「くっそ……。まだ校長のなげー話が耳に残ってるぜ……」
野菜原 ユウははぁとため息を吐いて、とぼとぼと町を歩いていた。
終業式でのあの
くっそ長い校長先生のお話がずっと、耳鳴りのように残っているのだ。
「こんなときはこれだな……」
とユウはヘッドフォンを取り出した。
「こういう時、俺のろっこんは便利だよな。こいつでちょっと気分を変えて……っと」
「コラ! このバカタコが!」
「げっ! その声は……」
そこにいたのは勿論、
吉田 熊吉先生。
「歩きながらそんなもんつけるんじゃない。危ないだろうが……ん?」
先生は目をまんまるにしてユウを見た。
「……あっ。大声出してすみません、
校長……」
「
こ、校長?」
ふと、ユウは道路のミラーを見上げて、あっ! と声を漏らした。
そこに立っていたのは、紛れもなく校長。
校長がミラーを見上げて、あんぐりと口を開けている姿が、そこにあったのだ。
熊吉先生はなんだか様子が変だな、と思いつつも、気をつけて下さいと言い残して去っていった。
残されたユウは呆然として固まっている。
「な、なんで俺が校長に……!?」
「どーやら、終業式のなげースピーチが神魂で増幅されて影響が出てるみてーだな」
「……そ、その声はテオ!」
塀の上で、ふわぁと
テオはあくびをした。
「あくびしてる場合かよ! こういう時、いっつも大騒ぎしてるくせに!」
「今回は、規模も小せーから、騒ぐほどでもねーし。何人かじいさんになってるだけだろ?」
「それが問題だっつーの! どうしたら元に戻るんだよ!?」
そうだな……とテオは少し考えた。
「たぶん、校長っぽさがお前を支配してるから、そういうことになってんだ」
「こ、校長っぽさ?」
「
だから、校長がしねーようなことすれば、校長っぽさを吹き飛ばせるんじゃねーか?」
ユウはううん……と頭を捻った。
「普段、校長がしないようなこと、か……」
こんにちは。マスターの梅村です。
校長先生の長い話と神魂がケミストリーを起こし、一部の人間が校長先生になってしまいました。
困ったことに、この効果は寝子高の生徒だけではなく、校長を知らない人にも影響があるみたいです。
長話も神魂と結びつくと厄介極まりないですね。
テオが言うには、校長先生っぽくないことをして、校長っぽさを吹き飛ばせば元に戻れるとのこと。
校長先生がしないようなこと、なんでしょう?
校長先生っぽくなければないほど、回復の効果が大きいかもしれないですね。
中途半端だと、顔だけ校長先生のまま戻ったり、ハゲ頭だけ校長のままだったり、
同じく戻り具合も中途半端になってしまう可能性があるので、気をつけて下さい。
それからもうひとつ、熊吉先生の他、寝子高の先生がうろついています。
校長先生っぽくないことをしてるのが見つかると、先生たちはすぐ止めにくるはずです。
邪魔をされないように、学校の先生には気をつけましょう。
もしかしたら、ここでの皆さんの活躍で、校長先生の伝説が増えるかもしれませんね。
頑張って皆さんに降り掛かった混沌を吹き飛ばしましょう!
皆様のご参加お待ちしております。