「おや、白柳くん、部室へは行かないのかい」
鷹取 洋二は、放課後の北校舎で
白柳 さえを見かけて、声をかけた。
二人は同じ、美術部員。
なぜかさえは、画材のつまった段ボール箱を抱えて歩いている。
「あの、ええと、
沙穂先生に頼まれたの。今日から、美術室で絵本制作が始まるっていうから……」
「絵本? 美術部の活動として作るのかい?」
「ううんっと、そうじゃなくて。有志が集って、オリジナルの絵本を作るらしいの」
「それでお手伝いをしているというわけかい。感心だね」
「自分たちで作った絵本を、こばと幼稚園に寄付するんだって」
こばと幼稚園というのは、寝子島にある私立の幼稚園だ。
寝子島高校の生徒にも
馴染みのある幼稚園で、そこに通う園児のために、絵本を手作りしようという動きが持ち上がったのである。
「小さな子どもたちのためにクリエイティブな活動をするというのは、素敵なことじゃないか!」
「そうなの! 喜んでもらえるような、気持ちのこもった絵本ができるといいなぁ」
荷物を運び終えたさえは、美術室に集まりだした生徒たちを見つめて、微笑んだ。
こんにちは。
本日は、絵本作り体験のご案内です。
美術室があるのは、北校舎の一階。
一週間ほどかけて、放課後に絵本作りに取り組みます。
ストーリーもイラストも、オリジナルの手作りです。
製本作業は、美術部顧問の若林 沙穂先生がやってくれます。
完成した絵本は、寝子島にある「こばと幼稚園」(地図でいうと、H-8のあたり)に寄付されます。
子ども向けの絵本を作成して、プレゼントしてみませんか?
基本的な紙と画材は美術室に用意されていますが、
もちろん私物を持ち込んでも構いません。
作業期間は月曜日から土曜日まで。
平日の放課後と、土曜日の朝から夕方までの作業となります。
もちろん、都合のつく日時のみの参加でけっこうです。
もし、お友達と共同で制作する場合は、GAを組んでお知らせください。
ストーリーや、使用する画材、イラストの画風、作成中の雰囲気や会話など、
アクションにもりもり盛り込んで、素敵な絵本を作りましょう!