ざわざわざわ……。
静かな朝、寝子高の学食の前には人集りができていた。
「なんだろう、どうしたのかな?」
通りがかった
納 十一は、ふと足を止めて、
「あ、もしかして……!」
寝子高の学食で気まぐれに限定販売される、究極の焼きそばパン。
今回は、十一の爺ちゃん
納 利悟の農園で作った選り抜きの野菜が使われると聞いていたのだ。
「ついに販売かな?」
農園の野菜が使われて嬉しい十一は、笑顔がはじける。
「みんな、うちの野菜食べてねー♪」
とはいっても、納農園の食材だけでなく、すべてにおいて飛び切りの最高級品を使ったものとなれば、十一も自ら求めざるを得ないだろう。
さあ、学食メニューを見てみよう。
「こ、これは……」
その名も
「焼きそばパン ~ドリームウルトラDXバージョン~」
「小麦をつくるところからだと~?」
焼きそばパンの主役である麺、その小麦を春から育てていたため、ようやく秋に収穫ができて準備が整ったという。
具材も同様で、豚肉も焼きそばパンにあった豚を育てるところから始められた、まさに、この焼きそばパンだけのためのドリームでウルトラな最高級品である。
手間暇かけてる度合いがハンパじゃない!
「これは、今まで以上の争奪戦になるぞ……」
ハチマキをぐぐっと締め、販売方法についての注意書きを読んだそのとき、締めたばかりのハチマキははらりと落ちた。
「な、ななな、なんだってー?」
販売価格:100円
販売数 :1個
販売場所:北校舎屋上
販売対象:外壁をのぼってきた生徒
慌てて表に出た十一ほか多くの生徒たちは、唖然として校舎の壁を見つめた。
「なんじゃこりゃあ~!」
一階から屋上までの外壁に、ボルタリングのコースが出現していた――
こんにちは、天村です。
納 十一さんにガイドに登場していただきました。ありがとうございます。
「焼きそばパンDXをこの手に!」に続く、三度目の焼きそばパンシナリオです。
寝子島に焼きそばパンがある限り、このシナリオは受け継がれていくことでしょう。
どうもコメディーエアーが発生しているようで、普段慎重な人でも気軽に登りたくなるようです。
ボルタリングの危険性に気がついてとやかく言う教師もいませんし、
高いところから落ちても、後に影響が出るようなケガをすることもないでしょう。
◆ルールと会場
北校舎の外壁が、ボルタリング用に改造されています。おそらく今だけです。
屋上からは、丈夫なロープがいくつか垂れていて、それを頼りにのぼることもできます。
様々な妨害もあるので、ロープを使わずにのぼることはほぼ不可能でしょう。
下には申し訳程度に、落下時の衝撃を抑えるマットが敷かれています。
落ちても、何度でも挑戦して構いません。
いくつかの障害があるので、それにも気をつけてください。
1.強風が吹き荒れています。
時に凄まじい突風となり、バランスを崩すと落ちます。
女子生徒のパンチラが発生するため、男子生徒は特に落ちやすくなります。(男性用ハンデ)
2.屋上から何か落ちてきます。
ゴリラの格好をした人が、樽を落とします。当たれば痛いし、落ちます。
3.屋上から何かが垂れてきます。
ゴリラの格好をした人が、ロープや外壁にぬるぬるローションを流してきます。滑るし、落ちます。
4.2階にある家庭科室の窓から調理実習の香りが立ち上っています。
すごく美味しそうで鼻を刺激します。
なぜかうっかり包丁が飛んでくるかも。
◆できること
基本的には、焼きそばパンを目指して壁を登ってください。
ゴリラの格好をした妨害役として参加することもできます。
ゴリラ希望者は、その旨を参加確定後にコメントページに記入してください。先着2名までです。
ゴリラ希望者がいなかった場合は、吉田 熊吉先生と高野 有紀先生が担当します。
◆その他
コメディーエアーの影響か、ろっこんも効きやすく不審に思われることもありません。
通常の焼きそばパンはたくさん用意されているので、2位以下でも何も残ってないことはない、はずです。
さあ、昼休み開始のチャイムとともにレーススタートです!