旧市街、参道商店街にある手打ち蕎麦屋『すすきの』
暖簾をくぐって中へと入ってみれば、出汁の香りか、天麩羅の香りか。
席に座って出されたお茶を飲みながらメニュー表を覗いてみると、
筆で書かれたしっかりとした文字が目に入ってきます。
・かけそば
・鴨南蛮
・天麩羅そば
・月見そば
・ざるそば
・天ざるそば
・寝子島そば定食…日替わりのそば定食
・サンマそば定食…サンマの蒲焼がのった掛けそば定食
その他にも季節ごとのメニューもあるようです。
お気軽にご注文下さいませ。
「あなたのそばに蕎麦屋すすきのーすすきのー」
孫娘の五月が接客の合い間にテーマソングとばかりにおかしな調子の歌を口ずさんでおりますが、
深い意味はありません。恐らく気分です。そして仕様です。
>五月殿
(テーブルに置かれるお茶や漬物を見て、そしてそれを持ってきた主を見れば)
む、五月殿がここの接客をしておるのか(こちらも微笑みを浮かべながら)
…中々面白いキャッチフレーズじゃのう
「傍」と「蕎麦」をかけておるのか…
蕎麦は喉越しが良い。江戸ッ子は蕎麦を噛まずに飲む、とまで言われておるしのう
…まぁ、噛まずに飲むのは余り意味が無い。これは江戸ッ子の粋な所と蕎麦の喉越しの良さを表現した物じゃとて…
普通は噛んで蕎麦の香りと味わいを楽しむ物じゃ
まぁ、途中で噛み切るのは少々不恰好じゃがのう。食べる時は「口に入る分だけ」に留めておくのが良い
(と、ここでハッとした様に口をあけて)
…あ、すまぬ。いつものわらわの長話じゃ
どうにも、わらわは話が長くなって困るぞよ…自分でも気にしてるが、中々止められないぞよ
今日は午前中にシーサイドの方のゲーセンに通っておったのじゃが…
ほれ、格ゲーがあるじゃろう?対面側の奴が連コンをしまくってのう
わらわの方は素振りから「連コンされてる」と解っておった様じゃが、対面側がかなりピリピリしておったとて…
「投げ」(格ゲーの対戦中に対戦台から離れる事)はしなかった物の、何とか途中で負けて抜け出せたとて…
トラブルに巻き込まれるのを恐れて昼前に逃げ帰ってきた所じゃ
丁度食事時じゃしのう。と、言う訳で今日は蕎麦にする事にしたのじゃ
(と、また改めてお品書きを見て)
…鳥中華はあらぬのかえ?(そんな問いかけをするのであった)