灯 斗南はいたって無趣味な男だ。音楽にもオシャレにも部活動にも勉強にも興味がない。そんな彼だが毎週必ず欠かさず見ているのが特撮ヒーローもの、「マスカレイダー」シリーズである。元々は昭和に作られたマスカレイダーを平成になって復活させるとそのシリアスな展開と主人公ダイゴ役の俳優の熱演から人気沸騰、以降シリーズ化されている。
だが、二人は気づかなかった。マルスの戦いを監視していたものがいた事を。
その人物も仮面を着けていた。だが、そこには目も鼻も口もない、つるりとした白い仮面であった。だが次の瞬間、仮面のあちこちから口が現れ一斉にしゃべりだす!
「マルスが勝ったか」「アスラが負けたね」「どうする?始末しちゃう?」「いやいや、我々の仮面舞踏会で彼にも出番を与えよう」「面白い事になりそうだね」「うんうん、楽しみだなぁ」
そして無数の口が喋り終えると消えて元の無貌の仮面にもどり、そしてその人物はその場を後にした。
【第二幕 主役と舞台】終