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- 00月00日生 00歳
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【バレンタイン】学生達のValentine's Day!
●校外で友チョコ
（―――フフフフ、完璧！）
帰宅する生徒達に訝しげな視線を送られるのもなんのその。
伊賀 解理はモブ達の事など全く意に介さず、ドヤァ……！ と南校舎の生徒玄関口で、白衣を翻しながら仁王立ちになっていた。
バレンタインという事で悲喜交々というか阿鼻叫喚というかともかく寝子高生は盛り上がっているが、解理も例に漏れずにしっかりとチョコを用意していた。まあそのチョコというのが『４味チョコ』―――４つの甘さが楽しめるチョコと言えば聞こえがいいが、檄甘と檄苦を交えたちょっとロシアンルーレットちっくなチョコ。何とも一筋縄ではいかない解理らしいチョコである。で、そのチョコを誰に渡すのかというと。
（日頃から世話になってるから、その感謝というかこれからもよろしく的な意味で渡したいのだ……いいんちょと串田氏に！）
北風 貴子と串田 美弥子。彼女が慕い、楽しく親交している者達である。
渡すタイミングは放課後と決めていた。チョコを下駄箱に仕込むというのも考えたが、
（靴がチョコ臭くなったら困らせてしまうから）
と、この案は却下になった。（チョコが靴臭くなる……事はない。女の子の下駄箱は絶対にそんな事にはならない）
本来なら学年が違う２人に渡すのはなかなか困難だ。しかし本日は土曜。寝子高は午前上がり。
という事は２人に、
「ちょっと帰りに用がある」
と言ってそれぞれにアポを取り付けておけば、自然に合流できるではないか！ さすが僕！ 知将だ僕！
「―――ふはははは！」
と思わず笑いが漏れてしまい、隣を通った学生がビクリとしながら解理をマジマジと見る。しかし悦に入っている彼女は全く気付かない。
その時、落ち着いた声と元気な声が同時に解理にかけられた。
「待たせてしまったかしら伊賀さん」
「やっほー、解理ちゃん！」
貴子と美弥子が昇降口から姿を現した。
２人に会うという最初の関門を突破した解理は、そのまま彼らを連れて正門まで来た。そして不思議そうな顔の２人に門から出るように言うと、自分も１歩踏みだし校外に出る。そして持っていたチョコを２人ににこやかに差し出した。
「北風先輩に串田氏……僕からバレンタインのチョコなのだ！」
むっふっふと得意げな解理。２人はちょっとビックリしながらも解理のチョコを受け取った。
「ありがとう、解理ちゃん！」
チョコを胸に嬉しそうに美弥子が言う。しかし貴子はまだ不思議そうなままだ。訝しげに、
「どうしてわざわざ校外に……？」
と解理に訊いてきた。よくぞ訊いてくれたとばかりに、えへんと解理はその薄い胸を張る。そして言った。
「校外でチョコ渡すなら、風紀の乱れにはなりませんよね、いいん……北風先輩？」
そう。チョコが校内に乱舞している状態をきっと貴子は良しとしないだろうと思った解理。学校内で渡すと貴子が不機嫌になるかもと考え、そして考えついたのだ。
（―――ならば校外で渡せばよかろうなのだ！）
なんたる名案。自分の冷徹な頭脳が怖いと、貴子を前にしみじみ解理が思っていると、美弥子が無邪気に言葉を挟んだ。
「えー、でも解理ちゃん結局学校にチョコ持ってきて……モガガ！」
美弥子の口を解理が慌てて両手で塞ぐ。「シー！ シー！」と美弥子に人指し指を立てる解理ともがもがしながら頷く美弥子。そんな２人を貴子はぱちくりと眺めていたが、その頬がふっと緩んだ。
「チョコ頂くわね、伊賀さん……どうもありがとう」
「！ はい！ 受け取って下さい……是非！」
貴子の言葉に解理は意気込んで頷く。と、真横で小さな声がした。
「解理ちゃ～ん、もう離して苦しいよぅ～」
「お！？ わ、悪かったのだ、串田氏」
解理が手を離してプハッとようやく息をつけた美弥子。その様子に貴子が思わずくすくすと笑ってしまい、解理と美弥子も顔を見合わせるとあははと一緒に笑い合う。
正門前に女の子同士の笑顔が弾けた。
貴子はもう少し校内の見回りを続け、美弥子はもう寮に帰ると言う。美弥子から友チョコを貰い、解理は２人とその場で別れた。
（受け取ってくれて良かった）
門柱にもたれて解理はふうと息をつく。でも彼女はそんなにのんびりはしていられない。なぜなら。
（次はいよいよ本命……喜んでくれるといいな）
解理の頬にさっと朱が差す。その小さな胸をトクンと弾ませながら、解理は白衣を翻して校舎に戻っていった。
（―――フフフフ、完璧！）
