灯 斗南はいたって無趣味な男だ。音楽にもオシャレにも部活動にも勉強にも興味がない。そんな彼だが毎週必ず欠かさず見ているのが特撮ヒーローもの、「マスカレイダー」シリーズである。元々は昭和に作られたマスカレイダーを平成になって復活させるとそのシリアスな展開と主人公ダイゴ役の俳優の熱演から人気沸騰、以降シリーズ化されている。
「あ、はい、はい、そうですか…」落胆した表情で携帯を切る星児。「また落ちたのかよ…」
これで20回目のオーディション落選である。
『役に熱中するのはいいけど、途中で熱くなりすぎなんだよね、そこが問題なんだよ』必ずと言っていいほど理由として言われるその言葉。
それがヘルメスとの戦いの時、アレスと化した自分とダブる。