旧市街、参道商店街にある手打ち蕎麦屋『すすきの』
暖簾をくぐって中へと入ってみれば、出汁の香りか、天麩羅の香りか。
席に座って出されたお茶を飲みながらメニュー表を覗いてみると、
筆で書かれたしっかりとした文字が目に入ってきます。
・かけそば
・鴨南蛮
・天麩羅そば
・月見そば
・ざるそば
・天ざるそば
・寝子島そば定食…日替わりのそば定食
・サンマそば定食…サンマの蒲焼がのった掛けそば定食
その他にも季節ごとのメニューもあるようです。
お気軽にご注文下さいませ。
「あなたのそばに蕎麦屋すすきのーすすきのー」
孫娘の五月が接客の合い間にテーマソングとばかりにおかしな調子の歌を口ずさんでおりますが、
深い意味はありません。恐らく気分です。そして仕様です。
>青野先輩
おお。お花見、ええですねー。
青空の下で桜見上げながら食事するんは、きっと楽しいでしょうねー。
お弁当にひらひらと桜の花びらが舞い落ちてくるんも、乙なもんです。
……うむ。なるほど似た感じで、そばつゆに桜が落ちてもなかなか良さそうな。(頷き)
はい。どうぞー。食べて頂けると嬉しいですー。
……おお。あの、ですね。ええと……
(店主がこちらを見ていない事を確認した後、
青野先輩が蕎麦を啜ってらっしゃる横で声をひそめて)
……もし良かったら、後でこっそり、そば饅頭の感想とか聞いてもええでしょうか?
「新メニューを作るぞー!」とおじいちゃん、気合入れとりまして。(こそこそ)