帰宅する生徒達に訝しげな視線を送られるのもなんのその。
伊賀 解理はモブ達の事など全く意に介さず、ドヤァ……！ と南校舎の生徒玄関口で、白衣を翻しながら仁王立ちになっていた。
バレンタインという事で悲喜交々というか阿鼻叫喚というかともかく寝子高生は盛り上がっているが、解理も例に漏れずにしっかりとチョコを用意していた。まあそのチョコというのが『４味チョコ』―――４つの甘さが楽しめるチョコと言えば聞こえがいいが、檄甘と檄苦を交えたちょっとロシアンルーレットちっくなチョコ。何とも一筋縄ではいかない解理らしいチョコである。で、そのチョコを誰に渡すのかというと。
（日頃から世話になってるから、その感謝というかこれからもよろしく的な意味で渡したいのだ……いいんちょと串田氏に！）
北風 貴子と串田 美弥子。彼女が慕い、楽しく親交している者達である。
渡すタイミングは放課後と決めていた。チョコを下駄箱に仕込むというのも考えたが、
（靴がチョコ臭くなったら困らせてしまうから）
と、この案は却下になった。（チョコが靴臭くなる……事はない。女の子の下駄箱は絶対にそんな事にはならない）
本来なら学年が違う２人に渡すのはなかなか困難だ。しかし本日は土曜。寝子高は午前上がり。
という事は２人に、
「ちょっと帰りに用がある」
と言ってそれぞれにアポを取り付けておけば、自然に合流できるではないか！ さすが僕！ 知将だ僕！
「―――ふはははは！」
と思わず笑いが漏れてしまい、隣を通った学生がビクリとしながら解理をマジマジと見る。しかし悦に入っている彼女は全く気付かない。
その時、落ち着いた声と元気な声が同時に解理にかけられた。
「待たせてしまったかしら伊賀さん」
「やっほー、解理ちゃん！」
貴子と美弥子が昇降口から姿を現した。
２人に会うという最初の関門を突破した解理は、そのまま彼らを連れて正門まで来た。そして不思議そうな顔の２人に門から出るように言うと、自分も１歩踏みだし校外に出る。そして持っていたチョコを２人ににこやかに差し出した。
「北風先輩に串田氏……僕からバレンタインのチョコなのだ！」
むっふっふと得意げな解理。２人はちょっとビックリしながらも解理のチョコを受け取った。
「ありがとう、解理ちゃん！」
チョコを胸に嬉しそうに美弥子が言う。しかし貴子はまだ不思議そうなままだ。訝しげに、
「どうしてわざわざ校外に……？」
と解理に訊いてきた。よくぞ訊いてくれたとばかりに、えへんと解理はその薄い胸を張る。そして言った。
「校外でチョコ渡すなら、風紀の乱れにはなりませんよね、いいん……北風先輩？」
そう。チョコが校内に乱舞している状態をきっと貴子は良しとしないだろうと思った解理。学校内で渡すと貴子が不機嫌になるかもと考え、そして考えついたのだ。
（―――ならば校外で渡せばよかろうなのだ！）
なんたる名案。自分の冷徹な頭脳が怖いと、貴子を前にしみじみ解理が思っていると、美弥子が無邪気に言葉を挟んだ。
「えー、でも解理ちゃん結局学校にチョコ持ってきて……モガガ！」
美弥子の口を解理が慌てて両手で塞ぐ。「シー！ シー！」と美弥子に人指し指を立てる解理ともがもがしながら頷く美弥子。そんな２人を貴子はぱちくりと眺めていたが、その頬がふっと緩んだ。
「チョコ頂くわね、伊賀さん……どうもありがとう」
「！ はい！ 受け取って下さい……是非！」
貴子の言葉に解理は意気込んで頷く。と、真横で小さな声がした。
「解理ちゃ～ん、もう離して苦しいよぅ～」
「お！？ わ、悪かったのだ、串田氏」
解理が手を離してプハッとようやく息をつけた美弥子。その様子に貴子が思わずくすくすと笑ってしまい、解理と美弥子も顔を見合わせるとあははと一緒に笑い合う。
正門前に女の子同士の笑顔が弾けた。
貴子はもう少し校内の見回りを続け、美弥子はもう寮に帰ると言う。美弥子から友チョコを貰い、解理は２人とその場で別れた。
（受け取ってくれて良かった）
門柱にもたれて解理はふうと息をつく。でも彼女はそんなにのんびりはしていられない。なぜなら。
（次はいよいよ本命……喜んでくれるといいな）
解理の頬にさっと朱が差す。その小さな胸をトクンと弾ませながら、解理は白衣を翻して校舎に戻っていった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2016年09月15日
- 参加申し込みの期限
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- 2016年09月22日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2016年09月22日 11時00分
