ある日の寝子高生徒会会議｜リアクション

ある日の寝子高生徒会会議

「こんにちは、満くん」
　３－２の図書委員青龍寺琴理は、席に着こうとする委員長の日野満に声をかけた。
「えっ？　え、ああ……青龍寺さん、こんにちは」
　琴理は１年の頃から図書委員をしている。
　毎回一緒に参加しているのだから驚かなくてもよさそうなものだが、相変わらずビビリの図書委員長は緊張しているようだ。
　あるいは琴理が漂わせている色香のためもあるのだろうか。
「しっかり！」
　傍に座った琴理は笑顔で軽く満の背を叩き、リラックスさせようとする。
「今まで提案して増えた予算で本の購入数が増えたし、備品の購入もできたわ。この前卒業生の方々から大量に本を寄贈していただいて利用者数は増えてるみたい」
　纏めた資料を見せながら話す。
「こんにちは、委員長さん」　
　反対側から、1年の図書委員恵御納夏朝が声をかけた。
「あ……ああ、こんにちは」
　夏朝も満の近くに座りながら言う。
「会議は慣れてないけど、委員長さんも頑張ってるし僕も頑張る。図書室や蔵書管理等に必要な予算を得られればそれで良いかなと思うんだけど……委員長さ……日野先輩はどう思う？」
　予算の私的利用など夢にも考えていない夏朝。
「ああ……そうだね。おれもそれで良いと思う」
　満は答える。
「色々資料を纏めて、見やすいようグラフやリスト形式にしたから、必要な時に提示するね」
　
　会議の定刻５分前、生徒会長海原茂が席についた。
「こんにちは、茂くん」
　琴理が笑顔で声をかける。
「ああ……大体そろっているかな」
　茂が室内を見回した時。
「差し入れだ。腹が減っては会議ができないからな」
　筋肉質の巨漢……３－４の学級委員都築弦一郎がぬっと姿を現し、持ってきたコンビニの袋からお茶とおにぎりを取り出して配り始めた。
「都築、それは自腹か？　ありがたいが、おにぎりまで……」
　茂の声に微妙に戸惑いが滲むが、弦一郎は気にしない。
「大丈夫だ、買ってきたばかりだから傷んだりはしていない。遠慮せずに食べてくれ」
「ごちそうさまです！」
　博美がすかさず配るのを手伝う。
「ああ、こっちのぶんは俺がやるから」
　と、図書委員席へ向かう弦一郎。
（普段から思いやりのある男だが、今日のはすこし度が過ぎてないか？）
　茂をはじめ、彼を知る３年生たちは引き気味にそんなことを思った。
「あら、ありがとう」
　お茶とおにぎりを受け取り微笑む琴理。
「い、いや、どういたしまして」
　口の中でもごもご言う弦一郎の顔が朱に染まる。
（張り切って会議を盛り上げるぜ。徹底的におもてなしを行おう）

「あー、お茶が美味しい」
　さっそくお茶を飲み、一息つく焔。
「……それでは、定刻となったので生徒会会議を始める」
　生徒会長の言葉と共に、会議は始まった。
　　

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