古々しくも手入れの行き届いた空手道場。
人数こそ少ないものの猛者揃いの盆倉門下たちが日々汗を流している。
土日には子供空手教室なんかも行っていたりする。
時折態度のでかい居候がやって来て指導をしたりしなかったり。
クハッ、女人禁制とか何時代の話だっつーの。
実際そーゆーお堅い所もあるっちゃあるが
此処は普通の町道場だしそうカタい事言わねーよ。
(門弟達は照れくさそうに鼻の下を伸ばしている。
純朴な盆倉門下達は基本的に女慣れしていないのだ!)
あ、お前も顔見知りだった?
まあ狭い島だしな―――っと。
(全身の運動を使った強烈な掌底。まともに食らえば相当な威力だろう。
だが立ち上がりの分距離がある。その猶予でもって軌道を見切り、首を反らしたのみで難無く躱す)
……分かってねェな。もう一度言うぜ、この状況は「俺の間合い」だ。
あんま気ィ抜いてっとお前、次で沈むぜ。
(回避と同時、ザザッという踏み締めの音と共に楓の拳が掻き消える。
立ち上がりながらの掌底でガラ空きのボディへと繰り出されるのは一本拳。
明星・水月・喉笛と、全て人体急所を狙った神速の正中線三段突き)