【ハロウィン】play a game～T or T?～｜リアクション

【ハロウィン】play a game～T or T?～

【倉庫内北（Ａ２）－AM10:15】

　あさひ達の行動が行われていた頃と同じく、こちらでは翼を除いた全てのおばけと仮装者達が集まる事となっていた。

「屋敷野……！？」

　透から逃げ切り、さらに先へと逃げる為に移動しようと考えていた刀の視界に、梢の姿が映る。
　だが、その姿は透の背後にあり、明らかに逃げる為の行動ではない事が刀の思考が一時混乱させる結果となっていた。

「御剣君！どこにいるか分かりませんが、日向さんの事を足止めしてくださーい！」

　その混乱を後押しする形で、梢がこの一言を両手に持った梢と由貴名名義のお菓子袋を見せながら大きく口にする。
　刀もルールは理解している。
　その上で、梢が二つのお菓子袋を持っているのであれば、おそらく透が誰かを捕まえたのだろう。
　――ならば、刀が手伝わない理由は無い。

　梢にとっては賭けに近い事であったが、その賭けに梢は勝つ。
　正面に見えた刀の姿を確認した事で、実質透をその間に挟む事に成功する。
　たとえ刀が捕まっても、由貴奈を復帰させられれば、その分は帳消しに出来るのだ。
「恩に着ますよー、御剣君！」
　視界の先に映った透は、その動きが一時止めた上で刀と梢を見比べ――梢の予想通りにまっすぐに刀へと向かい駆け出す。
　同時に、刀も透へと駆け出し、梢はさらに透との距離を縮めるが――
「悪いが、先にゃ行かせねぇ！」
　背後より、怒声に近いこの声が聞こえる。
　梢にとってはほぼ奇襲の形でミイラ男――義一がこの場所へと間に合っていたのだ。
「っ！まだ居ましたかー！」
　梢と比べれば、走る速度ではどうしても義一には勝てない。
　その為に、距離を縮められるが――梢はこのタイミングで自身のお菓子袋を開き、床へとばら撒き、袋を投げ捨てる。
「うぉ！？」
　――お菓子袋にお化けは触れられない。
　それは例外なく、袋を含めた中のお菓子も含まれる。
　義一の足が、それらのお菓子を避ける為に止まった事を確認せず、梢はまっすぐに透へと迫る。

　透もまた、この状況を確認する。
　梢がこちらに迫ってきているのであれば、おそらく由貴奈を捕まえている事は分かっているのだろう。
　ならば自分はどうするべきか――
「透さん、刀を叩いて逃げろ！そうすりゃ、俺達の勝ちだ！」
　透の背を押す形で、梢の後ろから義一が叫ぶ。
　――だが、それは一歩遅かった。
「そうはさせない！」
　透に追いついた刀が、そのまま梢との間に割って入り、進路を塞ぐ。
　正面の刀に対し、透はピコハンを振るうが――刀がキーホルダー化すると同時に、梢が片手に持った由貴奈の袋を透へと見せていた。

「……残念、駄目でしたか」
　ポーチ型のキーホルダーと入れ替わる形で、透のピコハンの柄に学生服型のキーホルダーが巻き付けられる。
　変わりに、ポーチ型のキーホルダーは柄から外れ――透と梢の間に元に戻った由貴奈が現れていた。

「いやぁ、焦った焦った……って、あれ、梢ちゃん？」
　ぼんやりとした顔のまま、由貴奈は梢を見る。
　――同時に、倉庫内に設置されていたスピーカーから、ゲーム終了の声が響き渡っていた。

【倉庫内－AM10:20】

　２０分に及ぶ鬼ごっこが終了し、キーホルダーに変えられた仮装者達は終わりを伝えるスピーカーの声と共に、全員が元に戻っていた。
　続けるようにスピーカーからは全員へと今度はちゃんとお菓子を渡す為に、中央に集まるように伝える。
　その中で、各お化け達は今回この遊びで事前にこのスピーカーの声の主に役割を演じてもらうように頼まれていた事を伝えていた。

「まぁ、負けましたけどね」
　北側位置からこちらに向かう仮装者達の中で、透と義一もこの説明を行っていた。
「いやー、まさか初めにやられちゃうとは思ってもなかったけどねぇ」
　梢との協力を考えていた由貴奈にとっては、ほとんど透にしてやられた形となったのだ。
　もちろん悔しさが無いわけではない。
　が、それでもこれが遊びである事、そして何よりきちんとお菓子をもらえると言われたのだから、それ以上は特に何も言うつもりはなかった。
「あ、でもクッキーはありますよねぇ？もし無いんだったら――」
　今度は由貴奈が透達に向かい、この一言を口にする。

『お菓子くれなかったら、お菓子食べちゃうよぉ？』
　微妙にどこか違うその一言は各自の笑みを誘い、透達が到着する頃には他の場所から来た全ての仮装者達が中央へと集まる。

　――そして到着と同時に、全員がこの世界から掻き消えるように、その姿を消していた。

【状況終了】
全テノプレイヤーノ消去、世界ノ消去ヲ開始

【結果】
『仮装者』
　４名生存二ヨリ条件達成
　勝利判定：判定勝利ト判定

『仮装者（お化け）』
　３名ノキーホルダー化二ヨリ条件未達成
　勝利判定：敗北ト判定

―― game is over ――

【現実：おもちゃ倉庫内】

　倉庫内で開かれたボードゲーム――マイスターは光を徐々に消しながら、全ての意識の解放と自身の変化を行い、周囲の人間が目覚めるよりも早く姿を消していく。

　プレイヤーが目覚めた時に、ゲームを夢とし忘れるのか、それとも明確な記憶として覚えているのか、全ては各自の判断に委ねられる。
　だが、それらの記憶の中でもマイスターの記憶だけは綺麗に抜け落ちていた。

　次のゲームは、誰かがマイスターをプレイした時。
　その時まで、マイスターはどこかで静かにその時を待つ――

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あとがき

担当マスター：御神桜
ファンレターはマスターページから！

まずはご参加いただきありがとうございました。

総合結果としては、各アクションを判定し全員が頑張った結果、仮装者側の判定勝利とさせていただいております。
アクションの判定等、簡易ではありますが個別にてお送りいたしておりますので、よろしければご確認ください。

今回のリアクションが、少しでも皆様にとって楽しめるものになっていれば幸いです。
それでは、よろしければ次回のシナリオにて、ご参加をお待ちしております。

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