オータムフェスタで、秋の装い｜リアクション

オータムフェスタで、秋の装い

●休日は2人でショッピングを

　三折部朝衣は、10月から婚約者の住沢遥人と結婚を前提にシーサイドタウンのパートで同棲を始めた。
　洋食レストラン「青猫亭」シェフである遥人は本来、日曜日は仕事なのだが、この日は店の設備のメンテナンスで臨時休業。
　だから、オータムフェスタが催されているアウトレットへ買い物デートに出かけることにした。
「日曜日に遥人と一緒に出かけるの、初めてじゃない？」
　そう言われてみればそうかも、と遥人は頬を指で掻いて苦笑する。
　臨時休業でなければ、今頃は厨房で忙しくしている時間だったかも。
　今日はそんな忙しさを忘れ、朝衣と買い物を楽しむと言ってくれたことが嬉しかった。
　何を買おうかと話しながら歩いているうちに、目的地に辿り着いた。

「これから寒くなるから、秋冬兼用で着られるフリースやパーカー類をゲットしない？」
　そうだね、と遥人が同意したので、それらを買うこととなった。
　UNISHIROやネコスケあたりをめぐってみて、値段やデザインで決めてみることに。
「これあったかそうね、遥人、着てみて」
　いろいろ手に取って見ては鏡の前で合わせてみたり、試着したり、互いに「これはどう？」と勧め合ったり。
「どうせなら２人でお揃いのものにしましょう」
　ペアルックにしましょうという朝衣の提案に、遥人は乗り気だ。そうと決まれば、あとはどれにしようか決めるだけ。
　２人であれこれ見て、似合いそうな色のフリースとパーカーを１着ずつ決めた。
「他にアウターでいい感じのものがあったら……」
　いいものがあったら適当に、と安くていい品がたくさんあるので買うことに。
　調子に乗って買いまくったら出費がシャレにならないので、欲望を抑えようと懸命になりながら品定め。
　物欲を堪えながらの買い物は大変だったが、遥人の協力もあり、どうにか出費を抑えることができたので一安心。

　お揃いのフリースとパーカーを買った後、キャットスターやSPORTS NECOに寄り道。
　キャットスターでは靴を見てみたものの、これというものがなかったので朝衣はスルー……のつもりだった。
「遥人、どのスニーカーを買おうか迷ってるの？」
　どれにしようと、遥人はスニーカーをじっと見て迷っているらしい。
　仕方ないわね、と結局20分ぐらいあーだこーだと言いつつ遥人のスニーカー選びに付き合った。
　ものすごく迷っていたようだが、購入したのは朝衣が勧めたシンプルなデザインのスニーカーだった。

　SPORTS NECOではサーフボード用のワックスを購入。
「今年は仕事が忙しかったから、あまりサーフィンできなかったわね」
　朝衣は春の人事で総務課勤務から町長秘書となり、書類仕事をしていた頃と比べると忙しくなってきた。
　遥人の休日の都合もあり、一緒にサーフィンをすることもなかったように思える。
　すれ違いは職種のため仕方ないことは理解しているが、本当のことをいえば、もっと一緒にいたい。
　サーフィンも一緒にしたい。
　なので、一緒にいられる時は今日みたいにショッピングやサーフィンに出かけたりしている。
　店員と遥人と相談しながら、購入するワックスを決めた。

　お目当てのものを買い終えた後は、手分けして荷物を持って帰路へ。
　荷物持ちは自分が、と遥人が多めに持ってくれた。
「ありがとう。来年は２人でもっとできたらいいわね」
　サーフィンにショッピングと、これからもいろいろなことを一緒にしたい。
　そんなことを思う朝衣だった。

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