【卒業生を送る会】未来へ向かってバイバイバイ♪｜リアクション

【卒業生を送る会】未来へ向かってバイバイバイ♪

〇三年生入場！

「それでは『卒業生を送る会』を開催したいと思います。私は今回の司会進行役を務めることになりました水上と言います」
「同じく有沢です。どうか最後まで、お付き合いをよろしくお願いします♪」
　在校生たち、そして近隣の人たちの前で、桜と茉奈は司会進行を務めます。
「卒業生入場です！」
「盛大な拍手で迎えましょう！」　

　音楽と共に入場する卒業生たち。
　１９歳の誕生日を終え、卒業生を送る会に顔を出した椎井莉鳥は、考えていました。
（寝子高には結局４年間通うことになったわね）
　なぜか、１６歳の誕生日の夜、彼と寝たあの月夜の夜のことが頭によぎりました。
　あの時自分を襲った、抱きしめてほしい衝動は一体何だったのか、今となってはもうわかりません。
　春からは木天蓼大学薬学部へ通うことが決まっています。
（その準備もあるし、大学生活に向けていろいろとやることもあるし。多分この調子だと卒業式なんてあっという間だろうな）
　
（今まで送る側だったから不思議な気持ちです）
　綾辻綾花は、つい大好きな早川珪の姿を探してしまっていました。
（あっ）
　大勢の中から珪の姿を見つけ、視線が合うのを感じてほっこりするのでした。
　
（俺も送られる側になったんだな）
　鴻上彰尋は、そう思うと寂しいというか、名残惜しいという気持ちに駆られるのでした。
（終わってしまえば短い３年間。色んな事があっても明日を迎える日々を過ごせたのは、けして一人の力で出来た事じゃない）
　感謝の気持ちを伝えたい。
　そう思うのでした。

（送る会か……俺も送られる方になるたぁ年月を感じるなー……最上級生だもんな）
　しみじみと思うのは桜井ラッセル。
（卒業まであと一カ月……あああ！　駄目だ）
　ラッセルは顔を上げ、ニカッと笑顔で手を振ります。
（後輩にこんなしょぼくれた顔みせらんねー！）
「……あれ？」
　ラッセルは、講堂で堂々と絵を描いている同級生の姿を見つけ心の中でツッコミました。
（旅鴉、お前卒業生だろうが！）

　旅鴉月詠は、スケッチブックにざっと絵を描いていました。
（後は落ち着いたら描こう）
　次はカメラを取り出し、写真も撮るため動き回ります。
　驚いた顔のラッセルを見つけ、つぶやきました。
「気にするでない。時間は停止しないし犬猫とカメラマンは動くものだ」

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