそれを向けて小さく言った。
「計画通り」
その声も、指でつくったサインもゆずかは気づくことはないだろう。しかし修は別にそれで構わないと思った。ライブが成功しているのなら、それで良い。
ゆずかたちのパフォーマンス、そして羊の乱入というアクシデントもあってか、彼女たちのライブは初めてとは思えないほどの盛り上がりを見せていた。
一通り歌い終えた彼女たちは、それぞれの感想や今後の意気込みなどを話していた。
「うちな、正直うちらの歌とダンスを買ってくれる人が全然いないことも考えてたんや」
かなえが、ここに至るまでの心境を語るとギャラリーたちはそれを聞き入った。
「ちなみにかなえちゃんは普段豆腐を売ってて、でも今回は豆腐じゃなくて歌とダンスを売る! って意気込んでたんだよ」
「あ、そうやな、フツウにそこを知らないお客さんの前で買うとか売るとか言ってもアレやんなー。円ちゃん、ありがとうなー」
さりげなくフォローをする円にお礼しつつ、かなえは続けた。
「それでも、くじけないで歌いきろうって決めてたんや。けど……実際はこんなに人が集まってくれて、みんなが笑ってくれて、それがほんとに嬉しくって」
ふう、と一息吐くと、かなえはマイクを通して大きな声で言った。
「おとーん! うちなー、アイドルになって良かったでー!!」
ぱちぱちと、拍手が鳴った。その中でも誰よりも大きく手を叩いていたのは、開演からずっと見ていた寝太郎だった。
寝太郎は、その手で素直な感情を表現し、その口から素直な思いを告げた。
「アンコール! アンコール!!」
最初は、彼ひとりの声だった。しかし、それは次第に周りを巻き込み、大きな声になっていった。
「アンコール! アンコール!!」
メンバーたちはその光景に驚きつつも、嬉しさを隠しきれず笑顔になった。
「よーっし! じゃあアンコールに応えてもう一曲! みんなも知ってるこの曲で行くよっ!」
ゆずかがノリノリで曲紹介をすると同時に、黒子のギターが鳴った。
「有名アイドルのカバーだけど、聞いてください、『ダルメシアン』」
ケータイの充電切れてて連絡取れないっ!
アナタに好きだと伝えたいのに
一歩前へ 踏み出したら 恋が始まる予感がする
未来にいつでも 君が待ってる
いつ辿り着けるか分からないけど
泣きたい時も 逃げたい時もあるけれど
楽しみたい 恋もしたい 乞うご期待
白と黒が 混じっている 自信無さげなダルメシアン
一番を歌い終えたところで、円が前に出てギャラリーを煽る。
「みんなー、手拍子お願い!」
その一言で観客もより盛り上がり、歌のリズムに合わせて手を叩く音が重なった。ゼントタナンよりさらにアップテンポなこのナンバーは、パフォーマンスする側に相当な体力が求められる。
既にカバー曲も含め3曲をやりきっている彼女たち、とりわけ初めての本番で緊張のせいもあって力の入っていた円の残り体力は、少なかった。
それでも。このまま倒れてもいいくらいに今の円は達成感で満たされていた。
「もっと、もっと盛り上がろう!」
円がさらに手を高く掲げ、マイクを持っていない方の手で逆側の腕を叩く仕草をする。それに煽られた観客がまた盛り上がり、広場には一体感が生まれていた。
絵梨菜も、その盛り上がりに乗じるかのようにバク宙などアクロバティックな動きを披露し、とどめとばかりにとびっきりの笑顔でウインクをしてみせた。
これには前列にいた男性たちが激しく反応した。
「おお、この雰囲気はすごいです! 目には見えないこういう空気を絵にしたかったんです!」
集団の邪魔にならないようスケッチを続けていた小萩の筆も、歌に呼応するように勢いを増していく。絵が完成するのはきっともう少し先になるだろうけど、その時には立派なものを渡したい、小萩はそう思うのだった。
アンコールの一曲が終わり、ゆずかたちは改めて深く頭を下げ、「ありがとうございました」とギャラリーへ礼を述べた。するともう一度大きな拍手が起こり、彼女たちは初ライブの成功を実感する。
メンバーそれぞれの、そして目の前の客たちの笑顔が、それを証明していた。
◇
終演後。
着替えも終わり、帰り支度を始めていたゆずかたちの元へ小萩がやってきた。
「ゆずかさん! 今日のライブはみなさんがキラキラしててステキでした!」
「わあ、こんな時間まで残ってくれてありがとう! また見に来てね!」
笑顔で応えるゆずかだったが、その言葉に小萩は首を横に振った。
「残念ながら、それは出来ないのです!」
「え……?」
どういうことだろう。理解が追いつかないゆずかに、小萩は目を輝かせて言った。
「小萩も、もっとキラキラになりたいので、アイドルになりたいです!」
「ええっ!?」
まさかのメンバー立候補に、ゆずかは驚いた。断る理由は特にないのだが、本当に良いのか、不安を覚えた。
「い、いいの!?」
「もちろんです! 小萩の隠された実力はすごいですよ!」
「おおっ、じ、自信満々だね……!」
