モーモーリヴァーシ！　いざ勝負！｜リアクション

モーモーリヴァーシ！　いざ勝負！

「待て、そこの牛は実際は黒だから、その手は成立しない」
　月詠は紙の盤面と牛の配置を見比べて、間違いを指摘しました。
「……なんと。わしとしたことがこんなミスを、モー」
「間違えることは誰にもあることさ」
　そのまま長考に入った黒牛王。
　しかし月詠は気にしません。
「腹が減っては戦はできないな」
　駒である牛に飼葉を与えたりブラッシングしたりして、コミニュケーションを取ってマスに留まってもらいます。
「勝負は互角のようだが、さて」　
　盤面を観察しながら月詠はつぶやくのでした。

「まだですの、モー？」
　焦れた様子の白牛女王に月詠は声をかけます。
「飽きたのなら仕方ない。数えてどっちが勝ったか教えてやろうか」
「……そんなことはありませんわモー」

「それにしても喉が渇いた……」
　汗をぬぐいつぶやいた遠海に、白牛牛王が言いました。
「ならばこのへんで休憩といたしましょうモー。しぼりたての美味しいミルク飲み放題ですモー」
「えっ！？　飲み放題？」
　急に遠海の目が輝きました。
「遠慮せず飲むがいいですモー」
　見ればコップが用意されていて。
　今まで言うことを聞いてくれない駒だった牛たちが、途端に美味しそうなミルクタンクに見えてきました。

　搾りたてのミルクをコップ一杯にいれて。
　味わって飲むと、遠海はうっとりとした表情になりました。
「もう最高……」
「あーあ、疲れた……さすが搾りたてだけあって、コクが違うわ」
　蒼も満足そうにミルクを飲み干します。
「これは美美味いな」
　月詠も満足そうに牛乳を味わうのでした。
　
　痩せの大食いの遠海はどんどんおかわりを続け。
「……ま、まだ飲むのですモー？」
　気がつけば白牛女王や周囲の牛さんたちがドンびくほどたくさん飲んでいました。

「さあ、休憩は終了だモー」
「勝負がついたら、また飲ませて差し上げますモモー」
　勝負再開です。
　元気を取り戻した皆は、牛たちの移動やお世話を頑張るのでした。

　そして最後の一頭が盤面に進み、色塗りが終わります。
　月詠は結果を厳かに告げました。
「結果は……黒３０、白３４、白の勝ちだ」
「当然ですモー！」
　ドヤ顔の白牛女王。
「無念モー……」
　黒牛王は悔しそうに項垂れますが。
「皆ご苦労だったモー。存分に牛乳を飲んでくれモー」
　こうして皆は再び搾りたての牛乳を堪能したのでした。

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