真っ赤な薔薇。
触れる度に赤が零れる、紅く、赫く。
誰の事を考えても赤く赤く赤く。
赤い薔薇は『深い愛情』。
真っ黒な薔薇。
あの時流れ出ていたあの色の様な赤黒い。
あの人の事を考えた途端にじわりじわりじわり。
黒い薔薇は『憎しみ』『嫉妬』、『独占欲』。
雨が降り続いていた。
崖は脆くなっていた。
廃墟は立入禁止だった。
ざあざあざあ。
あの人が倒れて居た。
あの人が此方を見て居た。
あの人が地面に縫い留められて居た。
ざあざあざあ。
こちらをみているみひらいためでにごっためでじっとじっと
潰れた俺の左脚は、潰れたあの人と一緒に燃やされた。
私はあの人の分まで愛そう。
あの人がそうだったように。
私の大好きだったあの人。
俺の大嫌いだったあの人。
私が一番愛していたあの人。
俺が一番憎んでいたあの人。
私が目標にしていたあの人。
俺が妬んでいたあの人。
もう動かないあの人の濁った瞳が私の俺の目の前から離れない
だからこそ私は
その所為で俺は
この世に愛を振り撒き続ける。
あの人の為に、私の為に。
あの人はもう居ない。
俺はもう居ない。
居るのは私だけ。
貴方が大嫌いでした。
貴方が大好きです。
さようなら、桃源郷。
シナリオ「薔薇色の休日」http://rakkami.com/scenario/reaction/207?p=14