「ふふふ、小萩をただの絵が描けるおムネのおっきい美少女だと思ったら、大間違いですからね!」
「いや思ってない! そんなこと思ってないけどね!? ていうかもう一回聞くけど、ほんとにいいの?」
すごい子が来たなと思いながらゆずかが小萩と話しているその一方で、残りのメンバーたちもまた、ライブを見ていた客のひとりに話しかけられていた。
「ハッハッハ、まだ荒削りじゃが、なかなかどうして、悪くなかったぞ」
それは、miaoの羊騒動時にパンツ一丁で気絶していた颯であった。どうやらあの後、無事意識が戻り、帰り際にライブを目撃したらしい。もちろん今はちゃんと服を着ている。
「羊のパフォーマンスも、面白かった。ただ、奇抜なパンツも良いが最終的に好まれるのはオーソドックスなパンツじゃ。その意味が分かったら、また会う日も来るかもしれないね」
言うと、颯は名刺を取り出し、メンバーへと渡して去っていった。そこには社長の肩書きがあったが、会うなりいきなりパンツの話を始める還暦近い男性を、すんなり信じるのはかなりハードルが高かった。
「ゆ、ゆずかちゃん! なんか今、変なおじさんが来て大変だった!」
メンバーがゆずかを呼び寄せようとすると、ゆずかもまた小萩から聞いたばかりの話をメンバーへ告げんと声を上げた。
「こっちも今、なんか大変なことが起きてるよっ!」
その後彼女たちの間でどんな会話が成されたか、それを知るのは彼女たちだけであった。
◇
後日、ゆずからの路上ライブの模様は、ネット上で多少の編集を加えられた上で公開された。
舞華が不定期でやっている、ネコ動の生放送だ。
「新アイドルの路上ライブに羊乱入、これからも彼女たちのパフォーマンスには注目ですね」
奇天烈な内容がウケたのか、その放送はいつもより視聴ユーザー数がいくらか多かったようだった。放送を見ていた中には、あの時広場やmiaoにいあわせた者たちも多くいた。
小淋のようにアイドルという話題に何かしら思い出すことがあったのか感傷に浸りながら見ていた者や、英二のように平凡さなど気にせず頑張るゆずかに親近感を抱く者。また、その場にいなかったけれども玲衣のように「これほど盛り上がっていたのなら、次はちゃんと見に行くのも悪くない」なんて考える者も。
もちろん、好意的ではない意見を持つ者も中にはいただろう。
ただそれでも、ゆずかたちは願わずにはいられなかった。
それぞれの抱く気持ちが、喜びや幸せに繋がってくれますようにと。
放送が終わりに近づいた頃、舞華は伝え忘れていた情報があったことを思い出し「そうそう」と放送に声を乗せた。
「すっかり紹介を忘れていましたが、先のライブで、めでたく彼女たちのグループ名が決まったそうですよ」
言って、舞華は画面に一枚の紙を映す。
そこには、「Citrus Cat's」と書かれていた。
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あとがき
担当マスター:
萩栄一
ファンレターはマスターページから!
萩栄一です。
今回のシナリオに参加していただき、ありがとうございました。
コメントページでのフレーズ投稿を多くの方にしていただいたお陰で、
とても素敵な歌詞が出来たと思います。
可能な限り多くの投稿からフレーズを採用させていただいたつもりです。
リアクションにある通り、「ゼントタナン」だけではフレーズが収まりきらなかったため、
コメントページの流れなども参考にし、アンコールとしてもう一曲分の歌詞も急遽つくらせていただきました。
ちなみに余談ですが、アイドルグループの名前は僕もガイドを出した時こっそり考えていました。
それが実は「チェビオット」だったのですが、蓋を開けてみればもっと良い名前がどんどん送られてきて、
自分のセンス不足を思い知らされました。笑
なお、アクションに対する意見などを、
個別コメントで何人かの方に送らせていただきました。
それでは、また次回のシナリオでお会いできることを楽しみにしています。
長文に付き合っていただき、ありがとうございました。
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担当ゲームマスター
萩栄一
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
コメディ
動物・自然
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年02月04日
参加申し込みの期限
2014年02月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年02月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
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