仲良くなりたい、その９｜リアクション

仲良くなりたい、その９

○名前で呼んでもいいですか？

　愛猫萌々子は、桜花寮の自室にいた。
　ルームメイトであり風紀委員仲間でもある笛吹ぴりりと一緒だ。
　最近考えていて、どう切り出そうか迷っていたけれど。デレデレ空間で名前呼びしていたので、その流れで仲良し度アップしたはず、と思う。

（本人もいるので今こそ切り出す時です）
「あの、笛吹さん……」
「何？」　
　思い切って、萌々子は言葉を続ける。
「ぴりりちゃん……って呼んでもいいですか？」
「えっ？」
「覚えてるかわかりませんがこの前私、何度かそう呼んでたので……」
　表情を変えずに黙っているぴりりに、清水の舞台から飛び降りる気分で畳み掛ける。
「私の事も愛猫さんじゃなくて、名前で呼んで欲しいんです！　どうでしょうか？」
「……あんまり人前で名前呼ばれたくはないんだけど」
「えっ？！」
　嫌、なのだろうか？　だが当惑した次の瞬間、ぴりりは続けた。
「でもいいわ。……萌々子さん」

　嬉しさと恥ずかしさが同時に押し寄せて。萌々子は頬を押さえた。
「ありがとう、ぴりりちゃん」

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