【ハロウィン】play a game～T or T?～｜リアクション

【ハロウィン】play a game～T or T?～

Final_Round【AM10:15】

　終了までの残された時間は、ついに５分を切る。
　お化けも、そして仮装者達も、それぞれが目的の為に最後の行動へと移っていく。

【倉庫内南東（Ｃ３）－AM10:15】

　ニナはここに逃げ込んだ後、隣接する南部での状況の幾つかは確認出来ていた。
　そして――その中の一人、あさひがこちらへと向かって来た事も。
「ついに私、って所ですかね。さて、どうしましょうか」
　このまま逃げ切る事も不可能では無いが、あさひをここで足止め出来れば他の仮装者達の援護にもなる。
　どちらを取るべきか、ニナが出した答えは――

「かそう者さん、いるかなぁ？」
　ぽつりと口にし、あさひは既に召喚しているピコハンを両手で持ちながら、障害物に隠れて移動していく。
　ダンボールによる障害物は少ないが、元より小さいあさひにとっては他のプレイヤーと違い、隠れる場所は多く存在する。
　その為に、ニナからはここに来た事自体は把握されているが、あさひの位置までは特定されていなかった。
　誰か居ないか、周囲を注意深く探しながら――あさひは一つの物音に気づく。
「……だれか、いるねぇ」
　物音に反応したあさひは、一度ピコハンを片手で持ち、仮装してきた尻尾を取り外す。
　そして、取り外した尻尾を障害物から見えるようにぴょこぴょこと動かし――その結果としてあさひの元へ向かう足音が耳に届く。
「うん、これなら――」
　足音を確認した後、あさひは急いで尻尾を床に置き、近づいてきた誰かを捕まえる為に障害物の反対へと移動していく。

「誰か居ますよね。おとなしく出てきたほうがいいかもしれませんよ？」
　あえてあさひに聞こえるように、ニナはこの言葉を口にする。
　尻尾が見えた時点で、ニナはあさひがどこに居るかを確認出来ていた。
　折りたたんだツイスターのゲームシートは片手に持ち、相手に見えないように背中側に隠している。
　――必要な事は、あさひの足止めをする事。
　ニナが選んだ手段はこちらであった。
「おかしいですね。尻尾、見えてましたよ？」
　再度あさひに呼びかけ、ニナは尻尾が置かれた障害物の近くまで迫る。
　そして――あさひはこのタイミングを見逃さず、反対側へと周りこんだ上でニナの背後からピコハンを振りかぶる。
「ニナお姉さんも、ピコピコしちゃうんだからー！」
　ピコリと音を立て、あさひのピコハンは確かにニナに当たる。
　だが――あさひにとっては予想外に、ニナにとっては予想通りに、ニナはキーホルダー化を免れていた。
「なんでー！？」
「お菓子袋、持ってましたから」
　少しばかり意地悪な笑顔をニナがあさひに向け、素早く手に持ったゲームシートをあさひの頭から被せる。
「あぅ、前が見えないー！」
　あさひの視界を奪った上で、ニナはそのままシートの端を掴み、あさひの動きを奪うように巻きつける。
　そして最後に、掴んでいた端を床へと押し付け――

――がちゃん――
　ゲームシートの端を持った手ともう一つの手で床に触れながら、ニナはこの一言を口にする。
「残念でしたね。ここで私とゲームオーバーと行きましょうか」
　巻きつけられたゲームシートは、床と接着する事でより強固にあさひの動きを阻害する。
　動く事で転びそうになったあさひを支える形で床に座らせ、ニナはそのままあさひと共にゲーム終了の声を聞く事ととなっていた。

【移動判定】
　椎名あさひ：Ｃ２→Ｃ１

　【ろっこん使用判定】
　渥美ニナ：ろっこんノ使用ヲ確認。残回数０

　【お菓子袋使用判定】
　渥美ニナ：使用確認二ヨリ、該当ノお菓子袋ガ消失

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