夢の中のバトルアクション！｜リアクション

夢の中のバトルアクション！

　パァン、パァンと、乾いた音がいくつも響き渡る。
　夜の街に終わりはないと告げるように、瞬く間に街の中を音が走る。
　誰がやり合っているのか、それは定かではない。夜の街には姿見えぬ者も大勢いるのだから。

「……まだ、いるんでしょうか……？」
「どうだろう。多分、まだこっちを見てると思うぜ」

　浅葱あやめと桜井ラッセルの２人が建物の影に隠れ、マフィアに荒らされた寝子島の街を見やる。
　黒い出で立ちをしたマフィアの人間、彼らの目的は語られず。
　――まあ夢の中の出来事なので、目的が語られたとしても解決に至ることはないのだが。

　もう少し様子を見ようと２人はそれぞれで武器の手入れを素早く行う。
　２人揃って拳銃、それもラッセルは二挺拳銃を使うため出来るだけ綿密な調整を行っておいた。
　銃撃戦の合間に弾詰まりが起きてしまう可能性を少しでも抑えなくては、肝心な時に負けるなんてこともあるからだ。

「……準備はいいですか……？」
「んー、多分な。ここでもたついてたら逆に見つかっちまうし、そろそろ行こう」

　ゆっくりと立ち上がり、夜闇に紛れて先へ進むあやめとラッセル。
　周囲の明かりが彼らの行く先を照らし、彼らを導く。

　けれどマフィアも勘がいいと言うかなんというか。
　２人の気配に感づいたその瞬間には、苦無や短剣を２人に向かって投げつけていた。

「いや、そこは銃じゃないのかよ！！？」

　思わず二挺拳銃を構える前にツッコミを入れてしまったラッセル。
　マフィア＝銃撃戦という常識が頭の中にあったせいか、余計にツッコミを入れたくなってしまったようだ。

　ここは夢の中。常識が全て通じると考えてはならない。
　時には非常識が常識となりうることもあるのだ。

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