【星幽塔】第一階層　ゴーレム山から見つける一粒の宝石｜リアクション

【星幽塔】第一階層　ゴーレム山から見つける一粒の宝石

　星幽塔の第一階層、突然転移させられ、目の前の塔の最上階を目指す四人。
　ある者は帰るために、ある者は依頼を達成するために、塔の下層でゴーレムと対峙する。

「ゴーレムってファンタジーやゲームでしかあったことないけど…迫力すっげー」

　寝子島から来た桜井ラッセルは風を帯びる槍を持ち、ゴーレムの頭を突く。
　ゴーレムはゆっくりと、それでいて質量のある拳が振り下ろされるがラッセルに届くことはなかった。
　ラッセルの槍が放った風でゴーレムのコアが大きく露出し、うまく突くことで破壊。

「罠の類は無いわ。塔の管理者は随分自信があるみたいね？」

　ラッセルがゴーレムを倒す後方ではティオレ・ユリウェイスが罠の確認をしていた。
　ラッセルがトラップがあれば…と言っていたためティオレが調べていたが、まっさらだった。
　副業の踊り子で食いつないでいたティオレは本業は盗賊。もってこいの状況に腕が鳴るようだ。

「レトランジェくんよろしくだよー協力する代わりに報酬分けてだよー」

　間延びのする話し方をする三ヶ島葵はゴーレムの攻撃を避け、巧みにゴーレムをワイヤーに絡める。
　移動しづらさそうにしているゴーレムの頭に弾丸が放たれ、コアが壊れる。
　
「もちろん、報酬は分けよう。あればの話だがね」

　余裕の表情と二丁拳銃でもう一体のゴーレムのコアを破壊するのはヴェルト・レトランジェ。
　器用に咥えた葉巻を一吸いし、煙を吐く。その間にもゴーレムが生成されていく。
　げんなりとした表情のヴェルト、背中合わせになる葵はいつもの笑顔が浮かんでいる。

「…ショートカットしてぇ。フクロウは羽音が無音だしいけるか…！」

　つぶやいたラッセルはオルゴールの金の鍵を強く握りしめる。
　すると、ろっこん【黄色いピヨコ】の進化能力が発動し、ラッセルの姿をフクロウへと変化する。
　ゴーレムたちはラッセルを認識しづらくなり、近くのティオレに寄っていく。

「無限に出てくる、これこそトラップかしら」

　軽快な身のこなしでゴーレムの拳を避け、次のゴーレムの拳をバックステップで受けるティオレ。
　少ないダメージでゴーレムに移動させてもらい、別のゴーレムの頭にショートソードを突き刺す。
　ゴーレムが崩れるのと同時に着地するとラッセル…フクロウが三人の上空を旋回する。

「ついて来いってことかな？　助かるね」

　ヴェルトは葵、ティオレと頷き合ってラッセルの後を追う。
　葵が先行し、金色にうっすら光るワイヤーを展開し、ゴーレムの進行を制限。
　抑えきれなくなったらティオレがゴーレムのコアを狙い、ショートソードを振るう。
　ティオレが対応できないゴーレムはヴェルトが…と即席ながらも息の合ったパーティになっていた。

「あれかなー。もうひといきー」

　上へ行く階段を見つけた葵は緩く言いながら走る。
　一足先に到着したラッセルは変化を解き、三人を追うゴーレムの前に槍を構える。
　コアにこだわらず、ゴーレムを削り、進行を鈍化させ、全員無事に中層へと向かっていった。

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