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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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【卒業生を送る会】寝子晴れっ、跳躍っ、新たな一歩でにゃーっ！
●チークタイム
黒子と市子と樋口先生の思いがけぬセッションは、大喝采のうちに終わった。
喝采を熱が覚めぬうちに、呉井 陽太は鍵盤に手を置いた。
ポロン、ポロン……と紡ぐのはスローテンポなバラード曲。
フロアのライトが消され、この時のために用意されたミラーボールが回り出す。
激しく踊ったあとは、ゆっくりと頬を寄せ合い揺れるだけのチークタイムである。
北里 雅樹と椎井 莉鳥は、ごく自然に、どちらからともなく手を取り合う。
莉鳥は雅樹の肩に手を添え、雅樹は莉鳥の背に手を回す。
チークタイムなのだから、ゆっくり揺れる程度のステップでいいはずなのに、雅樹はたびたび莉鳥の足を踏みそうになる。莉鳥は彼のまずい足捌きをすっかり読んでそれを避けつつ、軽くため息。
「相変わらずダンス下手だね」
「文化系男子だからしかたない」
「いいわけになってないよ」
こんなときまで言い合いをしなくてもいいような気がするが、ついしてしまうのは腐れ縁ゆえか。
「ちょ、また踏みそうになるし。女の子を上手にリードしたいとか、ちょっと練習してみようとか思わないの？」
「うーん……考えたこともないな」
雅樹は眠たそうな目をしばたたかせる。
「もう。だから雅樹は雅樹なのよ」
「うん。俺は俺だし。お前はお前だし」
「ほんと私達ってどうしてこうなのかしら」
「どうしてもこうしても、こうなんだから仕方ない」
言いながら互いの頬を寄せ合う。
息が合わないことを楽しみながら。
◇
幾人かのパートナーチェンジを経て、御巫 時子はふたたび五十嵐 尚輝先生に声を掛けた。
「チークタイムがあるなんて……サプライズな演出ですね……」
ところが先生としたらチークタイムがなんなのかすら分かっていないようなので、時子はそっと寄り添って揺れるように踊ればいいのだと尚輝に教える。
「チーク……頬を寄せ合って踊るので、チークタイムと呼ばれているそうですよ……」
「はあ……こうでしょうか……」
先生は言われるがまま、時子の頬に頬を寄せる。
「そう……です……」
答えながら頬が染まり、胸が高鳴るのを感じる。
なんて幸せな時間だろう……。
周りを見る余裕なんてひとつもなかった。
時子は瞳を閉じて尚輝のぬくもりだけを感じていた。
◇
ずっとパートナーを交代せずに踊っていた龍目 豪と入江 みつびは、互いの腰に回す手つきも自然になってきていた。
「やさしくおねがいね？」
みつびは豪の頬に自らの頬を寄せ、囁く。
「これからもずーっとね」
みつびは頬を離して豪を見つめ、ウィンクする。
淡いリップの口唇がいつも以上に艶っぽく見え、豪はごくりとつばを飲み込む。
卒業したら今までと違う日常が待っているだろう。みつびの新しい日常の中に、今まで通りいたいから。
豪は努めて明るく振る舞う。
「ありがとな。卒業しても元気で……これからも、よろしくな！」
◇
「素敵ですねー」
見つめ合う豪とみつびを写真に収め、結梨亜・カールシュテインはふぅと息を吐いた。
「送る会自体は終わりましたけど、実行委員としては気が抜けない……と思ってたら、もうダンスタイムも終わりですか……楽しい時間が過ぎるのはあっという間ですね……おやあそこにいるのは……」
壁にぴたりと背を張り付けている赤毛の彼は中山 喬である。
むすっとした表情。「中山さんらしい」と思ってしまう。きっと『ダンスなんてしてたまるか』なんて思って、誰にも声を掛けられないよう息を潜めていたに違いないのだ。学校行事なんてかったるい、仕方がないから出ている、という雰囲気がありありと漂ってくる。
でも、結梨亜はそんな喬だからこそ、声を掛けずにはいられない。
「中山さん！ もし嫌じゃなかったら、私と踊りませんかー？」
「いや、いい……」
思った通りのつれない返事。しかし、そう言うだろうと予期していた結梨亜はめげずに押してみる。
「全然踊らないなんて損ですよっ！ もう曲も終わります。曲が終わるまで、ほんの少しだけでいいですから！ 付き合ってもらえませんか？ なんとなくこう、右～左～って一緒に揺れるだけも」
結梨亜は右に左に揺れてみせた。クラゲみたいでちょっと滑稽な動きだが、喬の気持ちはほぐれたようだ。
「……まあ、それくらいなら」
必要以上にひっついたりはしない。ただ向かい合って５ミリくらい揺れる程度だが、喬としては踊っているうちにはいるのだろう。結梨亜としてもそれで十分だ。
いっしょになってゆらゆら揺れて、上目遣いにニコと笑えば、喬の口角も照れ臭そうにわずかに上がる。それで、十分だった。
