灯 斗南はいたって無趣味な男だ。音楽にもオシャレにも部活動にも勉強にも興味がない。そんな彼だが毎週必ず欠かさず見ているのが特撮ヒーローもの、「マスカレイダー」シリーズである。元々は昭和に作られたマスカレイダーを平成になって復活させるとそのシリアスな展開と主人公ダイゴ役の俳優の熱演から人気沸騰、以降シリーズ化されている。
その頃、どこともつかない闇の中、一つの黒い影が独り言をつぶやいていた。その影とは言うまでも無く”無貌”である。
「面白い「面白い」つまらない」そうかな?僕は楽しめたけど?」
「まさか「まさかあんな」あんな「ふざけた」方法でイフリートに勝つなんて思わなかったよ」
「「「マスカレイダー、お伽噺のヒーローを”演じる”なんて誰が予想できただろうか?」」」
「”無貌”様、次はこのグルル・ヤクシャに開演の許可をいただけないでしょうか?」
「いいの?「いいのかい?」イフリートみたいにやられちゃうかもしれないよ「うん、知れないね」?」
「ふ、このグルル・ヤクシャ、いや、神鳥ガルーダをイフリートなどと一緒にしないでください」
「いいよ「いいよ」許可するよ。「好きなように演じたまえ」神を演じる演神者としてね」
「ははっ」その次の瞬間、まばゆい光がほとばしり、天に昇って行った。