※初めて書いたためにかなり駄文ですが、それでも良いという方はどうぞ
「やっぱりここに居たんだね。」
夢を見た。
それはどこか最近のようで、でも遠いような光景。
目の前に映るのは、ぼんやりとした少女の影。
「もう下校時刻過ぎてるのにいないから探したんだよー?
滅多に一緒に帰る機会なんてないんだから心配したんだよ、もう」
明るそうで、元気な少女の声が木霊する。
「ほら、一緒に帰ろ?今日もいっぱい聴いてもらいたいんだから」
少女の影が、そっと手を伸ばす。
私は、それにゆっくりと触れた。
『うん、今行くね―――苺ちゃん』
そう口にした途端、その風景は静かに途絶えた。
次に映ったのは、小さな部屋の中だった。
【あれ、私…】
この部屋の中には見覚えがある。
ここは浅山小淋が所属している部室の中だった。
【そうか…疲れて寝てしまっていたみたいですね】
机の上にまとめられた書類を見ながら、小淋は静かに納得した。
日頃から支援部として色んなところで動いているの彼女は、きっとここへ来て一気に疲れとして襲い掛かってたのだろう。
【…懐かしい、夢だったな】
ふと、眠っていた時に見た夢を思い返していた。
一年前に出会った、一人の少女の夢。
窓から差し込む夕焼けが、それをさらに鮮明にさせた。
その時、小淋は無性にある場所へと向かいたくなった。
部室を後にし、他の生徒達のように校門へ向かう―――なんてことはなく
別の方向へと歩を進ませた。
【もう誰も使ってませんよね…?】
誰も居ないと信じつつ、辿り着いたその部屋の扉を開けた。
窓ガラス越しにオレンジ色の光が差し込む。
そしてその中には、一台の黒いピアノ。
ここは音楽室だった。
鞄からファイルを取り出し、その中から一枚取り出す。
小淋がまだ誰にも見せていない、秘密。
『オレンジの空』と書かれたその楽譜を手に、静かにピアノに触れた。
彼女は特別ピアノが上手いわけではなかった。
それでもそこから奏でられた音は、ひとつひとつの音を大事にしているようだった。
どこか切なげで、優しい音色は
まるで沈みゆく夕焼けのように、賑やかな一日が終わっていくように。
「少しでも、あの子に今の自分が伝わるように」
誰もいないこの部屋で
少女は弾き、歌う。