旧市街、参道商店街にある手打ち蕎麦屋『すすきの』
暖簾をくぐって中へと入ってみれば、出汁の香りか、天麩羅の香りか。
席に座って出されたお茶を飲みながらメニュー表を覗いてみると、
筆で書かれたしっかりとした文字が目に入ってきます。
・かけそば
・鴨南蛮
・天麩羅そば
・月見そば
・ざるそば
・天ざるそば
・寝子島そば定食…日替わりのそば定食
・サンマそば定食…サンマの蒲焼がのった掛けそば定食
その他にも季節ごとのメニューもあるようです。
お気軽にご注文下さいませ。
「あなたのそばに蕎麦屋すすきのーすすきのー」
孫娘の五月が接客の合い間にテーマソングとばかりにおかしな調子の歌を口ずさんでおりますが、
深い意味はありません。恐らく気分です。そして仕様です。
>五月殿
蕎麦の事になると熱くなるのう…そなたは
まぁ、それも良い所なのじゃと思うが
普段は見せぬ一面じゃとて…
「もりそば」と「ざるそば」は現在では海苔がある方をざるそば、海苔が無い方をもりそばと言う名残だけが残っておる
大本はどうかと言うと「もりそば」と「ざるそば」は盛る器が違っておる。「もりそば」は蒸篭や皿に、「ざるそば」は水切りの良いざるに乗せておる。ゆえに「ざるそば」じゃ
また、違いとして汁にも違いがある。「ざるそば」に使われる汁は香りが高く濃厚で高級感がある物じゃ
それに海苔を添えた物。では「もりそば」はどう言う物か
「もりそば」は当時、と言うと江戸時代じゃな。江戸っ子がそばに汁をそのままぶっかける「ぶっかけそば」に対して器に山の様に盛り付けて汁につけて食べる事から「もりそば」となっておる
現在では「もりそば」と「ざるそば」の違いは海苔があるか無いかだけの名残しかないが、歴史を紐解くとこんな面白い違いもあるとて…
(ここでまたハッとして)
……また話が長くなってしまった。わらわも、そなたに感化されて熱くなってしまったのかのう……
ともあれ、今度来る時は楽しみにするぞよ
>祭殿
ん?電話か…長くなる様ならまた今度わらわの所にメールして欲しいぞよ
猫鳴館だったらいつでも案内をするとて…
それじゃあ、お勘定をお願いしようかのう(そう言って席から立ち上がって)