黒子と市子と樋口先生の思いがけぬセッションは、大喝采のうちに終わった。
喝采を熱が覚めぬうちに、呉井 陽太は鍵盤に手を置いた。
ポロン、ポロン……と紡ぐのはスローテンポなバラード曲。
フロアのライトが消され、この時のために用意されたミラーボールが回り出す。
激しく踊ったあとは、ゆっくりと頬を寄せ合い揺れるだけのチークタイムである。
北里 雅樹と椎井 莉鳥は、ごく自然に、どちらからともなく手を取り合う。
莉鳥は雅樹の肩に手を添え、雅樹は莉鳥の背に手を回す。
チークタイムなのだから、ゆっくり揺れる程度のステップでいいはずなのに、雅樹はたびたび莉鳥の足を踏みそうになる。莉鳥は彼のまずい足捌きをすっかり読んでそれを避けつつ、軽くため息。
「相変わらずダンス下手だね」
「文化系男子だからしかたない」
「いいわけになってないよ」
こんなときまで言い合いをしなくてもいいような気がするが、ついしてしまうのは腐れ縁ゆえか。
「ちょ、また踏みそうになるし。女の子を上手にリードしたいとか、ちょっと練習してみようとか思わないの？」
「うーん……考えたこともないな」
雅樹は眠たそうな目をしばたたかせる。
「もう。だから雅樹は雅樹なのよ」
「うん。俺は俺だし。お前はお前だし」
「ほんと私達ってどうしてこうなのかしら」
「どうしてもこうしても、こうなんだから仕方ない」
言いながら互いの頬を寄せ合う。
息が合わないことを楽しみながら。
◇
幾人かのパートナーチェンジを経て、御巫 時子はふたたび五十嵐 尚輝先生に声を掛けた。
「チークタイムがあるなんて……サプライズな演出ですね……」
ところが先生としたらチークタイムがなんなのかすら分かっていないようなので、時子はそっと寄り添って揺れるように踊ればいいのだと尚輝に教える。
「チーク……頬を寄せ合って踊るので、チークタイムと呼ばれているそうですよ……」
「はあ……こうでしょうか……」
先生は言われるがまま、時子の頬に頬を寄せる。
「そう……です……」
答えながら頬が染まり、胸が高鳴るのを感じる。
なんて幸せな時間だろう……。
周りを見る余裕なんてひとつもなかった。
時子は瞳を閉じて尚輝のぬくもりだけを感じていた。
◇
ずっとパートナーを交代せずに踊っていた龍目 豪と入江 みつびは、互いの腰に回す手つきも自然になってきていた。
「やさしくおねがいね？」
みつびは豪の頬に自らの頬を寄せ、囁く。
「これからもずーっとね」
みつびは頬を離して豪を見つめ、ウィンクする。
淡いリップの口唇がいつも以上に艶っぽく見え、豪はごくりとつばを飲み込む。
卒業したら今までと違う日常が待っているだろう。みつびの新しい日常の中に、今まで通りいたいから。
豪は努めて明るく振る舞う。
「ありがとな。卒業しても元気で……これからも、よろしくな！」
◇
「素敵ですねー」
見つめ合う豪とみつびを写真に収め、結梨亜・カールシュテインはふぅと息を吐いた。
「送る会自体は終わりましたけど、実行委員としては気が抜けない……と思ってたら、もうダンスタイムも終わりですか……楽しい時間が過ぎるのはあっという間ですね……おやあそこにいるのは……」
壁にぴたりと背を張り付けている赤毛の彼は中山 喬である。
むすっとした表情。「中山さんらしい」と思ってしまう。きっと『ダンスなんてしてたまるか』なんて思って、誰にも声を掛けられないよう息を潜めていたに違いないのだ。学校行事なんてかったるい、仕方がないから出ている、という雰囲気がありありと漂ってくる。
でも、結梨亜はそんな喬だからこそ、声を掛けずにはいられない。
「中山さん！ もし嫌じゃなかったら、私と踊りませんかー？」
「いや、いい……」
思った通りのつれない返事。しかし、そう言うだろうと予期していた結梨亜はめげずに押してみる。
「全然踊らないなんて損ですよっ！ もう曲も終わります。曲が終わるまで、ほんの少しだけでいいですから！ 付き合ってもらえませんか？ なんとなくこう、右～左～って一緒に揺れるだけも」
結梨亜は右に左に揺れてみせた。クラゲみたいでちょっと滑稽な動きだが、喬の気持ちはほぐれたようだ。
「……まあ、それくらいなら」
必要以上にひっついたりはしない。ただ向かい合って５ミリくらい揺れる程度だが、喬としては踊っているうちにはいるのだろう。結梨亜としてもそれで十分だ。
いっしょになってゆらゆら揺れて、上目遣いにニコと笑えば、喬の口角も照れ臭そうにわずかに上がる。それで、十分だった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2016年11月05日
- 参加申し込みの期限
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- 2016年11月12日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2016年11月12日 11時00分
